自賠責保険の支払基準

自賠責保険は法律に基づいて加入が義務付けられている強制保険であり、ほぼ全ての車両が加入しています。しかし、必ずしも人身損害の全てを保障してくれるというものではなく、上限額が設定されており、この上限額までしか保障してもらえません。具体的には傷害のみの場合は120万円ですが、後遺障害が認定されると、後遺障害14級の場合は75万円、後遺障害13級の場合は139万円、後遺障害12級の場合は224万円、後遺障害11級の場合は331万円、後遺障害10級の場合は461万円、後遺障害9級の場合は616万円、後遺障害8級の場合は819万円、後遺障害7級の場合には1051万円、後遺障害6級の場合は1296万円、後遺障害5級の場合は1574万円、後遺障害4級の場合は1889万円、後遺障害3級の場合は2219万円、後遺障害2級の場合は2590万円、後遺障害1級の場合は3000万円が上限として加算されます。また、死亡の場合も3000万円となります。さらに、この上限額を前提として、細かく支払基準が定められていますのでご紹介させて頂きます。

 

 傷害による損害は、積極損害(治療関係費、文書料その他の費用)、休業損害及び慰謝料とする。

1 積極損害

(1)治療関係費

 ①応急手当費

  応急手当に直接かかる必要かつ妥当な実費とする。

 ②診察料

  初診料、再診料又は往診料にかかる必要かつ妥当な実費とする。

 ③入院料

  入院料は、原則としてその地域における普通病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。ただし、被害者の傷害の態様等から医師が必要と認めた場合は、上記以外の病室への入院に必要かつ妥当な実費とする。

 ④投薬料、手術料、処置料等

  治療のために必要かつ妥当な実費とする。

 ⑤通院費、転院費、入院費又は退院費

  通院、転院、入院又は退院に要する交通費として必要かつ妥当な実費とする。

 ⑥看護料

 ア 入院中の看護料

   原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に1日につき4100円とする。

 イ 自宅看護料又は通院看護料

   医師が看護の必要性を認めた場合に次のとおりとする。ただし、12歳以下の子供の通院等に近親者が付き添った場合には医師の証明は要しない。

 (ア)厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介所の紹介による者

    立証資料等により必要かつ妥当な実費とする。

 (イ)近親者等

    1日につき、2050円とする。

 ウ 近親者等に休業損害が発生し、立証資料等により、ア又はイ(イ)の額を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。

 ⑦ 諸雑費

   療養に直接必要のある諸物品の購入費または使用料、医師の指示により摂取した栄養物の購入費、通信費等とし、次のとおりとする。

 ア 入院中の諸雑費

   入院1日につき1100円とする。立証資料等により1日につき1100円を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費とする。

 イ 通院又は自宅療養中の諸雑費

   必要かつ妥当な実費とする。

 ⑧柔道整復等の費用

  免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師が行う施術費用は、必要かつ妥当な実費とする。

 ⑨義肢等の費用

 ア 傷害を被った結果、医師が身体の機能を補完するために必要と認めた義肢、歯科補てつ、義眼、眼鏡(コンタクトレンズを含む。)、補聴器、松葉杖等の用具の政策等に必要かつ妥当な実費とする。

 イ アに掲げる用具を使用していた者が、傷害に伴い当該用具の修繕又は再調達を必要とするに至った場合は、必要かつ妥当な実費とする。

 ウ ア及びイの場合の眼鏡(コンタクトレンズを含む)のの費用については、50000円を限度とする。

 ⑩ 診断書等の費用

   診断書、診療報酬明細書等の発行に必要かつ妥当な実費とする。

(2)文書料

   交通事故証明書、被害者側の印鑑証明書、住民票等の発行に必要かつ妥当な実費とする。

(3)その他の費用

   (1)治療関係費及び(2)文書料以外の損害であって事故発生場所から医療機関まで被害者を搬送するための費用等については、必要かつ妥当な実費とする。

2 休業損害

(1)休業損害は、休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に1日につき原則として5700円とする。ただし、家事従業者については、休業による収入の減少があったものとみなす。

(2)休業損害の対象となる日数は、実休業日数を基準とし、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して治療期間の範囲内とする。

(3)立証資料等により1日につき5700円を超えることが明らかな場合は、自動車損害賠償保障法施行令第3条の2に定める金額を限度として、その実額とする。

3 慰謝料

(1)慰謝料は、1日につき4200円とする。

(2)慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して、治療期間の範囲内とする。

(3)妊婦が胎児を死産または流産した場合は、上記のほかに慰謝料を認める。

 

後遺障害による損害は、逸失利益及び慰謝料等とし、自動車損害賠償保障法施行令第2条並びに別表第1及び別表第2に定める等級に該当する場合に認める。等級の認定は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行う。

1 逸失利益

  逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額に該当等級の労働能力喪失率(別表Ⅰ)と後遺障害確定時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数(別表Ⅱ-1)を乗じて算出した額とする。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額(別表Ⅲ)の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。

(1)有職者

   事故前1年間の収入額と後遺障害確定時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。ただし、次の者については、それぞれに掲げる額を収入額とする。

 ① 35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者

   事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額

 ②事故前1年間の収入額を立証することが困難な者

 ア 35歳未満の者

   全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。

 イ 35歳以上の者年齢別平均給与額の年相当額

 ③ 退職後1年を経過していない失業者(定年退職者等を除く)

   以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは、「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。

(2)幼児・児童・生徒・学生・家事従業者

   全年齢併給給与額の年相当額とする。ただし、58歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別併給給与額の年相当額とする。

