死亡逸失利益は、基本的には後遺障害逸失利益と類似し、つまりは労働能力が100%失われた場合と同じということになります。主な違いは生活費控除を行う点です。以下では、死亡逸失利益特有の点について解説いたします。
死亡逸失利益の算定方法は、
基礎収入額×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数
になります。
基礎収入額については、後遺障害逸失利益の場合と同じく、給与所得の場合、事業所得の場合、会社役員の場合、家事従業者の場合、無職の場合等の問題があります。
ライプニッツ係数についても、基本的には67歳までが就労可能年齢として、18歳未満の場合は67歳までのライプニッツ係数から18歳までのライプニッツ係数を控除する必要があります。
被害者が年金を受給していた場合ですが、遺族厚生年金については、家族の生活保障のためではなく、遺族本人のための一身専属性が強いため逸失利益は認められないとされています。しかし、その他の老齢基礎年金、障害年金等については遺族の生活保障的意味も加味して逸失利益性が認められています。
会社役員の場合、後遺障害の場合と違って、死亡してしまうと利益配当部分も失ってしまうことから、これを基礎収入に入れるかが問題となります。しかし、判例は、後遺障害の場合と同じく、基礎収入としては認めない傾向です。つまり、死亡の場合も労務提供の対価部分のみ基礎収入として認められます。
そして、生活費控除ですが、生活費控除率とは被害者の死亡により、被害者は将来の収入から支払われるはずであった生活費の支払を免れるため、将来の生活費相当分を控除する一定の割合をいいます。生活費控除は、被害者の家族関係、性別、年齢などに応じて逸失利益全体に対して一定の割合を控除する方式がとられています。控除の割合は、公益財団法人日弁年交通事故相談センターが発行している青本の基準を紹介いたします。
青本によると、一家の支柱の場合は30~40%、女性の場合30~40%、男性単身者の場合は50%とされています。この生活費控除率を上記の方程式に算入して、死亡逸失利益を算定していくことになります。
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