刑事事件について

刑事事件に巻き込まれてしまった方へ

刑事事件に巻き込まれてしまった刑事事件は突然に起こります。刑事事件に巻き込まれてしまった場合には非常に困惑することでしょう。

警察に容疑をかけられてしまった、ご家族がいきなり逮捕されてしまったなどの場合、どのように対処していいのか分からないのが通常です。

しかし、刑事事件は時間との勝負でもありますので、適切に対処する必要があります。

このような場合に我々弁護士の役割があります。

刑事事件は弁護士のみが扱える分野であり、専門家である弁護士に相談し、手続きの流れの説明や適切な対処方法のアドバイスを受ける必要があります。

刑事事件に巻き込まれるということは一生に一度あるかないかの方がほとんどです。

その精神的なストレスは相当大きなものと思われます。

そのような場合でも、弁護士に相談し、解決への道筋の説明を受けることができれば精神的なストレスも緩和されるものと思われます。ここに我々弁護士の存在意義があると思っております。

示談したい

被害者が存在する犯罪では、示談することが非常に有効です。

被害者が警察に被害届等を提出する前に示談ができれば、刑事事件になることを阻止することができます。

また、刑事事件として立件された後でも起訴される前に示談できれば不起訴になる可能性があります。

強制わいせつ罪や強姦罪などの親告罪では、示談をし告訴を取り消してもらえれば確実に不起訴となります。

初犯の盗撮や痴漢等の迷惑防止条例違反は親告罪ではありませんが示談ができればそのほとんどが不起訴となります。

さらに、起訴された後でも、示談が成立すれば、保釈も認められやすくなりますし、執行猶予が付される可能性が高くなります。

このように、どの段階においても示談は有効な弁護活動となりますので、できるだけ早く専門家である弁護士と相談されることをお勧めします。

 

逮捕されてしまった。

逮捕されると、48時間以内に検察庁に送致され、そこから24時間以内に裁判所に行き勾留質問を受けるという流れになります。

これは勾留をするか否かの手続きになります。

勾留されると、まずは10日間、延長されるとさらに10日間身柄拘束される可能性があります。

検察庁では検察官の取り調べを受けて検察官は勾留請求をするか否かの判断をします。

検察官が勾留請求をすると、今度は裁判所に行って裁判官と面談し、裁判官は勾留をするか否かの判断をすることになります。

つまり、検察官は勾留を請求し、実際に勾留するか否かの判断をするのは裁判官になります。

逮捕された段階で弁護士に依頼することができた場合には、勾留される前に検察官や裁判官に意見書等を提出し、勾留しないよう働きかけることができます。

また、勾留決定された場合には準抗告という不服申立てもすることができます。

当然、事案により、釈放される可能性は変わりますが、できるだけ早く弁護士と相談することが肝心です。

 

不起訴にしてほしい

逮捕されている事件でも、逮捕されていない在宅事件でも、一定期間後に検察官が起訴するか不起訴にするかを判断します。

不起訴になれば前科はつかないことになりますので、この段階に不起訴になることは非常に重要です。

ただ、一概に不起訴と言っても、否認している事件と認めている事件では弁護活動は異なります。

また、認めている事件でも犯罪の内容によって弁護活動は異なります。

例えば、否認している事件では、嫌疑不十分による不起訴を目指すことになりますので、取り調べにどのように対応するかが非常に重要になります。

供述調書に署名押印することを拒否したり、黙秘権を行使するなどして、不起訴を目指すことになります。

これに対して、罪を認めている事件の場合には、反省を示しつつ被害者と示談するなどして、起訴猶予による不起訴を目指すことになります。

罪名によっては、法的な被害者が実態とかけ離れている場合がありますので、示談する際にはどの人と示談すれば効果があるのかも判断しなければいけないので注意が必要です。

また、被害者がいない犯罪については贖罪寄付、通院、カウンセリング等、示談以外の選択肢も考えなければいけません。

このように一口に不起訴といっても多様な判断が必要になりますので、専門家である弁護士に相談することが重要です。

 

保釈してほしい

逮捕勾留されたまま、起訴されてしまうと、起訴後の勾留に切り替わります。

そうなると、裁判が終わるまでは引き続き身柄拘束されてしまうことになります。

ここで、保釈という制度があります。

保釈とは、保釈保証金を裁判所に預けて裁判が終わるまで釈放してもらう制度です。

保釈保証金は戻ってきますが、逃げたり、証拠隠滅をしたり、保釈の条件に違反すると没収されることがあります。

刑事裁判は終わるまでに1月以上かかってしまうことが多いので、保釈が認められるか否かは非常に重要です。

保釈にも要件がありますので、専門家である弁護士とよく相談し、身元引受書等を添付して請求することが重要です。

 

執行猶予を付けたい

裁判を経て判決で執行猶予が付された場合、刑務所にはいかなくてよくなります。

例えば懲役1年6月執行猶予3年の判決がされた場合には、3年間何事もなく過ごしていれば、刑務所にいく必要はなくなります。

逆に執行猶予が付かなく刑務所にいくことを実刑といいます。

執行猶予が付くかつかないかは非常に大きな問題であるとお分かりだと思います。

執行猶予を目指す活動としては、基本的に不起訴を目指す活動と同じになります。

反省文を書いたりして反省を示しつつ、被害者がいれば、示談をしたり、ご家族に情状証人として出廷してもらって、今後の監督を約束してもらったりします。

このような事情を示しつつ、執行猶予を付すよう裁判官に訴えることになります。

事案の内容によっては執行猶予が付かない事案もありますし、法律上、執行猶予が付かない事案もありますので、その場合はできる限り軽い刑を目指すことになります。

なお、執行猶予中の犯行でも、再度執行猶予が付く場合がありますので、諦めずに、まずは、専門家である弁護士に相談されることが重要です。

 

