中国人の刑事弁護(文書偽造の罪)

文書偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。文書偽造の罪について、刑法では以下のように規定されています。

刑法

(詔書偽造等)

第154条  行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。

2  御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。

(公文書偽造等)

第155条  行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

2  公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3  前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

(虚偽公文書作成等)

第156条  公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。

(公正証書原本不実記載等)

第157条  公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2  公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

3  前二項の罪の未遂は、罰する。

(偽造公文書行使等)

第158条  第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

2  前項の罪の未遂は、罰する。

(私文書偽造等)

第159条  行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

2  他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3  前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

(虚偽診断書等作成)

第160条  医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。

(偽造私文書等行使)

第161条  前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

2  前項の罪の未遂は、罰する。

(電磁的記録不正作出及び供用)

第161条の2  人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2  前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

3  不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第1項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。

4  前項の罪の未遂は、罰する。

 

155条は、公文書偽造等罪に関する規定です。公文書の有形偽造の処罰を規定しています。有形偽造とは、作成権限を有しない者が他人名義を冒用して文書を作成することをいいます。その実質は名義人と作成者の人格の同一性の齟齬です。1項は有印公文書偽造、2項は有印公文書変造、3項は無印公文書偽造・変造に関する規定です。公文書は私文書に比べて証拠力が強く、公衆の信用度も高く、また、偽造による被害も私文書よりも大きいことが予想されるため、私文書の偽造・変造よりも重く処罰する趣旨の規定です。

155条1項2項は有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪に関する規定です。主体は無制限です。公務員でも作成権限がない場合や、その職務と関係なく公文書を作成するときは本罪の主体となります。客体は公文書です。公文書とは、公務所または公務員がその名義をもって権限内で所定の形式に従って作成すべき文書または図画をいいます。行為は、行使の目的をもって、公務所・公務員の印章・署名を使用して、公文書・公図画を偽造変造すること、偽造した公務所・公務員の印章・署名を使用して公文書・公図画偽造変造することです。印章とは、公務所または公務員の人格を表象するために物体上に検出された文字・符号の影蹟をいいます。したがって、当該公務員が公務上の印として使用するものであれば私印・職印でもよい。署名とは、自署の他記名も含まれます。

155条3項は、無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪の規定です。客体は印章・署名を使用しない公文書・公図画です。行為は偽造変造です。

156条は虚偽公文書作成等罪に関する規定です。本罪は公文書の社会的信用性に鑑みて、私文書とは異なる扱いをし、公務員の虚偽文書の作成(公文書の無形偽造)を一般的に処罰するものです。主体は、当該文書の作成権限を有する公務員です。事実上文書を作成する補助公務員の場合、実質的に作成権限を有している場合には本罪の主体になりますが、裁量の余地のない機械的事務処理車については本罪の主体にはなりません。行為は、行使の目的をもってする虚偽の文書・図画の作成または文書・図画の変造です。本条にいう変造は、作成権限のある公務員がその権限を濫用して、既存の公文書に不正に変更を加えてその内容を虚偽のものとすることをいいます。

157条は公正証書原本不実記載罪に関する規定です、外国人の日本人との偽装結婚の場合に適用される場合が多いのがこの犯罪です。

159条1項は有印私文書偽造罪に関する規定です。本条は私文書の有形偽造を処罰するものです。客体は、他人の権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画です。他人とは、公務所または公務員でないものをいいます。権利義務に関する文書とは、権利・義務の発生・存続・変更・消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする文書をいいます。具体例としては、借用証書、債権証書、債権譲渡証、無記名定期預金証書、外国人登録原票などがあります。事実証明に関する文書とは、実社会生活に交渉を有する事項を証明するにたりる文書をいいます。行為は行使の目的をもって他人の印章・署名を使用して私文書を偽造することおよび、偽造した他人の印章・署名を使用して私文書を偽造することです。印章とは、特定人の人格を表章するものをいいます。署名には自署の他記名も含まれます。商号、屋号、雅号を記した場合、印章のみを押印した場合です。

159条2項は有印私文書変造罪の規定です。変造とは真正文書に変更を加える権限のない者が他人名義の真正文書の非本質的部分に変更を加え、新たな証明力を作出することをいいます。

159条3項は、無印私文書偽造罪・無印私文書変造罪に関する規定です。印章又は署名がなされていない私文書・私図画が客体となります。

160条は虚偽診断書等作成罪の規定です。本罪は私文書のうち、医師の作成・提出する文書の無形偽造を処罰するものです。したがって本罪の主体は私人たる医師・歯科医師に限られ、公務員たる医師が本罪の行為をなす場合は虚偽公文書作成罪が成立します。

161条は偽造し文書等行使罪に関する規定です。偽造文書を行使し、詐欺をした場合には、本罪と詐欺罪は牽連犯となります。

161条の2は電磁的記録不正作出及び供用罪に関する規定です。本条は、電磁的記録の証明機能を重視し、文書と同様の保護を与えるために新設されたものです。1項2項は電磁的記録不正作出罪の規定です。行為は、電磁的記録を不正に作ることです。不正に作るとは、事務処理をおこなおうとする者の意思に反して無権限あるいは権限を濫用して電磁的記録を作出することをいいます。3項4項は、不正電磁的記録供用罪に関する規定です。不正に作出された電磁的記録を他人の事務処理のため、これに使用される電子計算機で処理しうる状態におくことをいいます。

 

以上、文書偽造の罪について説明をしてきましたが、文書偽造の罪で逮捕された場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。この点、文書偽造の罪の保護法益は、文書に対する公共の信用です。そうすると、個人的法益ではないので、示談というのはあまり有効ではないと解されます。そこで、贖罪や反省を示すために贖罪寄付という方法が考えられます。贖罪寄付の効果を過大に期待するのは禁物ですが、贖罪寄付をしたという事実は有利な事情にはなると考えられます。また、保護法益が個人的法益ではないにしても、文書偽造の罪で名義人や相手方等に損害を与えてしまっているような場合や詐欺罪等も一緒に問われているような場合には名義人や相手方等と示談することも有効であると考えられます。いずれにしても専門的な判断が必要になりますので、文書偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。

 

中国人の刑事事件、文書偽造の罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。

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