難民認定

難民認定申請手続きとは、本国での迫害の恐れにより帰国できない者を「難民」として認定し、日本での在留を認め保護する手続きです。しかし、難民認定申請をされる方の多くは認定の資料となる物を持っていないことがほとんどで供述に頼ることも多くなります。その中で審査を通すにはどれだけ丁寧に説明できるかが重要になります。

現状では難民認定が出ることは少なく難しい手続きですので、法律の専門家である弁護士・行政書士にご相談することをお勧めします。

 

▼よくあるご相談

・難民認定の手続きはどうしたらよいか
・難民申請の手続きをやってもらいたい
・日本語がよく分からないので難民申請の書類を作成してもらいたい
・難民として認めてもらえるか不安
・難民として認めてもらえなかったがどうしたらいいか

このような方は一度ご相談ください。
弊所では入国管理局に届け出済みの弁護士と行政書士が協力して、あなたの手続きを全力でサポート致します。ぜひご相談ください。

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■難民とは

難民とは「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいいます。

難民の定義は長いのですが、難民申請をする時のポイントは、①人種、②宗教、③国籍、④特定の社会的集団の構成員、⑤政治的意見、の理由で“迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖を有すること”です。
この「迫害を受ける恐れ」は申請者自らが証拠を集めて伝えなければなりません。

難民認定申請は申請者本人が記入、申請をすることができますが、迫害といえる事実を順番通りに記載するのは難しいことです。母語で書くこともできますが、日本語の方が確実に読んでもらえる可能性が高いと思われます。
難民認定申請書は、インタビューとともに矛盾がないかチェックされる重要な書類ですので、出来事を丁寧に整理して記載する必要があります。

 

■難民認定の実情

難民認定申請をする人数は増加傾向にありますが、実際に難民認定される人数は非常に少なく、再審査請求をした者を含めても数十人程度です。(他に難民不認定でも人道配慮で日本に滞在できる方もいます。)また国籍も偏りがあります。その背景としては、難民に該当するような「迫害の恐れ」ではなく、自国での借金や、日本での不法滞在を適正なビザにするため等、難民に該当しないような理由での難民認定申請をする者が増加しているためです。

また難民認定申請手続きは長期間に渡り、その間に就労できない場合もあるので注意が必要です。

 

■難民申請の手続きの流れとは?

① 難民認定申請

難民認定申請書は難民認定申請者が入国管理局に出頭して提出します。

難民認定申請書は②のインタビューの際にも矛盾がないか確認される重要な書類ですので、余すところなく記載すること、難民に該当するような出来事を難民調査官が想像できるように具体的に丁寧に記載することが大切です。

 

② インタビュー

難民調査官主導で進められるインタビューがあります。難民調査官、難民認定申請者、通訳人で進められ、弁護士等の第三者が立会いすることは認められません。

難民調査官は難民認定申請者から聞き取った内容を調書にまとめ、難民認定申請者は最後に読み聞かせを受けた調書に署名をします。この調書も難民性の判断に大きな影響を与えるので、読み聞かせの際に誤りはないか、不明な点や異なる事項がないかを確認することが大切です。

 

③ 難民認定申請手続き中の在留特別許可

在留資格がない難民認定申請者の場合には、在留特別許可の判断も難民認定申請手続きの中でなされることになります。ですから、難民該当性の事情のほかにも日本に滞在すべき何らかの事情が存在する場合は(日本でしか治療ができない等)難民認定申請手続きの中で主張・立証していきます。

 

④ 再審査・訴訟

在留資格がない難民認定申請者の場合、難民認定申請手続きと退去強制手続きは並行して進みます。難民不認定を再度審査してもらいたい場合や、難民不認定を取り消したい場合には、再審査請求や取消訴訟を行うことができます。その場合には不認定理由の検討が必要になります。

申請

インタビュー(難民審査官による事情聴取)

難民認定・不認定

再審査

訴 訟

 

■難民認定申請中の在留資格

①在留資格がある場合

在留資格を持って難民認定申請をした場合は在留資格が変更ないし在留期間が更新されるのが通例です。具体的には、難民認定申請者の多くが有する在留資格である「短期滞在」は「特定活動」に変更される運用となっています。さらに、行政手続きが継続している間は、期間更新が認められます。

