難民認定された場合には、「定住者」の在留資格が原則として認められます(入管法61条の2の2第1項)これに対して難民不認定処分ではあるが、人道的配慮措置として在留特別許可が認められる場合に付与される在留資格には、特定活動や定住者があります。両者ともに健康保険や国民年金に加入できる点は変わりませんが生活保護受給と家族呼び寄せの点で格差が生じています。特定活動では生活保護を受給できないことがほとんどであり、本国から家族を呼び寄せることもできません。
特定活動から定住者への変更の基準は、①日本での在留期間が正規・不正規を問わず合計10年を超す者、②特定活動を取得してから3年が経過した者、③家族のうち1名が①ないし②を満たしていれば家族全員に定住者変更を許可すること、④収入要件は不要であること、です。これは全国一律の基準です。
永住許可はその要件として①素行が善良であること、②独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること、が規定されています(入管法22条2項)。しかし難民については、②独立の生計を営むに足りる資産または技能を有するという要件が満たされない場合であっても永住許可をすることができるとして、その要件を緩和しています(入管法61条の2の11)。
難民認定された者が海外に旅行する際は、申請に基づいて難民旅行証明書が交付されます(入管法61条の2の12第1項)。この難民旅行証明書はいわば旅券の代わりになるものです。しかし旅行先によっては難民旅行証明書では入国を認めなかったり、査証を要求したり、出入国手続きの際に審査に時間がかかったりすることがあります。そのため、難民であってもこの難民旅行証明書を使用せずに再入国許可書を旅券の代わりとして海外旅行をする者が多いようです。
難民認定された者や難民としては認められなかったものの人道的配慮に基づいて在留を認められたが、本国からの旅券発給を望まないもの者などは、再入国許可書の交付を受けられます(入管法26条2項)。そして、この再入国許可書は一定の場合に旅券とみなされ、事実上も旅券と同様の機能を果たしています(入管法26条8項)。したがって、難民の多くはこの再入国許可書で海外旅行をしています。
難民認定申請、在留資格変更、在留期間更新に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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