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難民認定申請と在留資格の関係
難民認定申請時に在留資格がある場合、現在の運用では在留資格が変更ないし更新されるのが通例です。具体的に現在の実務では難民認定申請者の多くが有する在留資格である短期滞在は特定活動に変更される運用になっています。さらに行政手続が係属している間は期間更新が認められます。しかし、異議申立てが棄却され行政手続きが終了すれば訴訟を提起したとしても更新は認められない扱いとなっています。もっとも異議申立て棄却後に直ちに再度の難民認定申請をすることによって、在留資格の更新が認められることもあります。
就労制限がない在留資格、例えば定住者や日本人配偶者等の在留資格を有していれば就労は可能です。しかし、難民認定申請者でこれらの在留資格を持っている方は少ないと思われます。特定活動では原則として働くことはできません。働くためには資格外活動許可が必要になってきます。また、資格外活動許可が認められるのは申請から6か月が経過が必要という運用がとられています。
在留資格がない場合であっても、一定の除外事由に該当しなければ、仮滞在という正規滞在者としての地位が認められます(入管法61条の2の4)。しかし、除外事由の規定はたいへん複雑で条項も多いため、仮滞在が許可される件数は極めて少ないのが現状です。仮滞在とは、在留資格がなくても正規に滞在することが認められる地位です。難民認定申請をすれば自動的に仮滞在についても判断されます。仮滞在は許可期間は3か月であり、原則として許可され得ます。仮滞在許可がされた者は退去強制手続きが停止されます。もっとも、仮滞在許可を受けたものは就労することはできません(入管法61条の2の4第3項、入管規則56条の2第3項3号)
在留資格のない外国人が難民認定申請をしても在留資格は付与されません。そうすると非正規滞在者となり、退去強制手続きが別途進行します。しかし、この場合でも送還の効力は停止されるため、難民認定申請中は異議申し立て段階も含めて日本から送還されることはありません(入管法61条の2の6第3項)。
非正規滞在の難民認定申請者で仮滞在が認められない者は、送還部分の効力しか停止されないため収容される可能性があります。難民認定申請時に在宅であれば、違反調査後に仮放免許可が認められ、この場合、収容は回避されます。もっとも逮捕・摘発された後に難民認定申請をした場合には仮放免許可申請を行ってもすぐに許可が下りるとは限りません。
難民認定申請、在留資格変更、在留期間更新に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号は0800-700-2323(フリーコール)
難民不認定に対する異議申立手続
難民認定申請手続で難民不認定処分が出された場合には、異議申立てをすることができます。異議申立をすることができる期間は難民不認定通知がされた日から7日以内です。異議申立書には簡潔に異議申立てを行う理由を記すにとどめ、おって詳細な理由を提出するのが通例です。異議申立ての受付場所は、各地方入管の審判部門です(入管規則58条、法務省組織令54条5号)。
異議申立て後、新たな追加資料を提出することができます。また、入管は、異議申立後、申述書とういう書式の文書提出を求めています。実務では異議申立てがなされ、申立人が受理票をうけとってから6週間以内に資料や新証拠の提出を求められる運用となっています。しかし、6週間という期間は法律上根拠があるわけではなく、提出期限を過ぎたからといって期限後の提出が無効となるわけではありません。また、申述書の作成や新証拠の提出に時間がかかる場合にはあらかじめ期限の延期を入管に申し入れるべきです。さらに、申述書の書式を使用せずに、弁護士が申述書に代わる意見書を作成して、難民該当事実の主張と申述書の質問事項への回答を記載することもできます。
異議申立てでは入管職員だけではなく、難民審査参与員が審理に関与します。処分権者である法務大臣は、異議申立ての判断をするにあたり、参与員の意見を聴かなければなりませんが(入管法61条の2の9第3項)、参与員の意見に拘束される義務はありません。最終的な判断権者は、あくまでも法務大臣です。
現時点では、参与員には、現役の弁護士、元検事、元裁判官といった法曹界出身者のほか、NGO職員、元外交官、元新聞記者、大学教授などが任命されています。
難民認定手続、異議申立て、在留特別許可に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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難民認定申請のポイント