しかし行政手続きが終了し、訴訟を提起したとしても更新は認められない扱いとなっています。

前述した「特定活動」では、原則として働くことはできず、働くためには資格外活動許可が必要となります。

 

②在留資格がなく、仮滞在が認められる場合

一定の除外自由に該当しなければ、仮滞在という正規滞在者としての地位が認められます。仮滞在は難民認定申請をすれば自動的に仮滞在についても判断され、仮滞在許可期間は3か月であり、原則として更新されます。しかし除外自由は多数あり、仮滞在が許可される件数は極めて少ないのが現状です。

仮滞在が許可された者は、退去強制手続きが停止され、収容令書や退去強制令書が発付されることはありません。ただし就労することができません。

 

③在留資格がなく、仮滞在も認められない場合

在留資格がない外国人が難民申請をしたとしても、在留資格は付与されません。当該申請者は非正規滞在であるため、退去強制手続きは別途継続することになります。この場合でも、難民認定申請手続き中は日本から送還されることはありませんが、収容される可能性はあります。難民認定申請時に在宅である場合には、違反調査後に仮放免許可が認められ、この場合は収容が回避されます。

もっとも逮捕・摘発され収容された後に、難民認定申請をした場合で、仮放免許可申請をした場合には、仮放免許可申請を行ってもすぐに許可が下りるとは限りません。

 

■難民認定されることのメリット

①「定住者」の在留資格付与

難民として認定された場合には、原則として「定住者」の在留資格が認められます。
これに対して、難民不認定処分であっても人道的配慮措置として在留特別許可が認められる場合に付与される在留資格には「特定活動」や「定住者」があります。

 

②永住許可要件の緩和

日本に在留する外国人が永住許可を受けるためには、「素行が善良であること」と「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」が要件とされています。しかし難民については、「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」という要件が満たされない場合であっても永住許可をすることができるとして、要件を緩和しています。

 

③難民旅行証明書

難民の認定を受けた者が海外に旅行しようとするときは、申請に基づいて難民旅行証明書が交付されます。難民旅行証明書は旅券の代わりとなる物です。しかし、旅行先の国によっては難民旅行証明書では入国を認めない場合や、審査に時間のかかる場合等があり、難民であっても「再入国許可証」を旅券代わりにする者もいます。

 

■旅券を持たずに日本へ来た場合

日本の空港に到着した難民認定申請者の中には有効な旅券ないし査証を持っていない方が少なくありません。そうすると上陸条件に適合しないとの理由で退去命令の対象になったり、退去強制手続きの対象になったりすることになりかねません。そこで、難民と思慮される時には一時的にでも難民に該当する可能性のある者を広く保護するために一時庇護上陸許可を設けています。一時庇護上陸が許可された場合は、一時庇護許可書が交付され上陸が認められます。(上陸機関、収去および行動範囲の制限その他必要と認める条件を付すことができる。)

もし一時庇護上陸が不許可とされた場合には退去強制手続きが直ちに開始されることになり、収容が開始されるだけではなく退去強制令書に基づいて送還されるリスクが生じます。

難民認定申請は、上陸審査を経る前にも可能であり、一時庇護上陸許可申請と難民認定申請を同時に出しても差し支えありません。

 

★弊所に依頼するメリット

難民認定申請は申請者が増えておりますが難民認定されるのは本当にわずかです。

難民認定申請は必要書類の収集や書類作成がとても複雑で、審査も厳しくなっています。難民認定申請の難しい点は、資料が少ない中でどのように情報を集め、どのような事実と理由を書くのか、加えてご自身が難民であるという立証をしなければならい点にあります。

お困りの際は、ぜひ専門家である弊所の弁護士、行政書士にご相談ください。

弊所では法律のプロである弁護士と書類作成のプロである行政書士がお客様を全力でサポートするチームとなり、お客様お一人お一人のご状況を具台的にヒアリングし、個別具体的なご提案をさせていただくことで、お客様の漠然とした不安を一つ一つ丁寧に取り除きます。ご自身でご用意いただく書類も弊所がタイミングを見てお伝えいたしますので、ご不安を感じることなく書類収集していただくことが可能です。

