中国人の刑事弁護(器物損壊、建造物等損壊)

器物損壊罪、建造物等損壊罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。器物損壊罪、建造物等損壊罪について、刑法では以下のように規定されています。

刑法

(建造物等損壊及び同致死傷)

第260条  他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

(器物損壊等)

第261条  前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(自己の物の損壊等)

第262条  自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、又は賃貸したものを損壊し、又は傷害したときは、前三条の例による。

(親告罪)

第264条  第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

 

260条は建造物等損壊罪の規定になります。建造物とは、家屋その他これに類似する建築物を指称し、屋外を有し障壁又は柱材をもって支持されて土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りすることのできるものであることを必要とします。外塀、門灯は建造物ではありません。天井・敷居・鴨居・屋根・瓦・玄関ドアは建造物の一部となりますが、畳・ふすま・雨戸・障子等の造作物または建具は、建造物の一部とはなりません。これらを損壊した場合は器物損壊罪の対象となります。

261条は器物損壊罪の規定となります。客体は、動産・不動産だけでなく、動物も含まれます。損壊とは、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。

具体例としては、自動車に傷をつけたり、ミラーを蹴り飛ばしたりするような他人の物を壊すような典型的なものから、他人の飲食器に放尿する行為、看板を取り外して空き地に投げ捨てる行為、荷物から荷札を取り外す行為、公選法違反のポスターにシールを貼る行為等があります。

傷害とは、動物を物理的に殺傷するほか、本来の効用を失わせる行為も含まれます。具体例としては、鳥かごをあけて他人の鳥を逃がす行為、池に飼育されている他人の鯉を、いけすの柵をはずして流出させる行為等があります。

 

以上、器物損壊罪、建造物等損壊罪について解説してきましたが、器物損壊罪、建造物損壊罪等で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。器物損壊罪、建造物損壊罪の保護法益は個人の財産である物や建造物ということになります。そうすると、個人的法益を保護法益としているので、示談をすることが非常に有効ということになります。特に、264条を見ていただければお分かりいただけますが、器物損壊罪は親告罪となっていますので、示談が成立位、被害者に告訴を取り消してもらえれば、確実に不起訴処分になります。逮捕されている場合であっても、示談が成立して告訴が取り消されれば釈放が早まると考えられます。建造物等損壊罪は親告罪ではありませんが、個人の財産を守るという趣旨は変わりませんので、被害弁償を尽くして示談が成立すれば、不起訴になる可能背はあります。また、起訴後であっても示談したという事実は有利な情状事実になりますので、まずは示談を検討するのが良いかと思われます。ただし、人が死傷してしまった場合には、重く処罰されてしまう可能性は高まります。ただし、そのような場合であっても、人の死傷の部分の被害弁償もし、示談が成立すれば、有利になること自体は間違いがないと思われます。

上述のように示談交渉が重要ということになりますので、できるだけ早く弁護士に依頼されることをお勧めします。

なお、否認している場合は、取調べ対応が非常に重要になってきますので、できるだけ早く弁護士に依頼すると良いでしょう。

 

中国人の刑事事件、逮捕、器物損壊罪、建造物等損壊罪、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。

電話番号0800-700-2323(フリーコール)

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