難民認定申請手続は難民認定申請書の提出から始まりますが、申請書には余すことなく必要事項を記載しなければなりません。申請書の記入欄は狭いので必要に応じて必要に応じて別紙を使い、質問事項に対して十分な回答をするように心がけましょう。申請書を作成する際にちゅういすべきことは、難民認定申請書に記載がない内容をその後に供述すると、申請書に記載しなかった理由を求められるということです。
難民認定手続では、難民認定申請者は真実を述べているかということが常に問題としてつきまとうため、申請書が申請時から迫害を基礎づける事情を余すところなく供述している場合には、供述に一貫性があると評価され、客観証拠をほとんど持たない難民認定申請者にとってはプラスの要素となります。逆に申請書に記載がないことを、その後の手続の中で供述すると、供述の信ぴょう性が疑われる余地を残すことになります。したがって、難民認定申請書には核となる事実・体験について漏れなく記載するようしなくてはなりません。もっとも、心理的要因によって、申請書の提出段階ではもれなく記載することが困難な場合は、陳述書で事後的に補充することも考えられます。
その後の手続きの中で、難民認定申請者が提出した書類や、インタビューで難民認定申請者が話したことはすべて難民性の判断に影響を与えます。一番初めに提出する難民認定申請書の記載とその後のインタビューでの供述が一致しなかったり、時系列的にずれていたりすると、矛盾があるとして難民認定申請者の話は信用できないと言われかねません。したがって、難民認定申請書の作成段階から、時系列に注意した記述をしなければなりません。
一般的に、何年に何があったかということを正確に記憶している人はあまりいません。それが相当期間前に起こったものであればなおさらです。記憶していない場合には断定的に記載するのではなく何年頃といった記載にとどめるべきです。さらに、難民認定申請者が、客観的報道があるような有名な事件の体験者であるのならば、出身国情報と照らし合わせて難民認定申請者の記憶を喚起させる等して、できるだけ客観的事実と齟齬するような情報が載らないように注意するべきです。
難民認定申請書は難民認定申請者が地方入国管理局に出頭して提出します(入管規則55条1項)。具体的な窓口は各地方入国管理局に配置された難民調査官となります。たとえば、東京入国管理局では難民調査部門、大阪入国管理局では就労・永住審査部門ということになります。難民認定申請は本人が出頭しなければならず、弁護士が代理して申請することはできないという運用がとられています。
難民認定手続、在留特別許可に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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難民の定義
入管法は、にほんにおいて保護される「難民」とは、「難民の地位に関する条約第1条の規定又は難民の地位に関する議定書第1条の規定により難民条約の適用を受ける難民をいう」と適宜しています(入管法2条3号の2)。
つまり難民とは、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの及びこれらの事件の結果として常居所を有していた国の外にいる無国籍者であって、当該常居所を有していた国に帰ることができないもの又はそのような恐怖を有するために当該常居所を有していた国に帰ることを望まないもの」をいいます。
重要なことは、難民認定は裁量判断ではないということです。つまり、難民認定申請者が上記の定義に該当する場合には必ず難民として認定されなければなりません。難民の地位の認定がその者を難民にするのではなく、地位の認定は難民である旨を宣言するものです。難民認定申請者は認定によって難民になるのではなく、難民であるがゆえに難民と認定されるのです。
国連難民高等弁務官(UNHCR)は難民保護を責務とし、難民条約の適用を監督する国際機関です。
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難民認定手続きとは
難民認定手続とは、一定のカテゴリーに該当し、本国に帰国できない者を「難民」として認定し、日本で保護することを目的とした制度です。第二次世界大戦後の1951年に採択された「難民の地位に関する条約」を契機として、難民条約を批准した各国がそれぞれの国で難民を保護するための制度を設けました。日本は1981年に難民条約を批准しましたのでそれに伴って難民認定手続が設置されました。難民としての保護を求める者は、法務大臣(窓口は入管)に対して難民認定申請を行い、難民認定申請手続では難民調査官が調査を、異議申立手続では難民審査参与員が引き続き審査を行い、これらの調査ないし審査をもとに、最終的には法務大臣が難民かどうかの判断をすることになります。