法律のプロである弁護士が共にお客様をサポートするため、ビザ申請の他にも会社設立や登記、更に行政書士のみではサポートできない外国人の方のお悩みー入管ビザ事件以外の刑事事件、交通事故、離婚事件、労働事件など=のサポートも含めたワンストップサービスを提供できる可能性が整っており、日本に在留する外国人の皆様に末永い安心をご提供することができます。

また、中国語、英語対応可能な行政書士が、女性ならではのきめ細やかな対応でお客様をサポートいたします。日本語での相談は不安がある・・・という外国人の方も、リラックスして相談することができます。

私共弁護士×行政書士チームは皆様の味方として、徹底して皆様に有利になるよう勧めてまいります。どうぞ安心してお任せください。

 

■資料 

●出入国管理及び難民認定法(難民の認定等を抜粋) 

第七章の二 難民の認定等
(難民の認定)
第六十一条の二 法務大臣は、本邦にある外国人から法務省令で定める手続により申請があつたときは、その提出した資料に基づき、その者が難民である旨の認定(以下「難民の認定」という。)を行うことができる。
2 法務大臣は、難民の認定をしたときは、法務省令で定める手続により、当該外国人に対し、難民認定証明書を交付し、その認定をしないときは、当該外国人に対し、理由を付した書面をもつて、その旨を通知する。

(在留資格に係る許可)
第六十一条の二の二 法務大臣は、前条第一項の規定により難民の認定をする場合であつて、同項の申請をした外国人が在留資格未取得外国人(別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する者、一時庇 (ひ)護のための上陸の許可を受けた者で当該許可書に記載された期間を経過していないもの及び特別永住者以外の者をいう。以下同じ。)であるときは、当該在留資格未取得外国人が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に定住者の在留資格の取得を許可するものとする。
一 本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあつては、その事実を知つた日)から六月を経過した後前条第一項の申請を行つたものであるとき。ただし、やむを得ない事情がある場合を除く。
二 本邦にある間に難民となる事由が生じた場合を除き、その者の生命、身体又は身体の自由が難民条約第一条A(2)に規定する理由によつて害されるおそれのあつた領域から直接本邦に入つたものでないとき。
三 第二十四条第三号から第三号の五まで又は第四号ハからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するとき。
四 本邦に入つた後に、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたものであるとき。
2 法務大臣は、前条第一項の申請をした在留資格未取得外国人について、難民の認定をしない処分をするとき、又は前項の許可をしないときは、当該在留資格未取得外国人の在留を特別に許可すべき事情があるか否かを審査するものとし、当該事情があると認めるときは、その在留を特別に許可することができる。
3 法務大臣は、前二項の許可をする場合には、在留資格及び在留期間を決定し、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める措置をとるものとする。この場合において、その許可は、それぞれ当該各号に定める在留カード又は在留資格証明書の交付のあつた時に、当該在留カード又は在留資格証明書に記載された内容をもつて効力を生ずる。
一 当該許可に係る外国人が中長期在留者となるとき 入国審査官に、当該外国人に対し、在留カードを交付させること。
二 前号に掲げる場合以外の場合 入国審査官に、当該外国人に対し、在留資格及び在留期間を記載した在留資格証明書を交付させること。
4 法務大臣は、第一項又は第二項の許可をする場合において、当該在留資格未取得外国人が仮上陸の許可又は第三章第四節の規定による上陸の許可を受けているときは、当該仮上陸の許可又は上陸の許可を取り消すものとする。
第六十一条の二の三 法務大臣は、難民の認定を受けている外国人(前条第二項の許可により在留資格を取得した者を除く。)から、第二十条第二項の規定による定住者の在留資格への変更の申請があつたとき、又は第二十二条の二第二項(第二十二条の三において準用する場合を含む。)の規定による定住者の在留資格の取得の申請があつたときは、第二十条第三項本文(第二十二条の二第三項(第二十二条の三において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、当該外国人が前条第一項第一号に該当する場合を除き、これを許可するものとする。

