Archive for the ‘交通事故コラム’ Category

交通事故の損害(積極損害)

2017-04-07

交通事故の遭ってしまった場合にどのような損害があるのでしょうか。一定のところまで進むと、保険会社から損害明細のような損害の内訳が提示されてきます。その時に、項目がよく分からないと保険会社のいいなりになってしまうかもしれませんので、ここで解説させて頂きます。ここでは、積極損害についてご紹介いたします。

積極損害とは、当該交通事故に遭ったことで被害者が出費を余儀なくされた損害のことを言います。具体的には治療関係費、付添看護費、入院雑費、通院交通費、葬儀関係費、弁護士費用等がこれに該当します。以下解説いたします。

治療費は、当該交通事故から発生した傷害の治療に必要かつ相当な範囲であればその実費全額が認められることになります。病院で医師の指示に従って治療を受けている場合には問題なく認められるでしょう。それでは、接骨院の柔道整復師等の東洋医学による治療は認められるでしょうか。この点医師以外の施術等は客観的な治療効果の判定が困難であること等から、その治療費が損害として認められるためには、原則として医師の指示によることが必要であると考えられています。しかし、医師の指示がなくても、症状の回復に有効で、施術内容が合理的かつ費用、期間等も相当な場合には、損害として認められる場合もあります。また、保険実務でも接骨院等の施術は問題なく認められることが多いので、保険会社の担当者に接骨院に通う旨を伝えて了解をもらえば、問題なく支払ってもらえるでしょう。症状固定後は原則として治療費は認められませんが、リハビリテーション等の保存的治療が必要かつ相当な場合には認められることになります。

入院付添看護費は、原則として医師の指示がある場合、または、怪我の程度や被害者の年齢等によって必要性がある場合に認められることになります。職業付添人の場合には実費全額が認められます。近親者の付添人の場合には、裁判例では6000円から8000円程度が認容されています。なお、赤い本では6500円とされています。

通院付添看護費については、傷害の程度のほか、被害者が幼児や身体障害者である等必要性がある場合に、被害者本人の損害として1日につき、3000円から4000円ほどが認められます。なお、赤い本では3300円とされています。

将来の付添看護費については、医師の指示、または重度後遺障害等症状の程度によりその必要性がある場合に被害者本人の損害として認められることになります。将来の付添看護費は原則として平均余命までの間、職業付添人の場合にはその実費全額が認められます。近親者付添の場合には1日6500円から1万円程度が認められます。赤い本では8000円とされています。

入院雑費についてですが、入院に伴い、おむつ代、日常雑貨購入費等様々な雑費が発生しますが、これについては多品目にわたるため、実務上は定額化されています。入院日額1500円程度が認められています。症状固定以降についても、重度後遺障害等症状の程度、傷害部位等により、現実の必要性がある場合には、将来の雑費についても損害として認められます。

通院交通費については、損害として認められることになりますが、損害の算定において基準となるのは、原則として、バス・電車等の公共交通機関の利用料金です。自家用車による通院の場合にはガソリン代等の実費相当額になります。タクシー料金については争いになりがちですが、傷害の程度およびその他の事情によって、公共交通機関での通院が困難である場合にはタクシー料金も損害として認められる可能性はあります。近親者が月そのために使用した公共交通機関の交通費、宿泊費については、その必要性がある場合には認められることがあります。宿泊費が認められるためには入院先が遠方である、被害者の症状が重篤である等の事情が必要になると思われます。その他にも、近親者が海外にいる場合の帰国費用も問題となる場合があります。

葬儀費用については、人間はいずれ死ぬことから従前これを認めるべきか議論がありましたが、判例はこれを認めています。葬儀費用は定額化が図られており、赤い本では原則として150万円と定めています。これを下回る場合には実際に支出した額とされています。葬儀費用とは別に墓石建立費、仏壇購入費を損害とて認めた裁判例等もあります。

弁護士費用については、その費用の全てが損害として認められるわけではなく、実際に裁判上認められる額は請求認容額の10%程度となっています。これはあくまで裁判をした場合の額なので、交渉段階で解決する場合には請求しないことが実務上は多いです。

遅延損害金は年率5%で、事故日より起算します。遅延損害金についても交渉段階では請求しないことが多いですが、裁判になった場合には請求しますので、遅延損害金の存在は裁判を避けて示談するという保険会社に対する圧力になると考えられます。