難民認定手続きは、難民認定申請手続と異議申立て手続の2段階からなります。これらは行政手続ですが、行政手続の判断がなされた後は行政訴訟で難民不認定取消訴訟を起こして争うことができます。裁判で勝訴すると処分時から特段の事情変更がない限り難民認定処分が下されます。また、一度不認定とされても再度難民認定申請をすることも認められています。
難民として認定された場合には、原則として「定住者」の在留資格および在留期間「5年」が与えられます(入管法61条の2第1項、入管内部規定・難民認定事務取扱要領)。また、難民認定がなされ、入管法61条の2の2第1項1号〜4号の除外条項に該当した場合でも「定住者」の在留資格および「5年」が認められる運用となっています。難民として認められない場合でも、人道的な配慮から在留特別許可が認められ「定住者」や「特定活動」の在留資格が与えられることもあります(入管法61条の2の2第2項)。
難民認定手続、在留特別許可に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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法務大臣裁決、上陸特別許可
特別審理官の、上陸の条件に適合しないとの認定に不服がある外国人は、法務大臣(または権限の委任を受けた地方入国管理局長)に対して、認定の通知を受けた3日以内に異議の申出をすることができます(入管法11条1項)。
異議の申出を受けると、法務大臣は、上陸審査手続きの終局的な判断として裁決を行います(入管法11条3項)。異議の申出に理由がある(上陸の条件に適合する)との裁決がなされた場合は、上陸許可がされます、異議の申出に理由がない(上陸条件に適合しない)が、特別に上陸を許可すべき理由があると認められた場合、上陸特別許可(入管法12条)により上陸が認められます。異議の申出に理由がないとされ、上陸許可も認められない場合には、退去命令が発布されます(入管法11条6項)。
上陸審査、上陸特別許可、査証(ビザ)、在留資格認定証明書に関するご相談は元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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口頭審理(上陸手続)
入国審査官から上陸申請をする外国人の引き渡しを受けた特別審理官は、速やかに当該外国人に対して口頭審理を行うことになります(入管法10条1項)。口頭審理には代理人を出席させることができ、また、親族または知人の1人を立会人として立ち会わせることができます。また証人尋問や証拠の提出等の規定もあります。
しかし、実際には手続きが外国人の日本到着後間もなく行われること、日本に到着したばかりの外国人が弁護士にアクセスして援助を求める手段が確保されていないことから、こうした手続き規定が活かされているとはいいがたい現状にあります。
口頭審理の結果、特別審理官が上陸の条件に適合すると認めた場合には上陸が許可されます。上陸の条件に適合しないと認定された場合、当該外国人がその判断に服して帰国することを選んだ場合には退去命令が発布されます(入管法10条11項)。なお、個人識別情報の提供を免除されていない外国人が口頭審理に至っても個人識別情報を提供しない場合も、退去命令が発布されます(入管法10条7項)。
上陸審査、査証(ビザ)、在留資格認定証明書、上陸特別許可に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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上陸申請・上陸審査
在留資格認定証明書取得、査証取得などの事前準備をして日本に入国した外国人は、出入国港で上陸申請を行い、入国審査官による上陸審査を受けることになります。
入国審査官が、入管法7条1項の規定する上陸の条件に適合すると判断すると、旅券上に在留資格と在留期間が記載された上陸許可の証印がされます。また、上陸許可によって中長期滞在者(在留期間が3月以下の者、外交または公用の在留資格が決定された者、短期滞在の在留資格が決定された者など、入管法19条の3に列挙されている者および特別永住者を除く外国人)となった者に対しては、在留カードが交付されます(ただし、出入国港によっては、市区町村の窓口に住居地の届出をした後に交付される場合もあります。)
上陸の条件に適合しないと判断された場合、当該外国人が、口頭審理を行うために特別審理官に引き渡されることになっています(入管法9条の5)。
入管法6条3項の各号に該当する者(特別永住者、16歳未満の外国人、外交公用の在留資格で上陸する者、国の行政機関が招聘する者、入管規則5条10号に規定される者)以外の外国人については、個人識別情報として指紋および写真を提供することが義務付けられており(入管法6条3項、入管規則5条6号)、個人識別情報の提供を免除されていない外国人が個人識別情報を提供品場合も、特別審理官に引き渡されて口頭審理を受けることになります。