(仮滞在の許可)
第六十一条の二の四 法務大臣は、在留資格未取得外国人から第六十一条の二第一項の申請があつたときは、当該在留資格未取得外国人が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に仮に本邦に滞在することを許可するものとする。
一 仮上陸の許可を受けているとき。
二 寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受け、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過していないとき。
三 第二十二条の二第一項の規定により本邦に在留することができるとき。
四 本邦に入つた時に、第五条第一項第四号から第十四号までに掲げる者のいずれかに該当していたとき。
五 第二十四条第三号から第三号の五まで又は第四号ハからヨまでに掲げる者のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由があるとき。
六 第六十一条の二の二第一項第一号又は第二号のいずれかに該当することが明らかであるとき。
七 本邦に入つた後に、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたものであるとき。
八 退去強制令書の発付を受けているとき。
九 逃亡するおそれがあると疑うに足りる相当の理由があるとき。
2 法務大臣は、前項の許可をする場合には、法務省令で定めるところにより、当該許可に係る滞在期間(以下「仮滞在期間」という。)を決定し、入国審査官に、当該在留資格未取得外国人に対し当該仮滞在期間を記載した仮滞在許可書を交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該交付のあつた時に、その記載された内容をもつて効力を生ずる。
3 法務大臣は、第一項の許可をする場合には、法務省令で定めるところにより、当該在留資格未取得外国人に対し、住居及び行動範囲の制限、活動の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付し、かつ、必要があると認める場合は、指紋を押なつさせることができる。
4 法務大臣は、第一項の許可を受けた外国人から仮滞在期間の更新の申請があつたときは、これを許可するものとする。この場合においては、第二項の規定を準用する。
5 第一項の許可を受けた外国人が次の各号に掲げるいずれかの事由に該当することとなつたときは、当該外国人に係る仮滞在期間(前項の規定により更新された仮滞在期間を含む。以下同じ。)は、当該事由に該当することとなつた時に、その終期が到来したものとする。
一 難民の認定をしない処分につき第六十一条の二の九第一項の審査請求がなくて同条第二項の期間が経過したこと。
二 難民の認定をしない処分につき第六十一条の二の九第一項の審査請求があつた場合において、当該審査請求が取り下げられ、又はこれを却下し若しくは棄却する旨の裁決があつたこと。
三 難民の認定がされた場合において、第六十一条の二の二第一項及び第二項の許可をしない処分があつたこと。
四 次条の規定により第一項の許可が取り消されたこと。
五 第六十一条の二第一項の申請が取り下げられたこと。
(仮滞在の許可の取消し)
第六十一条の二の五 法務大臣は、前条第一項の許可を受けた外国人について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該許可を取り消すことができる。
一 前条第一項の許可を受けた当時同項第四号から第八号までのいずれかに該当していたこと。
二 前条第一項の許可を受けた後に同項第五号又は第七号に該当することとなつたこと。
三 前条第三項の規定に基づき付された条件に違反したこと。
四 不正に難民の認定を受ける目的で、偽造若しくは変造された資料若しくは虚偽の資料を提出し、又は虚偽の陳述をし、若しくは関係人に虚偽の陳述をさせたこと。
五 第二十五条の出国の確認を受けるための手続をしたこと。
(退去強制手続との関係)
第六十一条の二の六 第六十一条の二の二第一項又は第二項の許可を受けた外国人については、当該外国人が当該許可を受けた時に第二十四条各号のいずれかに該当していたことを理由としては、第五章に規定する退去強制の手続(第六十三条第一項の規定に基づく退去強制の手続を含む。以下この条において同じ。)を行わない。
2 第六十一条の二第一項の申請をした在留資格未取得外国人で第六十一条の二の四第一項の許可を受けたものについては、第二十四条各号のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由がある場合であつても、当該許可に係る仮滞在期間が経過するまでの間は、第五章に規定する退去強制の手続を停止するものとする。
3 第六十一条の二第一項の申請をした在留資格未取得外国人で、第六十一条の二の四第一項の許可を受けていないもの又は当該許可に係る仮滞在期間が経過することとなつたもの(同条第五項第一号から第三号まで及び第五号に該当するものを除く。)について、第五章に規定する退去強制の手続を行う場合には、同条第五項第一号から第三号までに掲げるいずれかの事由に該当することとなるまでの間は、第五十二条第三項の規定による送還(同項ただし書の規定による引渡し及び第五十九条の規定による送還を含む。)を停止するものとする。