ここまで、代表的な積極損害の中身を紹介してきましたが、上記に挙げたものだけではなく、その他様々な損害が発生します。それらの損害についても、必要かつ相当なものについては損害として認められることになります。たとえば、家屋・自動車等改造費については、受傷の程度により、今後の生活のために家屋の改造、自動車の改造が必要とされる場合、被害者の後遺障害の程度、家族の利便性等を考慮して必要かつ相当なものについては損害として認められます。

義手、義足、義歯、義眼、眼鏡、コンタクトレンズ、電動ベッド、盲導犬費用等の装具・器具等購入費などが、損害として認められます。将来買換えが必要な場合には将来の損害としても認められます。

医師への謝礼は社会通念上相当なものであれば損害として認められることになります。

 

中国人の交通事故、自賠責請求、後遺障害認定、示談交渉は、中国語が話せる弁護士永田洋子にご相談ください。

電話番号は0800-700-2323

 

交通事故で加害者が任意保険に加入していなかった場合

2017-04-07

交通事故に遭ってしまった場合、相手方が任意保険に加入している場合には、相手の保険会社が治療費や休業損害を払い、最終的に慰謝料等や後遺障害が認定されている場合には後遺障害逸失利益等をまとめて賠償してもらえます。加害者本人が支払うのではなく、保険会社が肩代わりしますので、加害者本人に支払能力がなくても安心です。加害者としても多額の賠償責任を負うことがなく安心なので、現在では多くの方が任意保険に加入しています。そして、加害者が任意保険に加入していれば事故に遭った場合、保険会社の担当者から連絡がありますので、とりあえず何をするべきか迷うこともないですし一定の賠償を受けることはできます(賠償額が適切かは別の話なので、この点は弁護士に相談するべきでしょう)。それでは、加害者が任意保険に加入していない場合にはどうするべきでしょうか。特に加害者に資力が全くない場合に問題になります。

 加害者が任意保険に加入していない場合には、保険会社が肩代わりしてくれないことになりますので、加害者本人に請求することが原則となります。この場合、加害者の資力が十分ある場合等は、治療費を先払いしてくれたり揉めることはないかもしれませんが、治療費を先払いしてくれる加害者は少ない気がします。そうすると、被害者の方で治療費を立て替えて、治療が終了して、損害が確定した段階で、慰謝料等と一緒に請求することになります。このように治療費を立て替えないといけない場合には、治療費の負担が大きくなりますので、健康保険を使用して治療を受けるべきといえます。病院によっては、交通事故の場合は健康保険を使えないと言われることがありますが、第三者行為による傷病届を出せば健康保険を使えますので、3割負担にして病院に通いましょう。

 加害者が任意保険にも加入しておらず、資力もない場合には、加害者本人から回収することは難しくなるので、別途手段を考える必要があります。そこで考えられるのが、自賠責保険です。自賠責保険とは自動車賠償保障法に基づく強制保険で、加入していない場合には犯罪になりますので、ほぼ全ての自動車が加入しています。ごくたまに加入していない加害者がいますが、これは無車検の場合も多く、無車検無保険として厳しく処罰されます。このように任意保険には入っていなくても、自賠責保険には入っている場合がほとんどですので、これを利用することを考えましょう。とはいっても、自賠責は最低限の保障しかされませんので注意が必要です。後遺障害が認定されなかった場合で傷害のみの場合、上限が120万円となります。これに後遺障害が付くと、後遺障害14級の場合は75万円、後遺障害13級の場合は139万円、後遺障害12級の場合は224万円、後遺障害11級の場合は331万円、後遺障害10級の場合は461万円、後遺障害9級の場合は616万円、後遺障害8級の場合は819万円、後遺障害7級の場合には1051万円、後遺障害6級の場合は1296万円、後遺障害5級の場合は1574万円、後遺障害4級の場合は1889万円、後遺障害3級の場合は2219万円、後遺障害2級の場合は2590万円、後遺障害1級の場合は3000万円が上限として加算されます。このように一部ではありますが、ある程度の金額が入りますので、是非利用するべきといえます。そして、裁判基準で計算した額から、この自賠責で受け取った金額を差し引いた金額を相手方本人に請求することになります。裁判をすれば回収できそうな場合には、弁護士と相談しながら決めることになります。

