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中国人の刑事弁護(過失運転致死傷、危険運転致死傷等)
交通事故の加害者側、過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪等で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪について、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律では、以下のように規定されています。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(定義)
第一条 この法律において「自動車」とは、道路交通法 (昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号 に規定する自動車及び同項第十号 に規定する原動機付自転車をいう。
2 この法律において「無免許運転」とは、法令の規定による運転の免許を受けている者又は道路交通法第百七条の二 の規定により国際運転免許証若しくは外国運転免許証で運転することができるとされている者でなければ運転することができないこととされている自動車を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は当該国際運転免許証若しくは外国運転免許証を所持しないで(同法第八十八条第一項第二号 から第四号 までのいずれかに該当する場合又は本邦に上陸(住民基本台帳法 (昭和四十二年法律第八十一号)に基づき住民基本台帳に記録されている者が出入国管理及び難民認定法 (昭和二十六年政令第三百十九号)第六十条第一項 の規定による出国の確認、同法第二十六条第一項 の規定による再入国の許可(同法第二十六条の二第一項 (日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法 (平成三年法律第七十一号)第二十三条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により出入国管理及び難民認定法第二十六条第一項 の規定による再入国の許可を受けたものとみなされる場合を含む。)又は出入国管理及び難民認定法第六十一条の二の十二第一項 の規定による難民旅行証明書の交付を受けて出国し、当該出国の日から三月に満たない期間内に再び本邦に上陸した場合における当該上陸を除く。)をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)、道路(道路交通法第二条第一項第一号 に規定する道路をいう。)において、運転することをいう。
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)
第四条 アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
(無免許運転による加重)
第六条 第二条(第三号を除く。)の罪を犯した者(人を負傷させた者に限る。)が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、六月以上の有期懲役に処する。
2 第三条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は六月以上の有期懲役に処する。
3 第四条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十五年以下の懲役に処する。
4 前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。
自動車の運転によって、過失により人を死傷させてしまった場合、かつては刑法に規定されていた自動車運転過失致死傷罪で処罰がされていました。これらが、刑法から削除され、独立して上記法律に規定されるようになり、また、内容も充実するようになりました。内容としては、基本的には刑法の時と変わらない、過失運転致死傷罪があり、詳細な要件が規定されている危険運転致死傷罪や、アルコール等影響発覚免脱行為をした場合には加重して処罰される規定や、無免許運転による加重規定が設けられました。
これらの、規定の保護法益は人の身体生命であると考えられます。そのため、これらの罪で逮捕されてしまった場合には、被害者と示談をすることが重要になります。通常であれば、任意保険に加入していると思われるので、損害賠償関係は任意保険会社の担当者に進めてもらうのがよろしいと思います。ただし、謝罪等についてはやはり、本人でしかできないことなので、本人からの謝罪の申し出や、謝罪文の送付等をする必要があると思われます。示談が成立し、被害者が許してくれるという場合には、事故の程度によりますが、不起訴処分になる可能性があります。法5条但書きでは「ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」と規定されており、示談や謝罪等の有利な情状を積み重ねることは重要です。起訴されてしまった場合でも、示談が成立していることは有利な情状になります。できるだけスムーズに示談ができればよいので、謝罪等はできるだけ早く申し出るのがよろしいと思います。そのため、弁護士に早く依頼することをお勧めします。弁護士が保険会社と連絡を取りながら、示談の進捗を確認しながら謝罪活動をしていくことになります。任意保険に加入していない場合には、賠償をすべて自己負担しなければならないので大変です。また、保険会社は示談交渉をしてくれないので、被害者から請求された額が正しい額か否かわからないこともあります。任意保険に加入していない場合にも、弁護士に依頼して適正な損害額を計算してもらい示談交渉をしてもらうことをお勧めします。被害者に支払った額のうち一部は自賠責保険から回収できる可能性があります。
通常の過失運転致死傷であれば、任意保険に加入しており、しっかり反省していれば、いきなり実刑になることは少ないです。しかし、危険運転致死傷や飲酒運転、無免許運転等が加わった場合にはいきなり実刑ということも十分にあります。そのような場合には、賠償のみならず、反省の態度を示すために反省文を作成したり、交通安全DVD等を見て感想文を書く等のしっかりした対応をする必要性があります。この点も担当の弁護士としっかり相談することをお勧めします。