4 第五十条第一項の規定は、第二項に規定する者で第六十一条の二の四第五項第一号から第三号までのいずれかに該当することとなつたもの又は前項に規定する者に対する第五章に規定する退去強制の手続については、適用しない。
(難民の認定の取消し)
第六十一条の二の七 法務大臣は、本邦に在留する外国人で難民の認定を受けているものについて、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、その難民の認定を取り消すものとする。
一 偽りその他不正の手段により難民の認定を受けたこと。
二 難民条約第一条C(1)から(6)までのいずれかに掲げる場合に該当することとなつたこと。
三 難民の認定を受けた後に、難民条約第一条F(a)又は(c)に掲げる行為を行つたこと。
2 法務大臣は、前項の規定により難民の認定を取り消す場合には、当該外国人に対し、理由を付した書面をもつて、その旨を通知するとともに、当該外国人に係る難民認定証明書及び難民旅行証明書がその効力を失つた旨を官報に告示する。
3 前項の規定により難民の認定の取消しの通知を受けたときは、難民認定証明書又は難民旅行証明書の交付を受けている外国人は、速やかに法務大臣にこれらの証明書を返納しなければならない。
(難民の認定を受けた者の在留資格の取消し)
第六十一条の二の八 法務大臣は、別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する外国人で難民の認定を受けているものについて、偽りその他不正の手段により第六十一条の二の二第一項各号のいずれにも該当しないものとして同項の許可を受けたことが判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。
2 第二十二条の四第二項から第九項まで(第七項ただし書を除く。)の規定は、前項の規定による在留資格の取消しに準用する。この場合において、同条第二項中「入国審査官」とあるのは「難民調査官」と、同条第七項本文中「第一項(第一号及び第二号を除く。)」とあるのは「第六十一条の二の八第一項」と読み替えるものとする。
(審査請求)
第六十一条の二の九 次に掲げる処分又は不作為についての審査請求は、法務大臣に対し、法務省令で定める事項を記載した審査請求書を提出してしなければならない。
一 難民の認定をしない処分
二 第六十一条の二第一項の申請に係る不作為
三 第六十一条の二の七第一項の規定による難民の認定の取消し
2 前項第一号及び第三号に掲げる処分についての審査請求に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十八条第一項本文の期間は、第六十一条の二第二項又は第六十一条の二の七第二項の通知を受けた日から七日とする。
3 法務大臣は、第一項の審査請求に対する裁決に当たつては、法務省令で定めるところにより、難民審査参与員の意見を聴かなければならない。
4 法務大臣は、第一項の審査請求について行政不服審査法第四十五条第一項若しくは第二項又は第四十九条第一項若しくは第二項の規定による裁決をする場合には、当該裁決に付する理由において、前項の難民審査参与員の意見の要旨を明らかにしなければならない。
5 難民審査参与員については、行政不服審査法第十一条第二項に規定する審理員とみなして、同法の規定を適用する。
6 第一項の審査請求については、行政不服審査法第九条第一項、第十四条、第十七条、第十九条、第二十九条、第四十一条第二項(第一号イに係る部分に限る。)、第二章第四節及び第五十条第二項の規定は適用しないものとし、同法の他の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
読み替えられる行政不服審査法の規定 読み替えられる字句 読み替える字句
第十八条第三項 次条 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二の九第一項
第二十三条 第十九条 入管法第六十一条の二の九第一項
第三十条第一項 前条第五項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(以下「反論書」という。) 入管法第六十一条の二の九第一項各号に掲げる処分又は不作為に対する意見その他の審査請求人の主張を記載した書面(以下「申述書」という。)
反論書を 申述書を
第三十条第三項 反論書 申述書
第三十一条第一項ただし書 場合 場合又は申述書に記載された事実その他の申立人の主張に係る事実が真実であっても、何らの難民となる事由を包含していないことその他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが適当でないと認められる場合
第三十一条第二項 審理員が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。 審理員が、あらかじめ審査請求に係る事件に関する処分庁等に対する質問の有無及びその内容について申立人から聴取した上で、期日及び場所を指定し、全ての審理関係人を招集してさせるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、処分庁等を招集することを要しない。