無実を晴らしたい

無実を晴らす段階としては二つの段階があります。

まずは捜査段階で否認し続け、不起訴になる場合。もう一つは、起訴されてしまい、裁判で無罪を争う場合です。

この二つは連動していますので、黙秘権を有効に行使し、一貫して否認を貫くことが重要です。

裁判で無罪を主張しても、捜査段階で自白をしている場合、これを覆すのは中々難しいのが実情です。

そのため、できるだけ早く専門家である弁護士と相談し、否認を貫くことが重要です。

捜査官による脅し等があった場合には、弁護士が抗議文を出すなどして、ご本人が否認を貫ける環境を整えることが重要な活動となります。

もし起訴されてしまった場合には、証人尋問等の打ち合わせや、弁護方針を念密に打ち合わせをして、無罪を主張していくことになります。

無実を晴らす場合、捜査段階からの活動が非常に重要になってきますので、できるだけ早く専門家である弁護士と相談することが重要です。

 

控訴したい

執行猶予を目指していたが実刑になってしまった。

実刑は覚悟していたが予想していたより重すぎる。無罪を主張していたが有罪になってしまった。

このような場合、被告人には控訴する権利があります。

刑事裁判は一審が重要視されます。

そのため控訴審は一審よりも、提出できる証拠が制限されたりと、不自由なところが多いのが実際です。

ただ、不自由だからこそ専門家である弁護士と相談し、できる限りの弁護活動を受ける必要があります。

控訴審のサポートもしておりますので、ご相談ください。

 

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解決事例

事例1 盗撮

【盗撮】駅のエスカレーターで盗撮をして逮捕。余罪が複数あったが弁護活動により勾留されずに釈放。被害者の親御さんと示談して不起訴処分に。
【解説】
息子さんが盗撮で逮捕されてしまったというご家族からのご相談でした。詳細な事情は分からないので、盗撮事件の一般的な説明をして受任し、ご本人に接見して具体的な弁護方針を決めることになりました。
相談後、早速ご本人と接見し、具体的な事情をお聞きしました。まず犯行を認めていること、余罪の数、被害者の数、会社員であること等を確認し、ご本人には、被害者に対する反省文と共に逃亡しない及び罪証隠滅をしない旨の誓約書を書いていただき、宅下げしました。それらと一緒に、ご家族の上申書や身元引受書等を添付した意見書を検察官に提出し、勾留されずに釈放されました。示談についても被害者が未成年だったのですが法定代理人である親御さんと示談が成立し無事不起訴処分となりました。
本件は盗撮事件で逮捕されてしまった事案でした。盗撮事件の場合には逮捕されないケースも多いのですが、本件は被害者本人に現行犯逮捕されてしまったケースでした。盗撮事件で逮捕された場合でも適切な対応をすることによって勾留されずに釈放されることがあります。本件でも、ご本人には反省文や誓約書、ご家族には上申書や身元引受書等を用意していただき、意見書に添付して提出したところ、勾留されずに釈放されました。早期に釈放されたので、勤務先には知られずに済みました。このように早期に対応したのが良かったと思います。
次に処分関係ですが、盗撮事件の場合、被害者と示談することによって不起訴になる例は多いです。そのため、まず、弁護人から検察官に対して被害者の連絡先を教えてほしいと依頼しました。その結果、依頼者本人には連絡先を教えないという約束の元被害者の連絡先を聞くことができました。被害者とも無事示談が成立し不起訴処分となりました。なお、被害者が未成年の場合、法定代理人である親御さんと示談することはポイントだと思います。

事例2 盗撮

【盗撮】
スーパーの店内で盗撮。余罪が数十件あったが本件の被害者と示談して不起訴処分に。
【解説】
本件は、スーパーの店内で盗撮してしまったというご本人からの相談でした。前科の有無や余罪の数、被害者の数等が不明であったため、これらを聴取したうえで弁護方針を提案することにしました。
 前科はないこと、被害者が1人であること、ただ余罪の数が数十件以上あり、盗撮写真事態は数百枚あり、これらは捜査機関に押収されていることが判明しました。余罪が多いので、本件の被害者と示談が成立したとしても罰金等の処分になる可能性があることを説明の上受任しました。
受任後、弁護人が検察官から被害者の連絡先を聞いて、示談交渉を開始。数回示談交渉をしたうえで無事示談成立。処分も不起訴処分となりました。
 本件は盗撮の在宅事件の事案でした。盗撮事件の場合には逮捕されないで、警察や検察の呼び出しがあった場合に出頭するという在宅事件の形式が採られることが多い事件類型で、本件もそうでした。本件の特徴としては前科はないが余罪が大量にあり、かつそれらが捜査機関に把握されているという点でした。当然余罪が多いということは被害者も多数いるということで、本件の被害者のみと示談すれば不起訴になるという保証はありませんでした。
そのため、示談をしても罰金等の処分になる可能性があることを説明し、受任することになりました。結果としては示談が成立し不起訴処分になりましたが、担当検察官の考え方やご本人の反省態度等によって処分が変わる可能性もあります。

