退去強制手続の概略

こんにちは、行政書士の溝口正樹です。
今日は退去強制手続の概略を解説します。

1 第一段階 入国警備官による違反調査
 入国警備官による違反調査が行われます。入国警備官は、退去強制事由に該当すると思料する外国人(以下被疑者という)があるときは、被疑者について違反調査することができます。(入管法27条)そして違反調査の目的を達するため必要な取り調べをすることができ、また、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができます。(同28条)被疑者が退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、主任審査官の発布する収容令書により当該被疑者を収容することができます。(同39条)被疑者を収容したときは、被疑者の身体を拘束した時から48時間以内に入国審査官に調書および証拠物とともに被疑者の身柄を引き渡します。(同44条)
2 第二段階 入国審査官による違反審査
 被疑者の引き渡しを受けた入国審査官は、被疑者が退去強制対象者に該当するか審査します。(同45条1項)審査の結果、入国審査官が退去強制事由のいずれにも該当しないと認定した場合、被疑者は直ちに放免されます(同47条1項)
 退去強制対象者に該当すると認定した場合は、速やかに理由を付した書面をもって、主任審査官および被疑者へ通知します(同条3項)被疑者がこの認定に服すると退去強制令書が発付されます。(同条5項)認定に服さない場合でも、3日以内に口頭審理の請求をしないと退去強制令書が発付されます。被疑者は認定に対して異議があれば、通知を受けた日から3日以内に特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができます(同法48条1項)。
3 第三段階 特別審理官による口頭審理
 口頭審理の請求があった場合、特別審理官は口頭審理を行い(同条3項)入国審査官の認定に誤りがないかどうか判定します。被疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないことを理由として入国審査官の認定が事実に相違すると判定した場合は、被疑者は放免されます(同条6項)。
入国審査感の認定に誤りがない(退去強制対象者に該当する)と判定した場合は、速やかに主任審査官および当該被疑者に通知します(同8項)被疑者がこの判定に服すると退去強制令書が発付されます(同条9項)。判定に服さない場合でも3日以内に異議を申し出ないと退去強制令書が発付されます。
 特別審理官の判定に異議がある場合は、被疑者は通知を受けた日から3日以内に法務大臣に対し異議を申し出ることができます(同49条1項)
4 第四段階 法務大臣の裁決と在留特別許可
 法務大臣は異議の申し出を受理したときは、異議の申し出が、理由があるかどうかを裁決します(同条3項)。被疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないとの理由で異議の申し出が、理由がある裁決されると被疑者は放免されます(同条6項)。
 異議の申し出が、理由がない(退去強制対象者に該当する)と裁決されると、退去強制令書が発付されます(同条6項)。法務大臣は、異議の申し出が、理由がないと認める場合であっても、当該外国人が永住許可を受けているとき、かつて日本国民として本邦日本籍を有したことがあるとき、人身取引等により他人の支配下におかれて、本法に在留するものであるとき、他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときは、在留特別許可をすることができるとされています(同50条1項、なお、法務大臣の自由裁量に属すると解すべきとする点につき最高裁昭和34年11月10日参照)この許可は、一般的に在留特別許可(在特と略称されることもある)と呼ばれています。なお、異議申し出に対する法務大臣の裁決に対し、行政不服審査法による異議の申立てをすることはできません(行政不服審査法7条1項10号)が、行政事件訴訟法に基づき、裁判所へ救済を求めることはできます。

名古屋栄行政書士事務所
行政書士 溝口正樹

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