一 申立人から処分庁等の招集を要しない旨の意思の表明があったとき。
二 前号に掲げる場合のほか、当該聴取の結果、処分庁等を招集することを要しないと認めるとき。
第四十一条第二項第一号ロ 反論書 申述書
第四十四条 行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき) 審理員意見書が提出されたとき
第五十条第一項第四号 審理員意見書又は行政不服審査会等若しくは審議会等の答申書 審理員意見書
第八十三条第二項 第十九条(第五項第一号及び第二号を除く。) 入管法第六十一条の二の九第一項
(難民審査参与員)
第六十一条の二の十 法務省に、前条第一項の規定による審査請求について、難民の認定に関する意見を提出させるため、難民審査参与員若干人を置く。
2 難民審査参与員は、人格が高潔であつて、前条第一項の審査請求に関し公正な判断をすることができ、かつ、法律又は国際情勢に関する学識経験を有する者のうちから、法務大臣が任命する。
3 難民審査参与員の任期は、二年とする。ただし、再任を妨げない。
4 難民審査参与員は、非常勤とする。
(難民に関する永住許可の特則)
第六十一条の二の十一 難民の認定を受けている者から第二十二条第一項の永住許可の申請があつた場合には、法務大臣は、同条第二項本文の規定にかかわらず、その者が同項第二号に適合しないときであつても、これを許可することができる。
(難民旅行証明書)
第六十一条の二の十二 法務大臣は、本邦に在留する外国人で難民の認定を受けているものが出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基づき、難民旅行証明書を交付するものとする。ただし、法務大臣においてその者が日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認める場合は、この限りでない。
2 前項の規定により難民旅行証明書の交付を受ける外国人で、外国の難民旅行証明書を所持するものは、その交付を受ける際に当該外国の難民旅行証明書を法務大臣に提出しなければならない。
3 第一項の難民旅行証明書の有効期間は、一年とする。
4 第一項の難民旅行証明書の交付を受けている者は、当該証明書の有効期間内は本邦に入国し、及び出国することができる。この場合において、入国については、第二十六条第一項の規定による再入国の許可を要しない。
5 前項の場合において、法務大臣が特に必要があると認めるときは、三月以上一年未満の範囲内で、当該難民旅行証明書により入国することのできる期限を定めることができる。
6 法務大臣は、第一項の難民旅行証明書の交付を受けて出国した者について、当該証明書の有効期間内に入国することができない相当の理由があると認めるときは、その者の申請に基づき、六月を超えない範囲内で、当該証明書の有効期間を延長することができる。
7 前項の延長は、難民旅行証明書にその旨を記載して行うものとし、その事務は、日本国領事官等に委任するものとする。
8 法務大臣は、第一項の難民旅行証明書の交付を受けている者が日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるときは、その者が本邦にある間において、法務省令で定めるところにより、その者に対して、期限を付して、その所持する難民旅行証明書の返納を命ずることができる。
9 前項の規定により返納を命ぜられた難民旅行証明書は、その返納があつたときは当該返納の時に、同項の期限までに返納がなかつたときは当該期限を経過した時に、その効力を失う。この場合において、同項の期限までに返納がなかつたときは、法務大臣は、当該難民旅行証明書がその効力を失つた旨を官報に告示する。
(退去強制令書の発付に伴う難民認定証明書等の返納)
第六十一条の二の十三 本邦に在留する外国人で難民の認定を受けているものが、第四十七条第五項、第四十八条第九項若しくは第四十九条第六項の規定により、又は第六十三条第一項の規定に基づく退去強制の手続において退去強制令書の発付を受けたときは、当該外国人は、速やかに法務大臣にその所持する難民認定証明書及び難民旅行証明書を返納しなければならない。
(事実の調査)
第六十一条の二の十四 法務大臣は、難民の認定、第六十一条の二の二第一項若しくは第二項、第六十一条の二の三若しくは第六十一条の二の四第一項の規定による許可、第六十一条の二の五の規定による許可の取消し、第六十一条の二の七第一項の規定による難民の認定の取消し又は第六十一条の二の八第一項の規定による在留資格の取消しに関する処分を行うため必要がある場合には、難民調査官に事実の調査をさせることができる。
2 難民調査官は、前項の調査のため必要があるときは、関係人に対し出頭を求め、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
3 法務大臣又は難民調査官は、第一項の調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