事例3 盗撮

【盗撮】
駅直結のショッピングモールのエスカレーターで盗撮をした事件。被害者の親御さんと示談して不起訴処分に。
【解説】
本件は駅直結のショッピングモールのエスカレーターでの盗撮事件でご本人からの相談でした。盗撮事件の場合、前科前歴の有無や余罪の数、被害者の数等が処分に大きく影響しますので、それらを聞き取ったうえで弁護方針をご提案することにしました。
相談の結果、前科前歴がないこと、被害者も一人であることから、示談が成立すれば不起訴処分になる可能性が高いことを説明して受任することになりました。ご本人の事情でなんとしても前科を付けたくないとのことでしたので、示談の成立の可能性も説明しました。本件では被害者が未成年であることから法定代理人である親御さんと示談する必要があることも説明しました。
本件は盗撮の在宅事件の事案でした。盗撮事件の場合には逮捕されないで、警察や検察の呼び出しがあった場合に出頭するという在宅事件の形式が採られることが多い事件類型で、本件もそうでした。本件は前科前歴もない普通の社会人の方が起こした事件で、盗撮事件としてはごく一般的なものであると考えられます。
ただ、被害者が未成年だったので法定代理人である親御さんと示談をする必要がありました。通常通り、弁護人から被害者の連絡先を聞き、示談交渉の末無事示談成立。処分も不起訴処分となりました。前科を付けたくないというご本人の希望も叶えられて良かったと思います。

事例4 盗撮

【盗撮・少年事件】
少年事件の盗撮事件。被害者と示談し審判不開始。
【解説】
本件は駅のエスカレーターで盗撮をしてしまったというご相談でした。ご本人と親御さんがご一緒に相談にいらっしゃいました。盗撮事件場合、前歴や余罪の有無、被害者の数等、種々の事情によって処分が変わりますので、具体的な事情を聴いたうえで弁護方針を提示することとしました。
ご本人が少年であること、前歴や余罪がないこと、被害者が1人であること等から、被害者と示談をして、審判不開始又は不処分を目指して弁護することになり受任しました。弁護人から警察官に被害者の連絡先を聞き、被害者の法定代理人である親御さんと数度の示談交渉の末、示談が成立しました。示談書を警察に提出し、審判不開始で事件は終了しました。
本件は少年事件であったことから、少年審判の処分を考えて弁護活動をする必要があります。経験的に、盗撮事件の場合、被害者と示談が成立すれば審判不開始又は不処分が目指せるので、それを目指して弁護活動をしました。結果的に示談は成立して審判不開始になりました。ご本人は反省している様子でしたので、今後は夢にむかって頑張ってほしいと思います。

事例5 痴漢

【痴漢】
電車の中で隣に座っていた女性の太腿等を触るという痴漢事件。同種前歴があったが、被害者と示談して不起訴処分。
【解説】
電車の中で痴漢事件を起こしてしまったというご本人からの相談でした。痴漢事件では罪名や前科前歴の有無等で大きく処分が変わってくるので、これら詳細な事情をお聴きした上で弁護方針を提示することとしました。
相談者様には、前に痴漢事件を起こしたことがあり、その時は弁護士を雇い不起訴処分になったという前歴がありました。しかもその件は数年前でした。
そのため、今回被害者と示談したとしても必ずしも不起訴処分になる保証はないことを説明したうえで受任することになりました。受任後、弁護人から警察官に連絡をして、被害者の連絡先を聞きました。そして、数度示談交渉をして示談は成立しました。処分も幸いなことに、今回も不起訴処分となりました。
本件は、前科はないが、前にも痴漢事件を起こして被害者と示談をして不起訴処分になったことがあるという前歴がある方の痴漢事件でした。条例違反の痴漢は親告罪ではないため、示談したからと言って必ずしも不起訴になる保証はありません。
そして、前歴がある場合には示談しても不起訴にならない可能性は高まります。ましてやその前歴が近ければ近いほど可能性は上がると思われます。本件では事件後すぐに謝罪活動をしたことで示談が早期に成立したこと、ご本人が真摯に反省していたことなどから、不起訴処分になったと考えられます。

事例6 痴漢

【痴漢】
電車の中で女性の臀部等を服の上から触るという痴漢事件。以前に痴漢で罰金になった前科があったが、被害者と示談し、また性依存症治療も受けて、今回は不起訴処分。
【解説】
電車の中で痴漢事件を起こしてしまったというご本人からの相談でした。痴漢事件では罪名や前科前歴の有無等で大きく処分が変わってくるので、これら詳細な事情をお聴きした上で弁護方針を提示することとしました。
相談後、ご本人が以前に痴漢事件を起こし罰金刑になった過去があることが判明しました。痴漢事件では被害者と示談が成立すれば不起訴処分になる可能性が高い事件類型ではありますが、前科がある場合には示談が成立しても必ずしも不起訴になる保証はありません。その旨を説明したところ、被害者に謝罪したい気持ちは変わらないとのことだったので、受任することになりました。弁護活動としては示談活動をするとともに、ご本人には性依存症治療を受けてもらうことになりました。弁護人が被害者と数度会い、無事示談が成立しました。
そして、数か月間ご本人には性依存症治療のクリニックを受任してもらい、その証拠も示談書とともに検察官に提出し、今回は不起訴処分となりました。
本件は同種前科のある痴漢事件でした。同種前科ある場合でも示談をすれば不起訴になる可能性はあります。ただ、当然ですが前科前歴がない場合に比べれば不起訴にならない可能性が高まります。
そのため、依頼者に同種前科がある場合、私は示談とともに性依存症治療を勧めています。痴漢を何回もしてしまう人は痴漢が悪いことだとわかっている方がほとんどです。それでもやってしまうのは一種の病気です。そのため、再犯防止の観点から病院治療を勧めているのです。結果として、再犯防止の活動をしていることが処分に有利に考慮されることがありますが、本件は検察官が有利に考慮してくれたのだと思います。

