中国人の刑事弁護(盗撮)

駅の階段で盗撮をしてしまった。駅のエスカレーターで盗撮をしてしまった。デパート内で盗撮をしてしまった。スマホを使用して盗撮してしまった。等々。盗撮をして警察に逮捕、捕まってしまった場合、どのように対応したらよいでしょうか。ここでは解説させていただきます。盗撮の場合、盗撮した場所等で適用される法令が異なってきます。多くはいわゆる迷惑防止条例違反ですが、建造物侵入や軽犯罪法が適用される場合があります。以下では、条文をご紹介いたします。

 

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

二 公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

(罰則)

第八条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第二条の規定に違反した者

二 第五条第一項又は第二項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)

三 第五条の二第一項の規定に違反した者

2 第五条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 

(住居侵入等)

刑法第130条

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 

軽犯罪法

第1条

左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

23号

正当な理由なくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

 

このように、適用可能性のある法例を挙げてみましたが、通常、駅の階段や電車内等の公共の場所で盗撮行為を行った場合には条例違反となります。しかし、会社のオフィスのトイレ等で盗撮行為を行った場合には、条例にある公共の場所等の要件を満たしません。そこで、トイレや更衣室に侵入したということで建造物侵入罪が適用されて処罰されることになります。建造物侵入にも該当しないような場合には、レンズを通して覗き見たということで議論はありますが、軽犯罪法が適用される可能性があります。

 このような盗撮行為を行ってしまった場合、条例違反の場合には盗撮をされた被害者と示談をしていくことが有効となります。被害者と示談するためには弁護士に依頼することが必要になってきます。条例違反の盗撮の場合、前科等がなければ、示談をすれば不起訴になる可能性は高いのが、前科が付くことが防げます。

 建造物侵入の場合には、示談をする相手を考えなければなりません。というのは、検図物侵入罪の場合には、法的な被害者は建造物の管理者ということになるからです。盗撮された被害者は事実上の被害者であり、法的な被害者ではありません。とはいっても、事実上の被害者は盗撮された方ですので、その被害者と示談するのが良いと思います。ただ、これは丹津検察官の考え方にもよるので、弁護士を通じて誰と示談するのが一番有効か確認しながら進めていくのが良いでしょう。

 軽犯罪法違反の場合には、法定刑が軽いこともあり、放っておいても不起訴になる可能性はありますが、被害者と示談をすることによって不起訴の可能性を高めることも可能です。

 示談するというと、加害者の独りよがりというイメージがありますが、被害者からしても謝罪と適正な賠償を受けることができますので、被害者保護になります。当然被害者が嫌がっている場合には弁護士も会うことはできませんが、賠償を受ける機会を提供するということが被害者保護につながると思いますので、私は謝罪と賠償、示談交渉をしていくことにはとても意義があると思っています。

 なお、上述しましたが、基本的に示談する場合には弁護士に依頼するしかありません。刑事弁護、示談交渉を依頼することができるのは弁護士だけですし、被害者の個人情報を加害者本人に警察、検察は教えてくれません。また、被害者本人も教えたがりません。そのため、私たち弁護士は、被害者の情報を加害者には教えないという前提で被害者の連絡先を聞き、示談交渉をしていき、被害者の方が安心して示談交渉をすることができるのです。

 なお、否認している場合でも、取調べ対応が非常に重要になりますので、できるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。特に、盗撮の場合は、県ごとに微妙に条例の内容が異なっていますので、構成要件該当性が問題になることがあります。できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

 盗撮で逮捕された場合、検察官、裁判官に意見書を提出する等、しっかり活動をすれば釈放される可能性は高くなります。

 

 

中国人の刑事事件、逮捕、盗撮、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。

電話番号0800-700-2323

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