いわゆる三庁共同提言において紹介されている、逸失利益の算定についての具体的な適用例をご紹介致します。ここでは、家事従業者の事例をご紹介いたします。
第2 家事従業者
1 専業主婦の場合
⑫事 故 日 平成9年3月
被 害 者 45歳の高卒の専業主婦(夫と未就労の子供二人)
事故前収入 なし
労働能力喪失率 35%
【逸失利益の算定】
基礎収入を平成9年の女子の全年齢平均賃金である340万2100円とし、これに、労働能力喪失率の35%、及び、45歳から67歳までの22年の労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数である13.1630を乗じて算定する。
(計算式)
340万2100円×0.35×13.1630=1567万3644円
⑬事 故 日 平成9年3月
被 害 者 88歳の専業主婦
事故前収入 なし
労働能力喪失率 35%(傷害)
【逸失利益の算定】
88歳という年齢及び夫と二人で生活していることを併せて考えると、そこにおける家事労働は、もはや自ら生活していくための日常的な活動と評価するのが相当である。したがって逸失利益は認められない。
⑭事 故 日 平成9年3月
被 害 者 74歳の専業主婦(夫と二人で年金生活)
事故前収入 なし
労働能力喪失率 35%
【逸失利益の算定】
74歳の女性の平成9年における平均余命は14.34年であるから、少なくとも7年間は家事労働を行うことができ、これを金銭評価するのが相当である。そして、年齢と生活状況を併せて考えると、その間の家事労働を平均して金銭評価すれば、平成9年の女子の65歳以上の平均賃金が296万4200円であることに照らし、その7割に相当する207万4940円とするのが相当である。したがって、基礎収入を207万4940円とし、これに、労働能力喪失率の35%、及び、7年の労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数である5.7863を乗じて算定する。
(計算式)
207万4940円×0.35×5.7863=420万2178円
2 有職の主婦の場合
⑮事 故 日 平成9年3月
被 害 者 薬剤師である35歳の大卒の主婦(夫及び子供一人)
事故前収入 年収600万円
労働能力喪失率 35%(傷害)
【逸失利益の算定】
基礎収入を実収入額である600万円とし(なお、平成9年の女子の全年齢平均賃金は340万2100円である)、これに、労働能力喪失率の35%、及び、35歳から67歳までの32年の労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数である15.8026を乗じて算定する。
(計算式)
600万円×0.35×15.8026=3318万5460円
⑯事 故 日 平成9年3月
被 害 者 スーパー店員(年収180万円)である高卒の主婦(夫及び子供一人)
事故前収入 年収180万円
労働能力喪失率 35%(傷害)
【逸失利益の算定】
基礎収入を平成9年女子の全年齢平均賃金である340万2100円とし、これに、労働能力喪失率の35%、及び35歳から67歳までの32年の労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数である15.8026を乗じて算定する。
(計算式)
340万2100×0.35×15.8026=1881万6708円
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