【在留特別許可の弁護士】在留特別許可の裁判例 東京地判平 19・6・14及び控訴審東京高判平 19・11 ・21

今日は在留特別許可に関する裁判例をご紹介いたします。

(1)事案の概要
オーバーステイのミャンマー国籍男性と日本人女性が同居を続けてきたが、婚姻届 を提出する前の在留特別許可を認めず、退去強制令書が発付されてしまった事案。
(2)地裁の判断
・入管法が保護を与えるのは、男女に「真しな共同生活」があるから。
・「真しな共同生活」あるいはこれに準じた関係が存在した場合、その事実は原告に 対し在留特別許可を与える方向に働く有力な事情になる。
・本件では、裁決時に婚姻届は出していなかったが、婚姻関係に準ずるような共同生 活を送っており、内縁関係を形成していた。
・二人の間には、内縁関係といえる「真しな共同生活」があったと認められる。これ は、在留特別許可を与える方向に働く極めて有力な事情である。
・東京入管局長は、そもそも住民票の記載その他の外形的事実から、両名が相当期間 同居していた事実が存在しないことを前提としている として、東京入管局長が在留特別許可を認めなかった判断を違法とした。
(3)高裁の判断
「なお、控訴人は、在留特別許可を付与しないという法務大臣等の判断が裁量権の 逸脱又は濫用に当たるとして違法とされるような事態は容易に想定しがたく、極めて 例外的にその判断が違法となり得るとしても、それは、法律上当然に退去強制される べき外国人について、なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理 由があったにもかかわらずに看過されたなど、在留特別許可の制度を設けた法の趣旨 に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られるというべきで あると主張するが、入管法50条1項の規定に照らしてもそのように解さなければな らない理由はない。
また、控訴人は、裁量処分に対する司法審査は、処分をした行政庁と同一の立場に 立って行政庁の判断に置き換えて結論を出すことではなく、あくまでも行政庁の裁量 権の行使としてされたものであることを前提として、この判断要素の選択や判断過程 に著しく合理性を欠くところがないかどうかを審査すべきものであるところ、原判決 は、東京入国管理局長と同一の立場に立って裁量判断を下に等しいと主張する。
しか しながら、本件裁決・決定書においては、在留特別許可を付与しない理由としては「在 留を特別に許可すべき事情は認められない。」と記載されているのみであり、その実 質的な理由が明らかにされていない(証拠:略)のであるから、この裁量判断が裁量 権の逸脱又は濫用に当たるかどうかを司法審査するに当たっては、いきおい具体的な 事実経過を審理し、これを踏まえて、在留特別許可を付与しなかった判断の結論を左 右するだけの重要な事実が認められるのか、また、この事実を前提とした場合には当 該結論が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるといい得るか(いえるかどうか)を検討せざ るを得ず、この過程で在留特別許可に関する積極要素と消極要素を審理検討すること もまた必然であるというべきである。」
(4)コメント
本件において、地裁は、住民票の記載など外形的事実から形式的に「真摯な共同生活」が認められないということはできないとして、在留特別許可を与えないという裁決は違法であるとして、ビザを与えています。
 また、高裁も在留特別許可を付与しないという法務大臣等の判断が裁量権の 逸脱又は濫用とされるような事態は容易に想定しがたく、極めて 例外的にこの判断が違法となり得るとしても、それは、法律上当然に退去強制される べき外国人について、なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理 由があったにもかかわらずに看過されたなど、在留特別許可の制度を設けた法の趣旨 に明らかに反するような極めて例外的場合に限られるというべきで あると主張するが、入管法50条1項の規定に照らしてもかように解さなければな らない理由はない。 として、当該外国人へ、ビザを与えるべきであると判断してくれました。 
在留特別許可の適否を巡る裁判は、常識的に見て在留特別許可を認めないことは人道にもとるような事件でも、法務大臣の広範な裁量論が大きなハードルとなり、勝訴判決を得ることが簡単でないのが実情ではあります。
が、しかし、近年、日本人の配偶者であるのに在留特別許可を認められなかった事件で、画期的とも言える裁判が相次いで出されています。入管にいわれて、すぐに,ギブアップするのではなく、正しく主張すれば裁判所は正当に評価してくれます。VISAの申請にご不安のある方、オーバーステイで収容されそうという方を,全力でお守りいたします。外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可はわれわれにご相談ください。

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