過失運転致死傷罪等で、否認している場合、特に過失を否認しているような場合には、主張が通った場合には不起訴や無罪となります。どのような場合に過失の否認の主張が通るかというと、予見可能性結果回避可能性がない場合、つまり避けようと思っても避けられなかった場合があります。具体的には、歩行者がいきなり赤信号無視して飛び出してきた場合、対抗車線を走る車がいきなり事故の車線に突っ込んできた場合、等々、過失否認の主張が通る場合がります。このような場合には警察とは別に弁護人である弁護士が現場に行って実況見分をすることがあります。とくに、見落とされている防犯カメラ等があったりしますので、重要です。また、取調べ対応も非常に重要です。特に過失犯の場合、法律的にも難しい場合が多いです。取調官はプロ中のプロです。知らない間に過失を認めた調書がとられていてもおかしくはありません。できるだけ早く弁護士に相談、依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪、無免許運転、飲酒運転、酒気帯び運転、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)

海外で生まれ、元行政書士としてビザ申請業務に携わった経験と語学力を活かし、現在は弁護士として活動。女性ならではのきめ細やかさと、趣味のサバイバルゲームで培ったフットワークの軽さを大切にしています。
一般民事から刑事事件まで幅広く対応する中でも、特に外国人の方々が関わる法律問題(国際離婚・相続、入管業務など)を専門としております。「親しみやすく、話すだけで気持ちが楽になった」というお言葉を励みに、ご相談者様に寄り添うことを第一に考えています。
法律問題を抱えて一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。
中国人の刑事弁護(逮捕及び監禁)
逮捕監禁罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。逮捕監禁罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(逮捕及び監禁)
第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
(逮捕等致死傷)
第221条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
220条は逮捕監禁罪に関する規定です。保護法益は、個人的法益としての人の身体・行動の自由です。客体は、身体活動の自由を有する自然人です。本罪は身体活動の自由を保護法益とすることから、意思に基づく身体の活動能力をまったく有しない嬰児や意識喪失状態の者は、客体には含まれません。被害者は現実的行動能力を有することは必要ではなく、潜在的可能的自由で足ります。また、被害者自身は監禁されている事実を認識する必要はありません。
220条前段は逮捕罪に関する規定です。逮捕とは、人の身体を直接的に拘束して、その身体活動の自由を奪うことをいいます。縄で縛るような有形的手段でも、詐欺脅迫などの無形的手段であってもよいです。
220条後段は監禁罪に関する規定です。監禁とは、人の身体を間接的(場所的)に拘束してその身体活動の自由を奪うこと、すなわち人が一定の区画された場所から脱出することを不能または著しく困難にすることをいいます。有形的・無形的いずれでもよく、また、手段方法は問いません。脱出の方法があっても、社会通念上人が脱出するのに困難を感じる方法で身体活動の自由を奪うときは監禁にあたります。たとえば、自動車を疾走させて脱出を困難にすれば、絶対に脱出が困難でなくとも監禁になります。監禁する場所は囲ってある場所でなくてもよく、原動機付自転車から降りられないようにするのも監禁に該当します。
逮捕と監禁は、同一法条に規定された同性質の犯罪であることから、人を逮捕し引き続いて監禁した場合には逮捕・監禁一罪が成立することになります。
以上、逮捕監禁罪の解説をしてきましたが、逮捕監禁罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。上記に書いた通り、逮捕監禁罪の双方とも、保護法益は個人の身体・行動の自由ということになります。そこで、被害者と示談をすることが非常に有効な弁護活動になると考えられます。慰謝料等を支払い、示談をして、被害者に許してもらうことができた場合には、事案にもよりますが、不起訴になる可能性があります。また、起訴されてしまった場合でも、示談成立は非常に有利な証拠になります。処分関係のみならず、逮捕勾留されている場合でも、示談が成立すれば、釈放される可能性もあり、起訴後は保釈も認められやすくなる等、身柄解放の時期も早まると考えられます。よって、逮捕監禁罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に依頼して、示談交渉を進めることをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、逮捕監禁罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)

海外で生まれ、元行政書士としてビザ申請業務に携わった経験と語学力を活かし、現在は弁護士として活動。女性ならではのきめ細やかさと、趣味のサバイバルゲームで培ったフットワークの軽さを大切にしています。
一般民事から刑事事件まで幅広く対応する中でも、特に外国人の方々が関わる法律問題(国際離婚・相続、入管業務など)を専門としております。「親しみやすく、話すだけで気持ちが楽になった」というお言葉を励みに、ご相談者様に寄り添うことを第一に考えています。
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中国人の刑事弁護(脅迫、強要)