事例7 痴漢

【痴漢】
路上で女性の胸を服の上から触ったという痴漢事件。逮捕されたが弁護活動により勾留されずに釈放。被害者とも示談が成立し不起訴処分。
【解説】
ご主人が逮捕されてしまったという奥様からの相談でした。警察から逮捕したと連絡があっただけで、なんで逮捕されたのかもご存じない状態だったので、まずはご本人に接見して事情をお聴きしてから具体的な弁護方針を提示することにしました。
ご本人と接見したところ、飲み会の帰り道に酔って路上を歩いていた女性の胸を触ったとのことでした。ご本人はとても反省していると同時に会社員であったことから仕事がどうなってしまうのかをとても心配していました。ご本人には、痴漢事件の一般的な説明とともに、まずは勾留を阻止すること、そして被害者に謝罪を尽くして示談成立を目指す弁護方針を提示しました。そのうえで、ご本人には謝罪文や誓約書を作成してもらい、ご家族には上申書や身元引受書を作成してもらい、意見書に添付して検察官に提出しました。
そうしたところ、勾留されずに釈放されました。その後、被害者側代理人弁護士同席のもと示談交渉を数回して、無事示談が成立しました。処分も不起訴処分となりました。
本件は、痴漢事件で逮捕されてしまった事案です。条例違反の痴漢事件の場合、適切な対応をすれば勾留されずに釈放される可能性があります。
また、処分についても被害者と示談することによって不起訴処分となる可能性があります。本件でも勾留されずに釈放され、示談も成立して不起訴処分となりうまくいった事案といえます。早期に釈放されたため、会社にも事件のことはバレずにすみ、この点も非常に良かったと思います。

事例8 痴漢

【痴漢・少年事件】
少年事件で、路上で女性の胸を触ったという痴漢事件。逮捕勾留されていたが弁護活動により準抗告が認容されて釈放。被害者の親御さんと示談が成立して、少年審判では不処分。
【解説】
息子さんが痴漢で逮捕勾留されているという親御さんからの相談でした。相談にいらっしゃった時には既に勾留決定がされて数日経っている状態でした。親御さんは詳しい事件の内容はご存じなかったので、まずはご本人と接見して詳しい事情を聴いたうえで、具体的な弁護方針を提示することにしました。
ご本人と接見したところ、路上での痴漢行為であり条例違反の事案であること、認めており反省していること、学校があること等が判明しました。勾留決定がされて既に数日経っていましたが準抗告を申し立てることにし、ご本人に謝罪文や誓約書を書かせ、親御さんには身元引受書や上申書を作成してもらい、準抗告申立書に添付して申し立てました。また、被害者との示談も並行してすることにし、被害者の親御さんとも連絡が取れ面談することができました。裁判官との面談電話の際には被害者の親御さんも事務所にいらっしゃっている時で、裁判官にはその旨説明しました。
そうした活動をしていたところ、準抗告が認容されて釈放されました。また、示談もほどなくして成立しました。それからしばらくたって少年審判があり、事前の調査官意見では保護観察相当でしたが、弁護士が付添人として不処分相当意見を出したところ、審判では不処分となりました。
本件は少年事件で路上での痴漢という事件でした。親御さんが相談に来た時には既に勾留決定されてから数日が経っていました。条例違反だったため国選弁護人も付いておらず、また本人が少年であったことから当番弁護士も呼んでおらず、弁護を受ける権利を一切受けていませんでした。
そこで、まずは準抗告をしたところ認容され、釈放されました。また同時並行していた示談も成立し、審判では調査官の意見を覆して不処分となりました。迅速に諦めず活動した成果だと思います。

事例9 準強姦

【準強姦】
飲酒酩酊した被害者を姦淫したという準強姦罪。被害者の代理人弁護士と示談が成立し不起訴処分。
【解説】
ご主人が準強姦罪で逮捕されたという奥様からの相談でした。詳しい内容はご存じなかったため、まずはご本人と接見して詳しい事情を聴いたうえで具体的な弁護方針を提示することとしました。
ご本人に接見したところ、飲み会で飲酒酩酊した被害者を姦淫したという準強姦の事件であることが判明しました。ご本人も罪を認めていたことから、示談を目指して弁護活動をすることになりました。弁護人から検察官に連絡し、被害者の連絡先を聞いたところ、被害者側に代理人の弁護士が付いていることが判明しました。
そこで、被害者側の弁護士に連絡し、弁護士同士で交渉した結果示談が成立し、不起訴処分となりました。
本件は、飲酒酩酊した被害者を姦淫するという準強姦罪では比較的よくある事件類型であるといえます。準強姦罪は親告罪(当時)であったため、示談が成立し告訴を取り下げてもらえれば確実に不起訴処分となりました。そのため、まずは示談することが最重要でした。
現在では親告罪ではなくなり確実に不起訴になるということはなくなりましたが、それでも示談の重要性は変わらないと思われます。

事例10 強制わいせつ

【強制わいせつ】
未成年の女性をショッピングモールのトイレに連れ込み胸を触るなどのわいせつ行為をしたという強制わいせつ事件。被害者の親御さんと示談が成立して不起訴。
【解説】
ご主人が強制わいせつ事件で逮捕されてしまったという奥様からの相談でした。罪名と捕まっている警察署、どうやら否認しているらしいという情報しか把握していらっしゃいませんでしたので、とにかくまずはご本人と接見して詳細な事情を聴いたうえで具体的な弁護方針を提示することになりました。
ご本人と接見したところ、当初は強制性を否認していました。しかし、詳細な事情をお聴きしていく中で矛盾点を指摘していくと認めるという方向になりました。
そして、認める場合には示談が有効であることから示談活動をすることになりました。弁護人から検察官に連絡を取り、被害者情報を聞き、被害者の法定代理人である親御さんと示談交渉をして、勾留満期前に無事示談成立となりました。処分も不起訴処分となりました。
本件はショッピングモールのトイレに未成年の女性を連れ込んで胸を触るなどの行為をしたという強制わいせつ事件です。最初に接見した時にはご本人は否認をしていました。しかし弁護人が詳細に事情聴取をして矛盾点を指摘したところ認めに変わりました。こういうケースはよくあります。本当はやっているのに否認していても良いことはありません。認めた場合には認めた場合なりの弁護活動があります。嘘をついて否認していると示談交渉の機会も失われてしまう危険性があります。今回は早期に正直に認めに転じたことで、示談交渉にも早期に着手することができ、示談が成立し、不起訴処分となりました。なお、本当にやっていないのに認めに転じることは許されません。これも嘘をついていいことはないと思われます。嘘をついて認めに転じたからといって示談が成立する保証はありません。この場合は否認を貫くべきです。否認するにしても認めるにしても虚偽を述べないということが重要ということになります。

