違反審査について

今回は、違反審査について解説いたします。

入国審査官によってなされる、審査(違反審査)は入管法5章に定める一連の退去強制手続のなかで、第二段階の手続として行われるものです。
 入国審査官は、入国警備官からの容疑者の引渡しを受けた時は、容疑者が退去強制対象者に該当するかどうか審査します(同法45条1項)
 この審査の結果、入国審査官は
① 容疑者が退去強制事由のいずれかにも該当しないと「認定」した時は直ちに方面します(同47条1項)
② 容疑者が退去強制対象者に該当すると「認定」した場合は、速やかに理由を付した書面を持って主任審査官および容疑者に対し、通知し、(同3項)容疑者に対し、認定に不服があるときは口頭審理の請求をすることができる旨通知します(同4項)。
 ※これ以外に入国審査官は容疑者が出国命令対象者に該当すると認定する場合があります。
 入国審査官の②の認定の通知を受けて、容疑者がが特別審理官へ、口頭審理の請求をした場合は、入国審査官は調書など関係書類を特別審理官に提出します。(同48条2項)
なお、容疑者は、退去強制対象者に該当するとの入国審査官の認定に、異議はない(例えば、オーバーステイであることは事実で争わない)が、例えば、家庭の事情から日本に在留したいので、法務大臣の裁決の特例による在留特別許可を受けることをのぞむするときも口頭審理を請求することができるとする取扱がなされています。
 一方で、容疑者が、入国審査官の認定にふくし、口頭審理の請求をしないとき、または口頭審理を請求できる期間(3日間)以内に口頭審理を請求しないときは、主任審査官は退去強制令書を発付します(同47条5項)
 このように、入管が違法在留を覚知して、動き出し、強制退去されそうになった場合、在留特別許可を得るための手続としては、3日以内に口頭審理の請求する必要があります。
収容されそうな場合などにおいては、緊急事態に対応できる、法律の専門家に早めに相談されることをお勧めいたします。

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参考資料
第三節 審査、口頭審理及び異議の申出

(入国審査官の審査)

第四十五条 入国審査官は、前条の規定により容疑者の引渡しを受けたときは、容疑者が退去強制対象者(第二十四条各号のいずれかに該当し、かつ、出国命令対象者に該当しない外国人をいう。以下同じ。)に該当するかどうかを速やかに審査しなければならない。

2 入国審査官は、前項の審査を行つた場合には、審査に関する調書を作成しなければならない。

(容疑者の立証責任)

第四十六条 前条の審査を受ける容疑者のうち第二十四条第一号(第三条第一項第二号に係る部分を除く。)又は第二号に該当するとされたものは、その号に該当するものでないことを自ら立証しなければならない。

(審査後の手続)

第四十七条 入国審査官は、審査の結果、容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないと認定したときは、直ちにその者を放免しなければならない。

2 入国審査官は、審査の結果、容疑者が出国命令対象者に該当すると認定したときは、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、入国審査官は、当該容疑者が第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

3 入国審査官は、審査の結果、容疑者が退去強制対象者に該当すると認定したときは、速やかに理由を付した書面をもつて、主任審査官及びその者にその旨を知らせなければならない。

4 前項の通知をする場合には、入国審査官は、当該容疑者に対し、第四十八条の規定による口頭審理の請求をすることができる旨を知らせなければならない。

5 第三項の場合において、容疑者がその認定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。

(口頭審理)

第四十八条 前条第三項の通知を受けた容疑者は、同項の認定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、口頭をもつて、特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができる。

2 入国審査官は、前項の口頭審理の請求があつたときは、第四十五条第二項の調書その他の関係書類を特別審理官に提出しなければならない。

3 特別審理官は、第一項の口頭審理の請求があつたときは、容疑者に対し、時及び場所を通知して速やかに口頭審理を行わなければならない。

4 特別審理官は、前項の口頭審理を行つた場合には、口頭審理に関する調書を作成しなければならない。

5 第十条第三項から第六項までの規定は、第三項の口頭審理の手続に準用する。

6 特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないことを理由とする場合に限る。)は、直ちにその者を放免しなければならない。

7 特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とする場合に限る。)は、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、特別審理官は、当該容疑者が第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

8 特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が誤りがないと判定したときは、速やかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに、当該容疑者に対し、第四十九条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない。

9 前項の通知を受けた場合において、当該容疑者が同項の判定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。

(異議の申出)

第四十九条 前条第八項の通知を受けた容疑者は、同項の判定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、法務省令で定める手続により、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができる。

2 主任審査官は、前項の異議の申出があつたときは、第四十五条第二項の審査に関する調書、前条第四項の口頭審理に関する調書その他の関係書類を法務大臣に提出しなければならない。

3 法務大臣は、第一項の規定による異議の申出を受理したときは、異議の申出が理由があるかどうかを裁決して、その結果を主任審査官に通知しなければならない。

4 主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないことを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは、直ちに当該容疑者を放免しなければならない。

5 主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けた場合において、当該容疑者に対し第五十五条の三第一項の規定により出国命令をしたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

6 主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに当該容疑者に対し、その旨を知らせるとともに、第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。

(法務大臣の裁決の特例)

第五十条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。

一 永住許可を受けているとき。

二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。

三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。

四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。

2 前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留資格及び在留期間を決定し、その他必要と認める条件を付することができる。

3 法務大臣は、第一項の規定による許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)をする場合において、当該外国人が中長期在留者となるときは、入国審査官に、当該外国人に対し、在留カードを交付させるものとする。

4 第一項の許可は、前条第四項の規定の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。

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