離婚をする場合に、お金の話はつきものです。
通常日本での離婚の場合、お金の話として挙げられるのは、財産分与、婚姻費用、養育費、慰謝料の4つです。
このページでは、このうち、慰謝料以外の3つについて解説致します。
財産分与
財産分与とは、夫婦の協力によって結婚生活において形成した財産を、離婚の時に清算、分配する制度です。
財産分与は権利です。
損をしないためにも弁護士という味方を付けてしっかりと自身の取り分の財産を主張していきましょう。
離婚に伴う慰謝料の準拠法は、離婚で適用された法と同一です。
離婚ができるかという問題については、法の適用に関する通則法27条で、当事者の一方が日本に常居所地を有する日本人の場合は、日本法が準拠法となると定められていますので、外国人(中国人)と日本人との離婚の場合にも、準拠法は基本的には日本法となる場合が多いでしょう。
その場合、財産分与についても同様に日本法となります。
日本法が適用されるということになると、次の3点が財産分与による取得できる財産を決定するうえで重要になります。
①財産分与の対象となる財産の範囲
②財産分与の対象財産を計算する時期
③財産分与の割合
①財産分与の対象となる財産の範囲
夫婦の協力によって結婚生活において形成された財産が財産分与の対象となります。財産の名義は関係ありません。
また、プラスの財産だけではなく、夫婦の共同生活において生じた借金などのマイナスの財産も財産分与の対象となります。
加えて、新たに年金分割という制度が創設されているので、これにより、将来発生する年金の分割も、一定の場合可能になっています。
一方、結婚前から既に所有していた財産は財産分与の対象には含まれません。
また、結婚後においても、相続等により一方が取得した財産は、財産分与の対象には含まれません。
実は、これらの財産分与の対象となる財産の把握が個人の力では一番難しい点となります。
相手方が財産を隠してしまうこともよくあるからです。
弁護士は、相手方の財産に目星がついている場合、照会をかけてこれを調査することも可能ですので、相手方の財産状況等が不明確な場合には、損しないためにも弁護士に相談することをお勧めします。
②財産分与の対象財産を計算する時期
夫婦としての共同生活が無くなった「別居時」を基準として、婚姻時から別居時までに形成された財産を対象とされることが多いです。
③財産分与の割合
通常は、2分の1の割合で分配することが多いです。
ただし、例外的に個別の事情によって割合が修正されることもあります。
たとえば、夫婦の片方の特殊な努力や能力に基づいて財産形成がなされたような場合には、割合が修正されることもあり、具体的な事案ごとに異なります。
婚姻費用
婚姻費用とは、夫婦が通常の生活を送るために必要な費用のことをいいます。
要するに生活費一般のことで、具体的には、住むための費用から子どものための学費といった費用まで幅広く含まれます。
日本の法律上は夫婦であれば、夫婦にはお互いに生活を助け合う義務がありますので、この婚姻費用についても分担する義務が生じます。
婚姻費用について実際問題となるのは、別居中の夫婦間が多いでしょう。
また、同居していても夫婦関係が破綻しており、生活費が支払われない場合などにおいても問題となります。
離婚に関する話し合い等を行っている間、相手が生活費を入れてくれないといった場合には、婚姻費用分担請求によって、生活費を請求することができます。
婚姻費用が交渉によって支払われない場合には、家庭裁判所が資産、収入等の一切の事情を考慮して支払いの有無、その額を決定します。
ただし、日本人と外国人(中国人)との夫婦である場合のように、夫婦の一方が日本国籍ではない場合には、国際裁判管轄の問題や準拠法の問題など、国際離婚特有の議論が生じます。
国際離婚に関する婚姻費用については、扶養義務の準拠法に関する法律4条で準拠法が定められることとなります。
基本的には、日本の家庭裁判所おいて日本法を適用して手続を行うことができる場合が多いかと思いますが、そうでない場合もございますので国際離婚に詳しい弁護士にご相談されることをお勧め致します。
養育費
養育費とは、子どもを育てていくための養育に必要な費用のことをいいます。
具体的には、子供にかかる衣食住の費用から、教育費、医療費、最低限の娯楽費などが広く含まれます。
子どもを引き取って育てている親は子どもを育てていない親に対して養育費を請求することができます。
日本人と外国人(中国人)との夫婦である場合のように、夫婦の一方が日本国籍ではない場合には、婚姻費用と同様、国際裁判管轄の問題や準拠法の問題など、国際離婚特有の議論が生じます。
国際離婚に関する養育費については、扶養義務の準拠法に関する法律第2条によって準拠法が定められます。
養育費についても、基本的には、日本の家庭裁判所おいて日本法を適用して手続を行うことができる場合が多いかと思いますが、そうでない場合もございますので、まずは一度ご相談ください。
また、子供に関する問題として、そもそも子供の親権や監護権をどうするのか、面会交流は認められるのか、子供の性や国籍はどうなるのかなど、国際離婚特有の問題点も多く含みますので、国際離婚に詳しい弁護士にご相談されることをお勧め致します。