事例11 痴漢・強制わいせつ

【痴漢・強制わいせつ】
電車の中で前に立っていた女性の下着の中に手を入れて痴漢をしたという強制わいせつ事件。逮捕されたが、弁護活動により勾留請求却下。被害者の親御さんと示談して不起訴処分に。
【解説】
ご主人が痴漢で逮捕されてしまったという奥様からの相談でした。痴漢で逮捕されてしまっているということ、逮捕されている警察署以外の情報を把握されていらっしゃらなかったので、とにかくまずはご本人と接見して詳細な事情を聴取したうえで、具体的な弁護方針を提示することとしました。
ご本人と接見して事情聴取をしたところ、電車の中で前に立っていた女性の下着の中に手を入れて痴漢をしたという強制わいせつの事案でした。当初ご本人は否認していましたが、弁護人が詳細な聴取をしたところ認めに転じることになりました。そして認めた場合には示談が有効であることから示談活動をすることになりました。
そして会社員であったことから勾留阻止活動もすることにし、ご本人には謝罪文と誓約書を作成してもらい、奥様には身元引受書や上申書を作成してもらいました。それらを添付した意見書を裁判官に提出したところ、検察官の勾留請求は却下され釈放されることになりました。釈放後、弁護人が被害者の連絡先を聞き、数度の示談交渉の末、無事示談成立となり、処分も不起訴処分になりました。
本件は痴漢事件でありながら、罪名は条例違反ではなく強制わいせつの事件です。痴漢の場合、条例違反と強制わいせつの明確な区別は難しいのですが、下着の中に手を入れて痴漢行為をすると強制わいせつ罪として立件される傾向があります。条例違反と強制わいせつは量刑が全然違い、強制わいせつ罪の方がかなり重い量刑を科されます。条例違反の場合には罰金刑がありますが、強制わいせつ罪の場合には罰金刑はありません。それに伴い、強制わいせつ罪で逮捕された場合、勾留までされてしまう可能性が非常に高くなる傾向があります。
本件は強制わいせつ罪でありながら適切な弁護活動をした結果、勾留請求が却下されて釈放されたケースです。そして、示談も無事成立し、処分も不起訴処分となりうまくいったケースといえます。ちなみに、本件では早期に釈放されたので、勤務先にもバレずにすんだ点も良かったといえます。

事例12 暴行

【暴行・飲酒】
飲み会で飲酒後酩酊し、飲食店の従業員を殴る等の暴行をしたという事件。示談が成立し不起訴処分。
【解説】
暴行罪の容疑で取り調べを受けているというご本人からの相談でした。すでに検察官の取り調べまで受けており、起訴すると言われている状態でした。否認か認めかも分からない状態でしたので、相談で詳細な事情聴取をして、相談後に具体的な弁護方針を提示することにしました。
ご本人から事情を聴取したところ、ご本人は当時飲酒酩酊しており、当時の記憶がないことから、その旨主張していたところ、否認として扱われて検察官に起訴すると言われている状態であることがわかりました。そのうえで、ご本人は記憶はないが、目撃者もいることなので、被害者に謝罪して示談したいという希望でした。
このような希望を受けたため、示談する方向で受任しましたが、まずは、検察官の起訴を止めないといけないので、弁護人から検察官に連絡を入れて被害者と示談したいこと、示談交渉の結果が出るまで処分を待つように伝え、検察官の了承を得ました。その後、検察官から被害者の連絡先を聞き、示談交渉の結果無事示談は成立し、処分も不起訴処分となりました。
本件は飲酒酩酊によって当時の記憶がないため、そのまま供述していたところ否認事件として扱われていた事件です。暴行事件に限らず、痴漢事件でも飲酒によって当時の記憶がないことはよくあります。このような場合、記憶がなくてもやっていたと思うなら認めて示談活動をし、記憶がなくかつ自分はそんなことはやっていないと思う場合には否認の弁護活動をすることになります。目撃者の有無等もその際の判断材料になるかと思います。本件では記憶はないが目撃者もいるのでやっていたと思う、被害者に謝りたいという希望でしたので、その希望通りの弁護活動をすることにしました。また、本件の特徴として検察官の取り調べ段階まで進んでいたことがあります。
これも暴行事件に限らず、痴漢や盗撮事件でも多いのですが、検察官の取り調べを受けて、あわてて弁護士に相談に来るケースです。このような場合、検察官が終局処分をしてしまう可能性があるので、示談をしたい場合には、まずは終局処分をストップしてもらい、示談活動に着手することが重要です。本件はストップしてもらい、示談も成立し不起訴処分になりうまくいったケースといえます。

