帰化の要件 住居要件

帰化の要件の一つとして、国籍法では、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」と定めています。この「引き続き」という要件が問題となりますが、国籍法は継続して日本居住していることを求めています。継続して5年以上日本に居住していることが必要となります。

簡単な例ですと、2年日本に住んでいて、1年海外にいて、3年日本に住んだ場合ですと、この引き続きの要件は満たさないことになります。さらに、この場合ですと、海外に行く前の2年間は算入できなくなるので、さらに2年間日本に住み続けなければ要件を満たさなくなります。要するにリセットされてしまいます。

この「引き続き」の要件がリセットされてしまうか否かの目安の期間は、一度の出国日数が3ヶ月以上か否かで判断されることが実務上は多いです。一度の出国日数が3ヶ月以上に及んでしまう場合には、「引き続き」の要件は満たさずにリセットされてしまう可能性が高いといえます。この場合には、それまでの居住歴はリセットされゼロからもう一度カウントする必要が生じます。

 また、一度の出国が3ヶ月以内であっても、1年間のうちに短期の出国を繰り返して、目安として合計150日以上程度日本を出国していると、この場合も「引き続き」の要件を満たさないと判断をされる可能性が非常に高くなりますので注意が必要です。たとえば、1ヶ月の出国期間の出国を7回繰り返した場合、一度の出国の期間は3ヶ月以内ですが、合計210日の出国期間があるため、この場合も「引き続き」の要件を満たさないと判断される可能性が高いです。

この「引き続き」の要件は形式的に判断される可能性が高いので、震災、出張、病気療養、出産等を理由とした出国でも酌量してくれる可能性は低いので注意が必要です。

 次に「引き続き5年以上」の期間の中身の問題ですが、どんな在留資格でも5年以上日本

に居住していれば帰化できるというものではありません(オーバーステイの場合は論外です)。実務上は、就労系の在留資格において、就職した期間が3年以上必要となります。正社員か否かはこの住居要件では問われませんが、就労系の在留資格ビザを取得して、就職して3年以上経過していることが必要となります。そうすると、5年以上日本にきょじゅうしていたとしても、すべての期間の在留資格が留学生であった場合には帰化は認められないということになります(不法就労の場合は論外です。また資格外活動でアルバイトをしていたとしても就労ビザで3年以上の要件は認められません)。しかし、たとえば、留学生として2年、就労系のビザで3年日本で居住した場合には住居要件は満たすことになります。よくある例としては、日本語学校に留学生として来て、日本の会社に就職して技術人文知識国際業務等に在留資格ビザ変更をした場合があります。逆に留学生として6年日本に居住していても就労ビザで2年しかいないのであれば、要件は満たしません。なお、転職については問題となりません。

 就労系のビザで3年以上日本に居住する必要があるのが原則ですが、日本に居住している期間が10年以上の場合には就労経験が1年以上でも認められるという例外もあります。たとえば、留学生として8年、就労ビザで2年日本に居住した場合には、要件を満たすことになりますので重要です。

 

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