公用文書等毀棄、私用文書等毀棄罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。公用文書等毀棄、私用文書等毀棄罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(公用文書等毀棄)
第258条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
(私用文書等毀棄)
第259条 権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、5年以下の懲役に処する。
(親告罪)
第264条 第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
258条は公用文粗糖毀棄罪に関する規定です。客体である公務所の用に供する文書とは、公務所において現に使用しまたは使用に供する目的で保管している文書をいう。証明の用に供せられるべき文書に限りません。未完成文書や偽造文書も本罪の客体となります。警察官が職務権限に基づいて作成中の署名のない弁解録取書であっても、文書としての意味・内容を備えるに至った以上、公務所において現に使用している文書にあたります。詩人が作成した文書でも、官公庁で保管しているものは本罪の客体となります。また、違法な取調べのもとに作成されつつあった供述録取書もこれにあたります。
毀棄とは、文書の効用を害する一切の行為をいいます。具体例としては、破ったり捨てたりする典型的な行為から、文書に記載されている事項について部分的に抹消する行為、公正証書に貼付されている印紙を剥離する行為、高校入試の答案を改ざんする行為等々があります。
259条は私用文書等毀棄罪に関する規定です。客体である、権利又は義務に関する他人の文書とは、権利義務の存否・得喪・変更等を証明するための文書をいいます。したがって、単なる事実証明に関する文書又は電磁的記録は、本罪の客体とはならず、器物損壊罪の対象となります。
他人の文書とは、他人の所有する文書を意味し、必ずしも他人の名義である必要はありません。公務所以外の法人・私人が所有している権利・義務に関する文書は、公文書私文書を問わずすべて本罪の客体になります。有価証券も本罪の客体になります。
他人の電磁的記録とは、他人が使用する電磁的記録をいい、公電磁的記録であると私電磁的記録であるとを問いません。
毀棄とは、同じく、文書の効用を害する一切の行為をいいます。
以上、公用文書等毀棄罪と私用文書等毀棄罪について解説してきましたが、これらの罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。
私用文書等毀棄罪については、個人が所有する文書の保護を目的としているため、被害者との示談が有効と考えられます。264条を見ていただければわかる通り、私用文書等毀棄罪は親告罪となっていますので、被害者と示談をして、告訴を取り下げてもらえれば不起訴となります。なので、私用文書等毀棄罪で逮捕されてしまった場合には、まずは示談を検討するのが良いと思います。
公用文書等毀棄罪の場合、個人を保護しているというよりは、公務つまり公的なものの保護を目的としていると考えられます。そのため、264条の親告罪の対象からは外されており、示談をして、告訴を取り下げてもらっても必ず不起訴になるというわけではありません。ただし、示談が成立すれば量刑上は有利に働くことは間違いありませんし、事案によっては不起訴になる可能性もあるので、この場合も示談を検討すると良いかと思います。役所や公務所との示談は非常に難航しますので、まずは、弁護士を通して話し合いの場を設けていくことが重要といえます。
以上のようにいずれの場合も示談交渉が重要ということになりますので、できるだけ早く弁護士に依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合は、取調べ対応が非常に重要になってきますので、できるだけ早く弁護士に依頼すると良いでしょう。
中国人の刑事事件、公用文書等毀棄、私用文書等毀棄罪、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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