事例13 暴行 中国人

【暴行・外国人】
中国人の男性。飲酒しカラオケ店の店員に暴行を働き逮捕。検察官送致前に示談を成立させ検察官に送致後釈放。その後不起訴処分。
【解説】
事件を起こしたご本人は中国籍の男性で、深夜に飲酒酩酊し、カラオケ店の店員を殴る等の暴行をしたという事案でした。ご本人は逮捕されており、ご相談は、事件当時一緒にいたという知人女性でした。ある程度の事情は分かりましたが、ご本人がいま認めているのか否かも分からなかったので、まずはご本人と接見をして詳細な事情聴取をした後に具体的な弁護方針を提示することにしました。
ご本人と接見したところ、まだ酒に酔っている状態でしたが、暴行したことは認めているとのことでした。そのため、示談活動をしつつ勾留阻止活動をすることにしました。被害者はカラオケ店の店員であることがわかっていましたので、弁護人から早速そのカラオケ店に電話をいれ、示談をセッティングしてもらいました。そして示談に赴き、相談者である知人女性に示談金も持参してもらい、無事示談が成立しました。
翌日、ご本人は検察官に送致されたのですが、送致前に示談が成立していたので、示談書等を提出し、無事勾留されずに釈放されました。釈放後しばらくして、処分も無事不起訴処分となりました。
本件は暴行の逮捕事案で、検察官送致前に示談が成立した事件です。示談が成立していたため勾留請求されることもなく釈放され、処分も不起訴処分となりました。
通常被害者と示談する場合には検察官等を通じて被害者の連絡先を聞くのですが、本件は被害者がカラオケ店の店員であったことから検察官等を介さなくても連絡が取れたのが非常に大きかったと思います。相談者にも協力いただいて、示談場所に示談金を持参してもらいながら、なんとか検察官送致前に示談が成立しました。その結果勾留請求もされずに釈放され、処分も不起訴処分となったので非常に良かったと思います。

事例14 死亡事故 轢き逃げ

【死亡轢き逃げ事故】
横断歩道上で歩行者を轢き、被害者を死亡させた死亡事故。また現場から逃走したためひき逃げ事案。被害者がいきなり飛び出してきたため過失を争い罰金処分に。
【解説】
本件は、事故を起こしてしまい現場から逃走してしまったというご本人とそのご両親の相談でした。顔面蒼白の状態での相談でしたが、詳しい事情が分からないので、事情聴取後に具体的な弁護方針を提示することにしました。
事実を詳細に聞き取ったところ、被害者がいきなり飛び出してきたことが判明したため、過失は争うという方針にしました。ただ、事故を起こした認識がありながら現場から逃走したことも判明したため、この部分は認めるという方針になりました。相談後はまず、警察に自首し、これに弁護士が付き添いました。その後約1月後に逮捕されましたが、過失運転致死については不起訴になり、ひき逃げつまり救護義務違反のみ略式起訴されて罰金刑となりました。
本件はひき逃げ死亡事故の事案です。ひき逃げ死亡事故の場合には過失運転致死罪+救護義務違反の2つの罪名が合わさります。前者は過失犯で後者は故意犯であり、否認するポイントが違います。本件では詳細に事情聴取をした結果、前者は否認することになり、後者は認めることになりました。その結果、こちらの主張が認められ、処分も罰金刑でおさまりました。

事例15 死亡事故 否認

【死亡事故・過失否認】
夜間の信号機付横断歩道上での死亡事故。被害者が信号無視をして飛び出してきたため過失を争い、不起訴処分に。
【解説】
本件は夜間に死亡事故を起こしてしまったというご本人からの相談でした。事故状況がまったく不明でしたので、詳細な事情聴取後に具体的な弁護方針を提示することとしました。
相談で事情を聴取したところ、たしかに横断歩道上の事故ではあったが、相談者は青信号に従って進行していたこと、自動車信号が青の場合歩行者信号は赤であること、歩行者がいきなり飛び出してきたことが判明しました。
この時点で、大枠で過失を争う方向で弁護方針を提示しました。そして、その後、相談者と一緒に現場検証に行き、写真撮影を行い、検察官に不起訴処分にするように意見書を提出しました。その結果処分は不起訴処分となりました。
本件は過失運転致死罪で過失を争い不起訴処分になった事案です。よく勘違いされている方がいらっしゃいますが、自動車対歩行者の事故でも運転者に過失がない場合には、不起訴処分になります。本件では、被害者である歩行者が赤信号を無視して飛び出してきたという主張が認められて不起訴処分になりました。過失犯の場合、故意犯と違い被害者対応が難しい場合が多いです。本件でも相談者は過失は争っていましたが轢いてしまった事実には変わりがないのでと、遺族には謝罪をして事故現場にも花を供えていました。ただ、金銭的な賠償は法的な問題や保険会社の連携もありますので、弁護士とよく相談しながら進めるのが良いと思います。