(3)その他働く意思と能力を有する者

   年齢別平均給与額の年相当額とする。ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。

2 慰謝料等

(1)後遺障害に対する慰謝料等の額は、該当等級ごとに次に掲げる表の金額とする。

 ① 自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合

 第1級  1600万円

 第2級  1163万円

 ② 自動車損害賠償保障法施行令別表2の場合

 第1級  1100万円

 第2級  958万円

 第3級  829万円

 第4級  712万円

 第5級  599万円

 第6級  498万円

 第7級  409万円

 第8級  324万円

 第9級  245万円

 第10級 187万円

 第11級 135万円

 第12級 93万円

 第13級 57万円

 第14級 32万円

(2)①自動車損害賠償保障法施行令別表第1の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1800万円とし、第2級については1333万円とする。

   ②自動車損害賠償保障法施行令別表第2第1級、第2級又は第3級の該当者であって被扶養者がいるときは、第1級については1300万円とし、第2級については1128万円とし、第3級については973万円とする。

(3)自動車損害賠償保障法施行令別表第1に該当する場合は、初期費用等として、第1級には500万円を、第2級には205万円を加算する。

 

死亡による損害は、葬儀費、逸失利益、死亡本人の慰謝料及び遺族の慰謝料とする。後遺障害による損害に対する保険金等の支払の後、被害者が死亡した場合の死亡による損害について、事故と死亡との間に因果関係が認められるときには、その差額を認める。

1 葬儀費

(1)葬儀費は、60万円とする。

(2)立証資料等により60万円を超えることが明らかな場合は、100万円の範囲内で必要かつ妥当な実費とする。

2 逸失利益

(1)逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を乗じて算出する。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合は、この限りでない。

① 有職者

   事故前1年間の収入額と死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額(別表Ⅳ)の年相当額のいずれか高い額を収入額とする。ただし、次に掲げる者については、それぞれに掲げる額を収入額とする。

 ア 35歳未満であって事故前1年間の収入額を立証することが可能な者

   事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額及び年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額

 イ事故前1年間の収入額を立証することが困難な者

 (ア)35歳未満の者

   全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額。

 (イ)35歳以上の者年齢別平均給与額の年相当額

 ウ 退職後1年を経過していない失業者(定年退職者等を除く)

   以上の基準を準用する。この場合において、「事故前1年間の収入額」とあるのは、「退職前1年間の収入額」と読み替えるものとする。

② 幼児・児童・生徒・学生・家事従業者

   全年齢併給給与額の年相当額とする。ただし、58歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別併給給与額の年相当額とする。

③ その他働く意思と能力を有する者

   年齢別平均給与額の年相当額とする。ただし、全年齢平均給与額の年相当額を上限とする。

(2)(1)にかかわらず、年金等の受給者の逸失利益は、次のそれぞれに掲げる年間収入額又は年相当額から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を乗じて得られた額と、年金等から本人の生活費を控除した額に死亡時の年齢における平均余命年数のライプニッツ係数から死亡時の年齢における就労可能年数のライプニッツ係数を差し引いた係数を乗じて得られた額とを合算して得られた額とする。ただし、生涯を通じて全年齢平均給与額の年相当額を得られる蓋然性が認められない場合にはこの限りでない。年金等の受給者とは、各種年金及び恩給制度のうち原則として受給権者本人による拠出生のある年金等を現に受給していた者とし、無拠出性の福祉年金や遺族年金は含まない。

 ① 有職者

   事故前1年間の収入額と年金等の額を合算した額と、死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、35歳未満の者については、これらの比較のほか、全年齢平均給与額の年相当額とも比較して、いずれか高い額とする。

 ② 幼児・児童・生徒・学生・家事従業者

   年金等の額と全年齢平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、58歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額とする。

 ③ その他働く意思と能力を有する者

   年金等の額と年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。ただし、年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を上回る場合は、全年齢平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額とする。

(3)生活費の立証が困難な場合、被扶養者がいるときは年間収入額又は年相当額から35%を被扶養者がいないときは年間収入額又は年相当額から50%を生活費として控除する。

3 死亡本人の慰謝料

  死亡本人の慰謝料は350万円とする。

4 遺族の慰謝料

  慰謝料の請求権者は、被害者の父母、配偶者及び子(養子、認知した子、胎児を含む)とし、その額は、請求権者1人の場合は550万円とし、2人の場合は650万円とし、3人以上の場合は750万円とする。なお、被害者に被扶養者がいる場合には200万円を加算する。

 

死亡に至るまでの傷害による損害は、積極損害、休業損害及び慰謝料とし、傷害による損害の基準を準用する。ただし事故当日及び事故翌日死亡の場合は、積極損害のみとする。

 

被害者に重大な過失がある場合には次に掲げる表のとおり、積算した損害額が保険金額に満たない場合には損害額から、保険金額以上になる場合には保険金額から減額を行う。ただし、傷害による損害額(後遺障害及び死亡に至る場合を除く)が20万円未満の場合はその額とし、減額により20万円未満となる場合は20万円とする。

表省略

被害者の過失が7割未満の場合は、後遺障害又は死亡に係るもの、傷害に係るものいずれも減額なしとなります。

被害者の過失が7割以上10割未満の場合、傷害に係るものは2割減額となります。後遺障害又は死亡に係る者の場合、7割以上8割未満の場合は2割減額、8割以上9割未満の場合は3割減額、9割以上10割未満の場合は5割減額となります。

 被害者が既往症等を有していたため、死因又は後遺障害発生原因が明らかでない場合等受傷と死亡との間及び受傷と後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合は、死亡による損害及び後遺障害による損害について、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合には保険金額から5割の減額を行う。

 

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