【在留特別許可の弁護士】在留特別許可に関する裁判例 東京地裁平成26年4月15日

今日は,在留特別許可に関する裁判例をご紹介いたします。
①難民不認定処分の取消し,②在留特別許可をしない旨の処分の無効の確認,③退去強制令書の発付処分の無効確認を求めた事案です。

<事案の概要>
本件は,アンゴラ国籍を有する外国人男性であるXが,入管法61条の2第1項に基づき難民認定の申請をしたところ,法務大臣から,難民の認定をしない旨の処分(本件不認定処分)を受けるとともに,東京入国管理局長から,入管法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分(本件在特不許可処分)を受け,さらに,東京入国管理局主任審査官から,退去強制令書の発付処分(本件退令処分)を受けたのに対し,本件不認定処分の取消し並びに本件在特不許可処分及び本件退令処分の各無効確認を求めた事案である。

<本件の争点>
①本件不認定処分の違法性(Xの難民該当性),②本件在特不許可処分の無効事由の有無,③本件退令処分の無効事由の有無の3点であるが,主たる争点は,Xの難民該当性である。

<原告Xの主張>
アンゴラ北部のいわゆる飛び地であるカビンダ州において成育し,カビンダ解放戦線(FLEC)という組織のメンバーとして,カビンダの独立を訴える政治的活動をしていたところ,国家安全保障罪の容疑によりアンゴラ政府の治安当局に逮捕されたものであるなどとして,難民に該当する旨主張した。

<被告Yの主張>
XがFLECに所属し,地区の責任者として積極的な活動をしていたとは認め難く,また,逮捕された旨の供述も信用できないなどとして,これを争った。

<本判決の内容>:原告Xの勝ち,Xの請求はいずれも理由があるとしていずれも認容
1.争点①本件不認定処分の違法性(Xの難民該当性)について
(1)難民該当性の判断基準
入管法二条三号の二は,入管法における「難民」の意義について,難民条約一条の規定又は難民議定書一条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいうものと規定しているところ,難民条約及び難民議定書の上記規定によれば,入管法にいう「難民」とは,「人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」をいうこととなる。
 そして,上記にいう「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解するのが相当である。また,上記にいう「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情があるだけでは足りず,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であると解するのが相当である。
 難民の認定における立証責任の帰属については,入管法六一条の二第一項が,法務大臣は,難民認定申請者が提出した資料に基づき,その者が難民である旨の認定を行うことができる旨規定しており,難民認定について難民認定申請者が資料を提出することを前提としている。また,難民認定を受けた者は,入管法六一条の二の二第一項に基づき定住者の在留資格を取得できるなど,有利な法的地位が与えられることになるから,難民認定は,いわゆる授益処分に当たるものであるところ,一般に,授益処分については,その処分を受ける者が,根拠法令の定める処分要件が充足されていることについて立証責任を負担するものと解される。以上によれば,難民該当性の立証責任は,難民認定申請者にあると解するのが相当である。
(2)Xの難民該当性
アンゴラにおいては,少なくとも本件不認定処分がされた平成21年8月当時,FLECに所属して活動している者については,治安当局から迫害を受けるおそれがあったというべきである上,原告は,平成9年にはFLECのメンバーとなり,平成15年にカビンダからルアンダに移ってからも,アンゴラの各地にあるカビンダ人のコミュニティを訪ね,密かに集会を開催してカビンダの独立の必要性を訴える活動をしたり,平成20年9月に実施された国会議員選挙において,野党であるUNITAの選挙活動に協力する活動を行ったりするとともに,FLECの集会に参加して意見を述べるなどの活動をしていたところ,平成21年2月に,突然警察官に身柄を拘束され,暴行を受けながら,FLECのメンバーであるかどうかや,他のFLECの戦闘員の所在などを問うための取調べを受け,FLECが国家の安全を脅かす分離主義者である旨責め立てられ,その後,3か月以上にわたり,国家犯罪捜査庁及び刑務所において,何らの手続を受けないまま,食事も満足に与えられず,不衛生で劣悪な収容環境の中で収容され続けていたものである。以上によれば,原告は,アンゴラ政府当局から,反政府組織であるFLECに所属して活動していると把握され,迫害を受けたものであると認められる。
 そうすると,原告がアンゴラに強制送還された場合,政府当局から迫害を加えられるおそれがあり,通常人が原告の立場に置かれた場合に迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在しているということができる。
  したがって,原告は,入管法にいう難民に該当すると認められる。
(3)本件不認定処分の違法性
Xは入管法にいう難民に該当するとして,本件不認定処分は違法であって取り消されるべきである。
2.争点②本件在特不許可処分の無効事由の有無について
Xが難民に該当しないことを前提としてされた本件在特不許可処分は,当然に違法であるところ,その結果,Xを迫害のおそれのある国に向けて送還しようとする点において,入管法の根幹に関わる重大な瑕疵を有するものであり,本件在特不許可処分は当然無効と解するのが相当である。
3.争点③本件退令処分の無効事由の有無について
原告Xは難民に当たるということができるから,原告Xを,これを迫害するおそれのあるアンゴラへ向けて送還する本件退令処分は違法であるというべきである。
 そして,本件退令処分は,原告を迫害のおそれのあるアンゴラに送還することになるものであり,入管法の根幹に関わる重大な瑕疵を有するものといわざるを得ない。したがって,本件退令処分は当然無効と解するのが相当である。

<コメント>
本件は,カビンダの独立を訴える政治的活動をしていたところ,アンゴラ政府に逮捕された旨主張する外国人の難民該当性が主たる争点とされた事案である。
当事者間においては,主としてXの主張する個別事情に関し,これを裏付けるXの供述の信用性が争われている。本判決は,Xの供述には信用性が認められるとして,このXの供述などを基に,Xの主張におおむね沿う形で事実認定をしている。
一般に,難民該当性が問題とされる事案は,客観的な証拠に乏しい場合も少なくなく,原告の供述の信用性を取り分け十分に吟味すべきであるとされる。
しかし、本判決は,客観的な証拠との対照,本邦に上陸した後の各手続におけるXの供述の内容や経過などを踏まえつつ,相当詳細な検討を加えた上で,Xの供述の信用性に疑問を生じさせるような事情は見当たらないとして,Xの供述の信用性を争うYの主張を排斥している点に特色を有している。 
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