事例16 特殊詐欺 執行猶予

【特殊詐欺・執行猶予】
オレオレ詐欺の受け子の事案で、被害者全員と示談を成立させ執行猶予判決を獲得。
【解説】
息子がオレオレ詐欺の受け子をして逮捕勾留中だという親御さんからの相談でした。再逮捕もされた上で既に何件か起訴された段階での相談でした。国選弁護人が選任されていましたが、連絡はあまりとれておらず、余罪の数や被害金額や手口など詳細な事情は何も把握していらっしゃいませんでしたので、まずはご本人と接見してから具体的な弁護方針を提示することにしました。
本人と接見したところ、バイト感覚でネットで応募して受け子をやったとのことでした。3件やって4件目に現行犯逮捕されたとのことでした。被害者総額は1000万円を超えていました。4件すべて起訴されていました。オレオレ詐欺事件では厳罰傾向があり、執行猶予が付かない実刑判決になる可能性が非常に高い事案ではありますが、量刑を少しでも軽くするためには被害弁償が有効であるため、示談活動をすることにしました。
とはいえ、ご本人は一切の報酬を受け取っておらず、詐取金もすべて組織の上の者に渡してしまっていたため、被害弁償を単独ですることが不可能でした。そこで、親御さんの協力を得て、分割払いでの被害弁償を申し込み示談交渉をしました。そして、被害者全員と面会し示談交渉をした結果、被害者全員と示談を成立させることに成功しました。その後、公判弁護活動を行い、執行猶予判決を獲得することができました。
本件はいわゆるオレオレ詐欺の受け子の事案です。オレオレ詐欺等の特殊詐欺事件は厳罰傾向があり、前科がなくても実刑判決になる可能性が非常に高い事件類型です。ポイントは被害者全員と示談が成立したことだと思います。本人は支払い能力が乏しかったことから、親御さんに保証人になってもらうなどの工夫をしました。
また、被害者の中には同情してくれる方までおり、嘆願書まで書いていただくことができました。もちろん、本人の真摯な反省が前提だとは思いますが、このような弁護活動の結果執行猶予判決を獲得できました。

事例17 特殊詐欺 執行猶予

【特殊詐欺・執行猶予】
弁護士や公的機関職員を騙って金銭を騙し取ったという特殊詐欺事件。被害者と示談を成立させ執行猶予付き判決を獲得。
【解説】
詐欺で逮捕されてしまったというご相談でした。詳細な事情をお聴きしたあとで具体的な弁護方針を提示することとしました。
事情をお聴きしたところ、被害者はお一人で被害金額は1000万円を超えていました。弁護士からは取り調べ対応等をアドバイスし、その通り実践していただきました。また、被害者との示談が有効でしたので示談活動をすることにしました。ご本人には支払い能力に不安があったので、親御さんの協力を得て示談が成立しました。そのうえで、公判弁護活動を行い執行猶予判決を獲得しました。
本件は、弁護士や公的機関職員を騙って過去に詐欺被害に遭った被害者に被害金回復名目にさらに金銭を騙し取るという悪質な事案でした。このような特殊詐欺事件は厳罰傾向があり、執行猶予が付かない実刑判決になる可能性が非常に高い事件類型であるといえます。しかし、このような事案でも被害者と示談を締結し、親御さんにも情状証人になってもらい、本人は真摯に反省していたことから執行猶予付きの判決を獲得できたと思われます。

事例18 児童ポルノ 不起訴

【児童ポルノ・不起訴】
18歳未満の女子に裸体の画像をメールで送らせたという児童ポルノ事件。被害児童の親御さんと示談成立し不起訴処分。
【解説】
ネット上で知り合った女子児童に裸体画像をメールで送らせて、警察に呼び出しを受けたというご本人からの相談でした。詳しい事情や余罪の数などが分からなかったため、相談後に具体的な弁護方針を提示することにしました。
相談したところ、被害児童は一人であることが判明しました。また、余罪は見当たりませんでした。そのうえで、被害児童の法定代理人である親御さんと示談をしていくという方向になりました。結果的には被害児童の親御さんと示談が成立し、処分も不起訴処分となりました。
本件は児童ポルノ製造事件です。児童ポルノ事件の場合、保護法益の問題から被害児童と示談をしても不起訴にならない可能性があります。この点をよく理解したうえで示談に臨むことが重要かと思います。本件でも、依頼者は十分に理解したうえでそれでも被害者に謝りたいとのことで示談活動をすることにしました。結果的には示談が成立し、処分も不起訴処分を獲得することができました。

事例19 淫行 不起訴

【青少年保護育成条例違反・淫行・不起訴】
18歳未満の女子に金銭を提供しないで性行為を行ったという青少年保護育成条例違反の事案。被害者の親御さんと示談が成立し不起訴処分。
【解説】
18歳未満の女子に金銭を渡さないで性行為をしたという青少年保護育成条例違反の事案で、ご本人からの相談でした。余罪の有無や前科の有無など詳しい事情が分からなかったため相談後に具体的な弁護方針を提示することにしました。
相談したところ、被害者はお一人で相談者には前科前歴がないことなどが判明しました。そのため、被害女子の法定代理人と示談をして不起訴を目指して活動をすることになりました。弁護人から検察官に被害女子の親御さんの連絡先を聞き、示談交渉をした結果無事示談は成立し、処分も不起訴処分となりました。
本件はいわゆる淫行、青少年保護育成条例違反の事案でした。淫行の場合、保護法益の問題もあって、示談したからといって必ずしも不起訴にならないことがあります。このようなことを十分理解したうえで示談活動をする必要があります。本件でも相談者は理解したうえでそれでも被害者に謝罪したいということで示談をすることになりました。結果として示談は成立し、処分も不起訴処分となりました。

事例20 大麻 否認

【大麻・否認事件】
大麻及び麻薬の所持容疑で逮捕勾留されるも所持の故意を否認し不起訴処分。さらに別件の大麻の営利目的所持容疑で逮捕勾留されるも完全黙秘しこちらも不起訴処分。
【解説】
息子さんが大麻の所持で逮捕されてしまったという親御さんからの相談でした。詳しい事情が分からなかったので、まずはご本人と接見してから具体的な弁護方針を提示することにしました。
ご本人と相談した結果、自宅にあった大麻や麻薬はご自身の物ではないとのことでしたので、所持の故意を否認しました。しかし、捜査官に無理やり自白させられていたので、まずは、自白を打ち消すために抗議文を警察署と検察庁に送付しました。そのうえで、しっかりと否認の主張をしてもらいました。
その結果、本件は不起訴処分となり釈放となりました。そうしていたところ、今度は別件の大麻取締法違反で逮捕勾留されてしまいました。こちらもまったく身に覚えがないとのことだったので黙秘をしてもらうことにしました。その結果勾留満期日に不起訴処分となり釈放されました。
大麻で二度逮捕勾留されるも両方とも不起訴処分となるという稀有な事例かと思います。しかもこの2件は別の県警が動いており、勾留場所は別の県の警察署でした。1件目は弁護士が接見した時には自白をさせられている状態で非常に不利な状態でした。
しかし抗議文を送付するとともに以後はしっかりと否認の主張をしてもらうことにより不起訴処分を勝ち取ることができました。2件目は共犯事件として逮捕されましたが、ご本人にはまったく身に覚えがなく否認の主張すらする必要がないとの考えから黙秘を貫徹してもらいました。その結果勾留満期日に釈放され、不起訴処分となりました。

