ビザ申請を代行してくれる士業というと、弁護士よりも行政書士をイメージされる方が多いかと思います。
しかし、以下に挙げる通り、ビザ申請こそ弁護士に頼むことをお勧めします。
業務範囲における行政書士との違い
行政書士の業務
行政書士法2条
行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
主な業務は書類を作成すること。
入管業務においては、取次(代わりに入国管理局へ行くこと)が可能。
ただし、ご本人の代理はできない。
特に退去強制手続・在留特別許可の手続において重要な口頭審理で代理人としての活動ができません。
訴訟提起もすることができないので、最後まで十分な活動ができません。
弁護士の業務
弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
書類の作成まで含めた法律に関する行為を行うこと。法律のプロ。
もちろん、取次(代わりに入国管理局へ行くこと)も可能。
加えて、ご本人の代理もできる。
具体的には…
メリット
1.的確な手続選択
入管手続きと言っても様々な手続きがあります。
主なものです。
・在留資格認定証明書交付申請
新しく外国から日本に来る人等
・在留資格変更許可申請
日本での活動内容が変わる人等
・在留期間更新許可申請
現在の活動内容で引き続き日本に居続ける人等
・在留資格取得申請
日本で産まれた外国人の人等
・就労資格証明書交付申請
転職等をする人
・永住許可申請
在留期間なく日本に滞在する人等
・帰化申請
日本国籍を取得する人
・再入国許可申請
海外に出国したのち日本に戻る人
・資格外活動許可申請
アルバイト等をしたい人
・在留資格特別許可申請
在留資格のない人
・難民認定申請
難民として日本に滞在する人
・仮放免許可申請
身柄を拘束されている人
弁護士に相談した場合、ただ単に書類を作るだけでなく、どの手続を選択するのがあなたにとってベストか、その選択まで的確なアドバイスが可能です。
2.理由書・意見書の作成
通常の案件においては、お客様からの聞き取りに基づき理由書を作成致します。
理由書は、会社や申請人ご本人の署名押印を経て提出されます。この理由書については、行政書士も作成可能です。
しかし、案件によっては、理由書ではなく、法律の専門家である弁護士の意見という意味で意見書を作成し提出した方が良い場合もあります。
意見書は、申請人ご本人の代理として弁護士が弁護士の名前で作成するため、弁護士でなければ作成できません。
実際、第1回目の留学から就労資格への在留資格変更許可申請において、意見書を作成し提出したところ、3年という長期の在留資格を取得した経験もございます。
3.不許可の場合の迅速なサポートが可能
不許可の場合のサポートとしては、再度の申請を行うことが考えられますが、これについては行政書士も可能です。
ただし、再申請はあくまで入国管理局に対する手続です。
不許可になった場合の対応としては、再申請の他にも裁判所に対する手続きとして取消訴訟や無効確認訴訟、義務付け訴訟などの裁判手続きも考えられますが、これらの手続きを代理できるのは弁護士だけです。
もちろんこれらの訴訟によっても一度出された不許可の結果を覆させることは大変困難なことですが、きちんとした審査がなされなければ訴訟提起もあり得るのだと入国管理側に一定のプレッシャーをかけることが可能です。
そして、万一不許可結果に違法性があると判断される場合には、弁護士に依頼しておけば直ちに訴訟も含めた対応が可能です。
4.オーバーステイや在留特別許可への対応は弁護士しかできない
オーバーステイ等でビザがないまま日本に滞在している人で、今の状況を何とかしたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
そんな場合には、特に行政書士ではなく、弁護士へご依頼することを強くお勧めします。
ビザのない方が適法に日本に滞在するためには、在留特別許可を得ることが必要です。
この手続きについては、弁護士しか代理することができません。
行政書士に依頼した場合、書類を代わりに作成してもらうことはできますが、入国管理局との実際の交渉、口頭審理等の手続での主張立証等の活動はは弁護士しか行えません。
行政書士が立会人として口頭審理に入るということを聞いたことがありますが、立会人というのは本来ご家族や身近な方が口頭審理に入るシステムです。弁護士ではないので、立会人は口頭審理内で言葉を発することができません。意見を言えないのに口頭審理に行政書士が入る意味があるでしょうか。立会人は基本的に1人しか入ることが認められないので、行政書士が入ることによって、ご家族が入れなくなる可能性もあり、はっきり言って弊害しかないと思われます。
収容されている方の場合は、面会及び仮放免の手続も必要となりますが、これについても弁護士のみが適法に代理できる手続きとなります。行政書士は一般面会扱いで、制限が非常に多く、十分な準備活動ができるとは思えません。弁護士は弁護士面会というくくりで面会でき、十分な打ち合わせや法律相談が行えます。
5.弁護士なら法テラス・日弁連の援助が使え、費用が実質無料になる可能性があります
弊所では、入管ビザ手続・在留特別許可の手続きを弁護士が対応しております。弁護士であれば、法テラスや日弁連の援助を利用することができます。
法テラスや日弁連の援助を利用すれば、費用負担を大幅に減らせたり無料にしたりすることができます。
お客様にとっては非常に大きなことですが、行政書士は法律家ではないので法テラスを利用することが
できません。
よく弁護士の方が費用が高そうと思われていることが多いですが、行政書士だと公的な援助を使えないので、むしろ行政書士のほうが費用負担が大きくなるケースがあります。
弁護士であれば十分なサポート受けられ、かつ費用負担も軽減又は無料になるのだとしたら、この点からも行政書士に相談する意味はなく、まずは弁護士に相談するべきといえます。