●難民条約

○ 参考一 【出入国管理及び難民認定法】
第 二条 三の二 難民 難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)第一条の規定又は難民の地位に関する議定書第一条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいう。
○ 参考二 【難民の地位に関する条約】
第 一章 一般規定
第 一条 「難民」の定義
A  この条約の適用上、「難民」とは、次の者をいう。
(一 )千九百二十六年五月十二日の取極、千九百二十八年六月三十日の取極、千九百三十三年十月二十八日の条約、千九百三十八年二月十日の条約、千九三十九年九月十四日の議定書又は国際避難民機関憲章により難民と認められている者
 国際避難民機関がその活動期間中いずれかの者について難民としての要件を満たしていないと決定したことは、当該者が(二)の条件を満たす場合に当該者に対し難民の地位を与えることを妨げるものではない。
(二 )千九百五十一年一月一日前に生じた事件の結果として、かつ、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの
   二以上の国籍を有する者の場合には、「国籍国」とは、その者がその国籍を有する国のいずれをもいい、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するという正当な理由なくいずれか一の国籍国の保護を受けなかったとしても、国籍国の保護がないとは認められない。
○ 参考三 【難民の地位に関する議定書(抄)】
第 一条一般規定
 一  この議定書の締約国は、二に定義する難民に対し、条約第二条から第三十四条までの規定を適用することを約束する。
 二  この議定書の適用上、「難民」とは、三の規定の適用があることを条件として、条約第一条を同条A(二)の「千九百五十一年一月一日前に生じた事件の結果として、かつ、」及び「これらの事件の結果として」という文言が除かれているものとみなした場合に同条の定義に該当するすべての者をいう。
 三  この議定書は、この議定書の締約国によりいかなる地理的な制限もなしに適用される。ただし、既に条約の締約国となっている国であって条約第一条B(一)(a)の規定を適用する旨の宣言を行っているものについては、この宣言は、同条B(二)の規定に基づいてその国の義務が拡大されていない限り、この議定書についても適用される。
 (注 )本議定書の条文中にある「条約」とは、「難民の地位に関する条約」を意味する。

難民認定手続の概要

難民認定手続とは、一定のカテゴリーに該当し、本国に帰国できない者を「難民」として認定し、日本で保護することを目的とした制度です。

第二次世界大戦後の1951年に採択された「難民の地位に関する条約」を契機として、難民条約を批准した各国がそれぞれの国で難民を保護するための制度を設けました。

日本は1981年に難民条約を批准し、それに伴って難民認定手続が設置されました。

難民としての保護を求める者は、法務大臣(窓口は入管)に対して難民認定申請を行い、難民認定申請手続では難民調査官が調査を、異議申立手続では難民審査参与員が引き続き審査を行い、これらの調査ないし審査をもとに、最終的には法務大臣が難民かどうかの判断をすることになります。

難民認定手続きは、難民認定申請手続と異議申立て手続の2段階からなります。

これらは行政手続ですが、行政手続の判断がなされた後は行政訴訟で難民不認定取消訴訟を起こして争うことができます。

裁判で勝訴すると処分時から特段の事情変更がない限り難民認定処分が下されます。また、一度不認定とされても再度難民認定申請をすることも認められています。

 

難民認定された場合の在留資格等 

難民として認定された場合には、原則として「定住者」の在留資格および在留期間「5年」が与えられます(入管法61条の2第1項、入管内部規定・難民認定事務取扱要領)。

難民として認められない場合でも、人道的な配慮から在留特別許可が認められ「定住者」や「特定活動」の在留資格が与えられることもあります(入管法61条の2の2第2項)。

 

難民認定申請のポイント等

難民の定義や要件の問題もありますが、難民認定申請をする場合には、変遷のない首尾一貫した申請書や陳述書等を作成する必要があったり、難民性を裏付ける資料収集をできるだけする必要もありますので、難民認定申請をしたい方は、まずは専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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