 自賠責を利用することをご説明しましたが、他にも方法としてはあります。それは人身傷害保険を利用することです。今まで説明してきたものは、加害者である相手方が加入している保険の説明でした。しかし、この人身傷害保険というのは、ご自身が加入している保険ということになります。これは、ご自身やご家族が加入している任意保険の特約として付されている可能性がありますので、ご自身に適用されるのかをよく保険を調べてみるのが良いかと思います。保険金額や支払基準は、保険会社によって違いますが、自賠責よりは貰える可能性が高いので、使用を検討した方が良いでしょう。しかし、人身傷害保険はご自身の保険であり、これを利用すると以後の保険料金が高くなる可能性がありますので、貰える金額と比較して使用を決めるのが良いかと思います。

 他にも使える可能性がある保険はありますが、代表的な物を紹介させて頂きました。相手が任意保険にはいっていなかくて困ってしまっている方が弁護士に相談することによって解決の道筋が開けることもありますので、まずは、弁護士に相談してみることをお勧めします。

 

中国人の交通事故、自賠責請求、後遺障害認定、示談交渉は、中国語が話せる弁護士永田洋子にご相談ください。

電話番号は0800-700-2323

中国人の交通事故の解決の道のり

2017-04-06

中国人や外国人の方で交通事故に遭ってしまった場合、何からしていいのか迷ってしまうのが普通です。病院はいつまで通えば良いのか、相手の保険会社とはどのように示談交渉したら良いのか、最終的な解決手段はどうしたら良いのか等々分からないことばかりです。そこで今回は、交通事故に遭ってしまってから解決までの一般的な手続や流れを解説します。

 

交通事故に遭ってしまった場合、まずは、警察を呼んで病院に行くかと思います。人身事故にしないでくれと加害者に頼まれることがありますが、もし怪我をしてしまったのであれば、人身事故にするべきだと私は考えます。というのは、万が一後遺障害がのこるような怪我であった場合、自賠責に申請する際に、交通事故証明書には物損事故と記載されてしまい、色々と不都合なことが生じてしまうからです。後遺障害は残りそうもなく、相手が可哀想だからということでしたら、先ほどのリスクを承知の上で人身事故にしないという選択肢もあるかとは思います。

 

病院に通うと、相手が任意保険に入っている場合には、過失割合で争いがない場合などは保険会社が治療費を払ってくれることが多いです。相手が任意保険に入っていない場合には保険会社が払ってくれませんので、加害者本人が払ってくれない場合には、健康保険を利用して3割負担にしてもらった方が良いです。病院によっては健康保険は使えないと言われることがありますが、第三者行為による傷病届を出せば健康保険を使えますので、主張して下さい。このようにして病院に通っていると、一定の歳月が経った段階で、保険会社から治療を打ち切るつまり、治療費はもう出さないと言われることがあります。特にむち打ち等ではまだ痛いのに保険会社から治療を打ち切ると言われたと相談を受けることが多いです。治療を終了するかどうかは保険会社が判断するのではなく医師が症状を見て決めます。医師が治療終了の判断をしていないのに保険会社が治療終了の判断をしている場合には、医師に確認したうえで保険会社と交渉することによって治療が延長されることもあります。弁護士に依頼するタイミングの話とも重なりますが、このタイミングで弁護士に依頼される方もいます。一方医師も治療終了の判断をしている場合、保険会社の治療終了の判断を覆すことは中々難しいのが現状です。そうするとこの段階で治療は終了ということになり、まだ痛み等が残っている場合には後遺障害の問題となります。

 

症状固定とは、これ以上治療をしても良くならないという段階のことをいいます。つまりその段階で治療をしても意味がないため治療終了ということになります。その段階で痛みや可動域制限等々の後遺症が残っている場合には、後遺障害の問題となります。

後遺障害14級とか後遺障害12級という言葉を聞いたことがあるかと思います。これは、どこが認定しているかというと、自賠責つまり自賠責損害保険料率算出機構が認定します。

手続としては、自賠責保険の窓口保険会社に必要書類を提出します。窓口保険会社は自賠責の調査事務所に書類を回し、調査事務所は調査後に損害保険料率算出機構に書類を上げて認定するという流れです。窓口保険会社は交通事故証明書を見れば分かります。書式等がもらえますので、これに沿って手続を進めると良いでしょう。後遺障害の認定については、相手保険会社に手続を任せる事前認定と、被害者自身で手続をする被害者請求の手続があります。どちらが良いかと聞かれることもよくあります。私としては事案によるとしか言えないのですが、被害者請求でやる方が良い場合が多いと思います。というのも、相手保険会社はあくまで相手方ですので、相手保険会社が手続をして認定されなかった場合に納得できるかという心情的な部分もあるかと思います。弁護士費用特約に入っている場合には、自賠責請求の手続費用も保険が使えますので、弁護士費用特約に入っている場合にはとりあえず弁護士に依頼して被害者請求を選んでも良いかと思います。被害者請求する場合で弁護士に依頼する場合は、医師に書いてもらう後遺障害診断書の記載の指示もしますのでよく弁護士と相談したうえで手続を進めた方が良いでしょう。後遺障害診断書は細かく項目は分かれていますが、特に疼痛で14級等を目指す場合には必要な検査が漏れていることも多いです。なので、このような場合には、必要な検査の種類を弁護士が支持することになります。後遺障害認定を受ける上で、この後遺障害診断書が非常に重要なものになりますので、しっかりと適切な記載をしてもらえるよう心がけましょう。そのうえで、弁護士名義の意見書を添付して申請することになるかと思います。

