盗品譲受け等罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。盗品等譲受け等罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(盗品譲受け等)
第256条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
(親族等の間の犯罪に関する特例)
第257条 配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
本罪の主体は、本犯者以外の者です。本犯者がその犯罪によって取得した物を処分する行為は、通常、本犯についての不可罰的事後行為であり、別罪を構成しません。本犯の教唆者、ほう助者は本罪の主体となります。
客体は、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物になります。盗品等とは、財産罪によって取得した財物で被害者が法律上追求しうる権限を有するものになります。収賄罪によって収受された賄賂は盗品等には該当しません。
無償で譲り受けるとは、盗品を無償で自己の物として取得することをいいます。贈与を受ける場合、無利息消費貸借として交付を受ける場合は無償譲受けに該当します。使用貸借は保管罪に該当する可能性があります。
運搬とは、委託を受けて盗品の所在を移転することをいいます。必ずしも本犯者から委託を受ける必要はなく、有償無償を問いません。移転の距離の遠近も問いません。
保管とは、委託を受けて本犯のために盗品を保管することをいいます。有償無償を問いません。
有償で譲り受けるとは、盗品を売買・交換・債務の弁済等の名目で有償に取得することをいいます。本犯者から委託を受けたか否かは問いません。本罪の成立には、単に契約が成立しただけでは足りません。これに対し、盗品が引き渡されれば代金は未払いでも成立します。盗品であることの認識は契約時になくてお取得時にあれば足ります。しかし、取得時にも認識がない場合には本罪は成立しません。
有償の処分のあっせんとは、盗品の有償的な法律上の処分行為(売買、交換、質入れ等)を媒介、または周旋することをいいます。本犯者から委託を受けたか否かは問わず、また、あっせんそれ自体は有償・無償を問いません。
257条は本犯者と盗品等罪の犯人との間に一定の親族関係がある場合の刑の免除規定になります。
以上盗品等罪について解説しましたが、盗品譲受け等罪で逮捕されてしまった場合にはどのような弁護活動が有効でしょうか。この点、盗品等罪の本質は、被害者である所有者の司法上の追求権の行使を困難ならしめることを内容とする犯罪です。そうすると、個人的な法益を保護しているものですので、被害者と示談をすることが有効ということになります。示談金は、基本的にはその盗品等の財産的価値を参考にして決まるかと思います。処分の重さは、無償か有償かで構成要件が違い、有償の場合には重く規定されています。その他には被害金額や前科関係等によって決められると思われます。しかし示談をすれば、軽微なものについては不起訴の可能性もありますし、起訴されても示談成立が有利な情状になることは間違いないと思われます。盗品等罪は構造上共犯関係がある犯罪なので、勾留されずに早期に釈放というのはなかなか難しいと思われます。しかし、示談等が成立すれば早期に釈放される可能性があり、また、保釈も通りやすくなると考えられます。
盗品等罪は故意犯であり、盗品だと思っていなかったという故意否認の事案がよくあります。そのような場合、共犯者供述が重要な証拠になりますが、共犯者供述をコントロールすることはできないので、少なくとも本人は自白をしないように気を付ける必要があります。自白しているつもりがなくても、捜査官の誘導に乗っているうちに盗品の認識があったことにもなりかねませんので、有効に黙秘権等を行使していく必要があります。認めていても、否認していてもできるだけ早く弁護士に依頼することが重要といえます。
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