【在留特別許可の弁護士】在留特別許可の裁判例 福岡高裁平成17年3月7日判決

1 事案
 本件は,中国残留邦人であるA(日本人)の実子及びその配偶者又は孫として本邦の上陸許可を得たXら(在留資格はX3,6が実子として「日本人の配偶者等」,X1,2,4,5,7が実子の配偶者又は孫として「定住者」)が,後にX3,6がAの実子でないことが判明してXらの上陸許可を取り消されるなどしたところ,在留特別許可を求めてY1に異議を申し出たが異議に理由がない旨の裁決を受け(本件裁決),これを受けたY2の退去強制令書発付処分(本件発付処分)を受けた。Xらは,本件裁決・本件発付処分が裁量権を逸脱した違法な処分であるとして,処分取消を求めた。
 X3,6は,中国人夫婦の子として出生した中国人であるが,母がAと再婚したため,Aの連れ子(継子)となったものである。X3は,中国人と結婚するまでAと同居していたものであり,Aが日本への永住手続を取った後,X3が実子であるとのAの誓約書を得て,子X1,2と共に本邦の上陸許可を得た。X6は,母の再婚直後,他の中国人の養子となり,X1~3が本邦に入国した後,X6が実子であるとのAの誓約書を得て,夫X7,子X4,5と共に本邦の上陸許可を得た(X3,6がAの実子であるとの申請は虚偽であった。X6は,他人2人をその実子〔Aの孫〕とした虚偽の申請もしていた。)。

 2 1審判決
在留特別許可を付与しないことが違法となるのはこの判断が全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限られるとした上で「,X3,6がAの実子であるとの虚偽の身分関係を計画的に作り上げて入国したことは重大な違法であり,Aの継子であったからといって裁量権の範囲は限定されないなどとして,Xらが入国後は平穏な生活を送っていたことを考慮してもなお,在留特別許可を付与しないことが社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるといえないとして,Xらの請求をいずれも棄却」したため,これを不服とするXらが控訴した。

 3 高裁の判断
本判決は,1審判決と同様の裁量権の範囲を示した上で,本件各処分がXらが主張するようにB規約や児童の権利条約に違反するものではないにしても,在留特別許可の付与を判断するにあたって,条約の精神や趣旨を重要な要素として考慮しなければならないとした。
 その上で,AとX3,6は「身分関係が虚偽であることを認識しながらあえてその身分関係に基づいて入国しようとしたものであるが,その虚偽申請の違法性は極めて重大なものとまでは評価できない」ところ,「X3は連れ子であることを越えてAやその家族と密接な関係があり,X6との家族関係も尊重されるべきであること」,AとXらが「このような事態に直面したのは日本の過去の施策に遠因があり,救済措置の遅れにも一因があること」,「X1,2,4,5の福祉・教育と中国での生活の困難性といった特有の事情をB規約や児童の権利条約の規定に照らすと,」「入国申請の際に違法な行為があったことを考慮してもなお,本件裁決が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであり,取消を免れない」とした。
 そして,本件発付処分は裁量の余地がないから裁量権の逸脱を判断する余地はないが,本件裁決を前提とするものであり,本件裁決が違法であるから本件発付処分も取消を免れないとし,原判決を取り消して,Xらの請求を認容した。

 4【コメント】
 入管法50条の在留特別許可の付与は法務大臣の自由裁量であり(最三小判昭34. 11. 10民集13巻12号1493頁),付与しないことが違法となるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き,又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかな場合に限られる(最大判昭53. 10. 4民集32巻7号1223頁,判タ368号196頁参照〔マクリーン事件〕)。
 本判決も同様の基準を示した上で,あてはめとして「中国残留邦人に対する施策の遅れ」等にも言及しつつ,判断が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとしたもので,同種事案の参考となろう(なお,法務大臣の閣議後記者会見によると,本件ではXらにつき「定住者」として在留資格が与えられることとなったようである。)。
在留特別許可の適否を巡る裁判は、常識的に見て在留特別許可を認めないことは人道にもとるような事件でも、法務大臣の広範な裁量論が大きなハードルとなり、勝訴判決を得ることが簡単でないのが実情ではあります。
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