 

後遺障害が認定されなかった場合には異議申立ての手続がありますので、これを利用するかどうかをきめることになります。弁護士の目から見ると、認定がおかしいものもありますが、異議申立てをしても覆るは難しいという事案もありますので、時間の無駄にならないように弁護士に良く相談して決めるべきでしょう。異議申立てをしても納得のいく結果にならなかった場合には、自賠責・共済保険紛争処理機構に対する紛争処理の申請という手続があります。上述の異議申立ては時効にかかるまでは何回もできますが、この紛争処理機構に対する紛争処理の申請は一回限りの手続になります。この紛争処理機構の判断にも納得ができない場合には、裁判をするということになります。

 

後遺障害非該当又は認定に納得した場合には、損害額を確定できることになりますので、損害額を計算した上で、相手方に請求して後遺症することになります。相手方が任意保険に加入している場合には、相手保険会社の担当者と示談交渉をすることになります。保険会社としては、なるべく支払を抑えるために自賠責基準やその保険会社の基準で損害額を計算して示談金を提示してくることがほとんどです。被害者本人で交渉している限り、この基準で強硬に主張してくることが多いように感じます。これに対して弁護士に依頼した場合には、裁判をした場合に認められるであろう基準つまり裁判基準で損害額を計算して相手保険会社に請求していくことになります。ただこれは、裁判をした場合の基準ですので示談で早く解決したいという場合には一定の譲歩をして示談を締結することになります。

裁判をするか、示談交渉で解決するかは、時間のロスや訴訟した場合の勝訴の可能性等、非常に専門的な判断が必要になりますので、担当の弁護士とよく相談して決めるべきです。

なお、先ほども言いましたが、弁護士に依頼しないでご本人のみで交渉してもほとんど増額しないことが多いように感じます。保険会社の担当者によっては、これ以上請求するのであれば弁護士に依頼して下さいと言う担当者もいます。弁護士に依頼するかどうかは、弁護士費用と増額幅を比べて決めるべきです。私であれば、試算をして弁護士に依頼した方が損する場合つまり費用倒れになる場合には、受任しませんし依頼をお勧めしませんのでまずは相談してみてください。これに対して、弁護士費用特約に加入している場合には、依頼者様の費用負担はないので費用倒れになることはないので、依頼することをお勧めすることが多いです。

 

保険会社と交渉していて、良く争いが生じる損害項目としては、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益等々です。慰謝料は単に低く設定してきます。休業損害や後遺障害逸失利益については、基礎収入を低くしてきたい、喪失期間を短くしてくることが多いです。これに対して、弁護士としては、理論的根拠をもって交渉していくことになります。

 

示談交渉をしていき、まとまった場合には事件は解決ということになります。これに対して、示談交渉が決裂した場合には、その次の手段に移行することになります。まずは、最終的には裁判をすることになりますが、時間もかかりますし、費用負担も増えることになりますので裁判は避けたいとおっしゃる方も多いです。そこで、訴訟の前段階としてADR(裁判外紛争処理機関)を利用することが考えられます。ADR機関としては、公益財団法人日弁連交通事故相談センターや公益財団法人交通事故紛争処理センター等があります。ADRの利点としては、数回の期日で終わるので、スピーディに終わるということです。これに対して、事実関係に大きな争いがあるような場合にはADRにはなじまないので訴訟を利用するべきと考えられます。ADRを利用するかどうかも専門的な判断が必要になりますのでよく弁護士と相談しましょう。

 

交通事故に遭ってしまった中国人、外国人の方は、中国語対応可能な弁護士永田洋子に是非ご相談ください。

電話番号は0800-700-2323

Newer Entries »

トップへ戻る

日本語・中国語対応の電話番号 法律相談 お問い合わせフォーム