上陸審査、査証(ビザ)、在留資格認定証明書、上陸特別許可に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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査証取得のための手続
実務上、就労や長期滞在の目的で来日しようとする場合など、短期滞在以外の在留資格の査証を取得しようとする外国人は、まず、法務大臣(入管から)在留資格認定証明書の交付を受け、その後、同証明書を添付して在外公館に対し査証発給申請をすることが一般的です。
短期滞在に
ついては、在留資格認定証明書交付の対象とならず、直接、在外公館で査証申請を行うことになります。また、いわゆるワーキングホリデーやEPAで来日する場合についても、在留資格認定証明書交付の対象とならないので、直接、在外公館で査証申請を行うことになります。
なお、制度上は、就労や長期滞在のための在留資格であっても、在留資格認定証明書の交付を受けずに、直接、在外公館に査証申請をすることが不可能なわけではありませんが、申請書類が日本国内の地方入国管理局に回付されて審査が行われることになり、時間がかかることから、実務上はあまり一般的ではありません。ただし、類型によっては在留資格認定証明書を所持していなくても比較的迅速に査証の発給がされる場合もあります(上場企業、著名企業の企業奈転勤等)。
査証に関する法律上の定めとしては、在外公館が査証に関する事務を行うことを定めた外務省設置法4条13号、同7条1項がありますが、査証発給の要件については法律上規定がなく、具体的な運用については査証事務処理規則等により定められています。
原則として査証申請者が、以下の要件をすべて満たし、査証発給が適当と判断される場合に査証の発給が行われるとされています。
・申請人が有効な旅券を所持しており、本国への帰国または在留国への再入国の権利・資格が確保されていること
・申請にかかる提出書類が適正なものであること
・申請人の本邦において行おうとする活動または申請人の身分もしくは地位および在留期間が、入管法に定める在留資格および在留期間に適合すること
・申請人が上陸拒否事由に該当しないこと
上陸審査、査証(ビザ)、在留資格認定証明書、上陸特別許可に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号は0800-700-2323(フリーコール)
査証(ビザ)が不要な場合
入管法上、査証が不要である場合としては、以下のような場合が挙げられます(入管法6条1項但書)。これらの例外に該当しない場合には、上陸前に、日本の在外公館(領事館など)で、査証の発給を受ける必要があります。
①当該国・地域との間で査証免除措置等が行われている国・地域の旅券をもって、短期滞在する場合
一般査証免除措置が行われている国や地域の外国人が、短期滞在に該当する目的で、それぞれの措置で決められた期間以内の滞在をする場合には、原則として査証は不要とされます。一般査証免除措置の有無等は外務省のサイトで確認することができます。
なお、査証免除国であっても、国によっては、査証取得勧奨措置がとられていることがあります。このような国の外国人については、事実上、事前に査証を取得せずに上陸するのは困難ですから、事前に査証を取得すべきであるといえます。
②すでに日本に在留している外国人が再入国許可を取得した上で出国し、またはみなし再入国許可(入管法26条の2)の適用を受けて日本に再上陸しようとする場合。
③難民旅行証明書の交付を受けている場合
(上陸の申請)
第六条 本邦に上陸しようとする外国人(乗員を除く。以下この節において同じ。)は、有効な旅券で日本国領事官等の査証を受けたものを所持しなければならない。ただし、国際約束若しくは日本国政府が外国政府に対して行つた通告により日本国領事官等の査証を必要としないこととされている外国人の旅券、第二十六条第一項の規定により再入国の許可を受けている者(第二十六条の二第一項又は第二十六条の三第一項の規定により再入国の許可を受けたものとみなされる者を含む。以下同じ。)の旅券又は第六十一条の二の十二第一項の規定により難民旅行証明書の交付を受けている者の当該証明書には、日本国領事官等の査証を要しない。
上陸審査、査証(ビザ)、在留資格認定証明書、上陸特別許可に関するご相談は、元行政書士で入管ビザ事件を多く取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。
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