事例21 大麻・韓国人・執行猶予

【大麻・韓国人・執行猶予】
韓国人留学生。大麻の輸入等で計3回の逮捕勾留された上で起訴。弁護活動により執行猶予判決獲得。退去強制前に自主出国。
【解説】
ご本人に接見したところ、自己使用目的で複数回大麻を輸入していたことが判明しました。また、税関に止められている物もあること、逮捕時に自宅で大麻等が押収されたことも判明しました。事情を聴取したうえで、今後の見込みや取り調べ対応等を説明しました。既に当番弁護士が接見した後でしたが、私に依頼したいとのことでしたので受任することとしました。余罪が複数あったことから逮捕勾留を3回ほどされてしまいましたが、内1回の勾留延長のタイミングでは準抗告が認容されて勾留期間が短くなりました。その後、起訴をされて公判弁護も担当することになりました。公判では韓国にいるご両親にも協力いただいて情状証人になっていただきました。また留学先の教員にもご協力いただき情状証人になっていただきました。本人には反省を深めてもらうために、薬物に関する本を差し入れしてそれを読んでもらったうえで反省文を作成してもらい、それを報告書形式で裁判所に提出しました。以上の弁護活動を行った結果、無事に執行猶予判決を獲得しました。判決当日にご本人は釈放され、判決の傍聴に来ていたご両親と一緒に韓国に帰国しました。
守秘義務があるので、ここでは多くを書けませんが、本件では余罪が多く、取り調べ対応が非常に難しかった事件といえます。また、ご両親や身内が日本国内にはいらっしゃらなかったので、身元引受人がいない事件でした。それでもなんとか立件数を減らせるように取り調べのアドバイスをし、また、勾留期間を減らせるように勾留延長に対する準抗告を諦めずに申し立てしました。また、公判も海外にいるご両親の協力を得ながら活動し、留学先の教員にもご協力いただきました。本人にも反省を深めてもらうために薬物に関する本を差し入れして反省文を作成してもらい、それを報告書形式で提出しました。これらの弁護活動の結果、執行猶予判決を得ることができました。また、判決当日に釈放されたので、入管に収容されて退去強制されることなく、ご両親と一緒に帰国することができました。

事例22 詐欺・中国人・不起訴

【詐欺・中国人・不起訴】
中国国籍の女性。共犯者と偽造クレジットカードを使用して買い物したという容疑で逮捕勾留された詐欺事件。黙秘を貫き不起訴処分。
【解説】
ご本人と接見したところ、偽造クレジットカードを共犯者と共に使用して買い物をしたという詐欺容疑であることが判明しました。また、ご本人には身に覚えがなく、どうやら事件当時交際していた人の事件に巻き込まれたような様子でした。ご本人は否認しても警察や検察官はまったく信じてくれないとおっしゃっていましたので、黙秘を指示しました。ご本人も勾留中頑張り黙秘を貫徹しました。その結果不起訴処分となり、釈放されました。
本件では一緒に逮捕されていた共犯者は起訴されていましたので、かなり危険な状態でした。そのような状態ではご自身の主張をしっかりしてもらうというのも一つの選択肢かと思いますが、本件では取調官が一切ご本人の主張を信用せず捜査側のストーリーを押し付けようとしていたので、黙秘をしてもらうことにし、それが功を奏したと思います。黙秘を勾留期間続けるというのはとても大変なことです。そのため、弁護士のサポートが必須と言えます。本件でも弁護人がこまめに接見に行って励ましたことによって黙秘が貫徹できたと思われます。

事例23 窃盗・ベトナム人・不起訴

【窃盗・ベトナム人・不起訴】
ベトナム人留学生。衣類販売店で上着を窃取したという窃盗容疑で逮捕勾留された事件。否認を貫き不起訴処分。
【解説】
接見をしたところ、衣類店で商品を精算しないで外に持ち出したという窃盗容疑であることが判明しました。ご本人は商品を外に持ち出したことは認めるが持ち出した認識がないと故意を否認していました。私も当初は疑わしいと思いましたが、別の商品を買っていることや別の商品を手に持った経緯や、手に持った商品を忘れて店外に持ち出した経緯を聞きご本人の主張を信用することができました。そこで、取り調べ対応の指示をしたうえで故意否認の弁面調書を作成しました。そのうえで勾留期間主張を貫徹してもらった結果、不起訴処分となりました。
本件は窃盗の故意否認の事案でした。最初は私も疑わしかったですが、話をよく聞くと信じるに値する話であったことから否認の主張を貫徹してもらうことにしました。ベトナム人であり通訳をはさんでの会話だったので一回の接見時間は長時間になりました。また弁面調書を取る時も長時間かかりました。このように取り調べ対応をしてもらいながら証拠保全もしていました。そして勾留期間満期直前に検察官が取引を持ち掛けてきましたが否認を貫き無事不起訴処分となりました。

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