印章偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。印章偽造の罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(御璽偽造及び不正使用等)
第164条 行使の目的で、御璽、国璽又は御名を偽造した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2 御璽、国璽若しくは御名を不正に使用し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用した者も、前項と同様とする。
(公印偽造及び不正使用等)
第165条 行使の目的で、公務所又は公務員の印章又は署名を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
(公記号偽造及び不正使用等)
第166条 行使の目的で、公務所の記号を偽造した者は、3年以下の懲役に処する。
2 公務所の記号を不正に使用し、又は偽造した公務所の記号を使用した者も、前項と同様とする。
(私印偽造及び不正使用等)
第167条 行使の目的で、他人の印章又は署名を偽造した者は、3年以下の懲役に処する。
2 他人の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
(未遂罪)
第168条 第164条第二項、第165条第2項、第166条第2項及び前条第2項の罪の未遂は、罰する。
印章偽造罪は、印章・署名に対する偽造・不正使用などの行為を内容とする犯罪であり、その保護法益は印章・署名の真正に対する公共の信用です。印相偽造の罪は抽象的危険犯です。印章・署名に対する公共的信用を害する危険を生ずれば既遂に達し、他人に実害が生じたかどうかを問いません。印章・署名は今日の社会生活上、文書・有価証券の作成にあたって用いられ、文書・有価証券の形式的信頼性は、主としてそこに表示された名義人の印章・署名の信頼性に負っている。ただ、文書・有価証券の偽造罪が成立するときは、印章・署名の偽造はそれに含めて理解されるから、印章・署名の偽造・不正使用が独立の処罰の対象となるのは、文書・有価証券の偽造が未遂に終わった場合に限られます。
印章の意義については争いがありますが、印顆はそれ自体直接取引に用いられるものではなく、印影を保護すれば、印章の公共的信頼性を保護するという目的は達しえます。それゆえ、印章とは印影と解されています。
署名とは、その主体である者が、自己を表章する文字によって氏名その他の呼称を表記したものをいいます。署名には自署の他記名も含むとされています。
以上印章偽造の罪の解説をしてきましたが、印章偽造の罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。上記のとおり、印章偽造罪の保護法益は印章・署名に対する公共の信用とされています。そうすると、個人的法益ではないので、示談というのはあまり有効ではないと解されます。そこで、贖罪や反省を示すために贖罪寄付という方法が考えられます。贖罪寄付の効果を過大に期待するのは禁物ですが、贖罪寄付をしたという事実は有利な事情にはなると考えられます。また、保護法益が個人的法益ではないにしても、印章偽造、署名の偽造で名義人に損害を与えてしまっているような場合には名義人と示談することも有効であると考えられます。いずいれにしても専門的な判断が必要になりますので、印章偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
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