脅迫罪、強要罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。脅迫罪、強要罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(脅迫)
第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
(強要)
第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
222条は脅迫罪に関する規定です。脅迫罪の保護法益は個人の意思決定の自由です。本状にいう脅迫とは、狭義の脅迫をいい、恐怖心を生じさせる目的で、相手方またはその親族の生命・身体・自由または財産に対し、害を加えることを告知することをいいます。表示された内容を客観的事情に照らして解釈し、人を畏怖するに足りる害悪の告知か否かを判断することになります。害悪の対象は、相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産です。
告知される害悪の内容は、相手方の対応および客観的状況から判断して、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものであることが必要です。害悪の発生を行為者において現実に左右できる性質のものでなければならないことから、天罰が下るといった予言予告の類は本罪を構成しません。加害が脅迫者以外の第三者によるものの場合、行為者の直接間接の影響力によって客観的に加害が実現されうるようなものであることを要します。加害の内容が一般人の見地からみて人を畏怖させる程度のものであれば、具体的な加害の方法や手段の告知までは必要ではありません。
害悪を告知される相手方は、幼者でも精神病者でもよいが、意思活動能力を有する者であることを要します。また、本罪の保護の対象は自然人に限られ、法人を含みません。告知方法の如何を問いません。
223条は強要罪に関する規定です。保護法益は個人の意思決定の自由になります。行為は、相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して、害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことをおこなわせ、または権利の行使を妨害することです。
脅迫は、脅迫罪のものと同じく協議の脅迫です。暴行は、被害者が畏怖し、そのため行動の自由が侵害されるに足りる程度の有形力の行使であることを要し、かつ、それで足ります。
強要するとは、暴行・脅迫を手段として人に義務のない行為をさせ、または権利の行使を妨害することをいいます。暴行・脅迫の相手方と、義務のないことをおこなわされ、または、おこなうべき権利を妨害された者とは必ずしも一致することは必要ではなく、その両者が異なるとこは、本罪の被害者はその双方になります。
以上、脅迫罪、強要罪の解説をしてきましたが、脅迫罪、強要罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。上記に書いた通り、脅迫罪、強要罪の双方とも、保護法益は個人の意思決定の自由ということになります。そこで、被害者と示談をすることが非常に有効な弁護活動になると考えられます。慰謝料等を支払い、示談をして、被害者に許してもらうことができた場合には、事案にもよりますが、不起訴になる可能性があります。また、起訴されてしまった場合でも、示談成立は非常に有利な証拠になります。処分関係のみならず、逮捕勾留されている場合でも、示談が成立すれば、釈放される可能性もあり、起訴後は保釈も認められやすくなる等、身柄解放の時期も早まると考えられます。よって、脅迫・強要罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に依頼して、示談交渉を進めることをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、脅迫罪、強要罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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中国人の刑事弁護(名誉棄損、侮辱)
名誉棄損罪、侮辱罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。名誉棄損罪、侮辱罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(名誉毀損)
第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第230条の2 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
(侮辱)
第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
(親告罪)
第232条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。
230条は名誉棄損罪に関する規定です。保護法益は外部的名誉と解されています。人とは、自然人のほか、法人、法人格のない団体も含まれます。特定の人、団体であることを要し、漠然とした集団名は含まれません。死者は人には含まれませんが、230条2項の対象となります。
名誉とは、人に対する社会一般の評価を意味します。人の経済的な支払能力および支払意思に対する社会的評価は含まれません。
行為は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損することになります。公然とは、不特定または多数人が認識しうる状態をいいます。多数人が認識しうる状態であれば名誉が侵害されうるし、相手が多数人でなくとも不特定人が認識しうる状態であれば、名誉が侵害される蓋然性が高いといえるからです。不特定人とは、相手方が特殊の関係によって限定された者でない場合をいいます。たとえば、公道の通行人や公開の広場における聴衆がこれに該当します。また、多数人とは、数字によって何人以上と限定はできませんが単に数名では足りず、相当の員数であることが必要です。名誉侵害表現の相手方が特定少数の場合であっても伝播して不特定多数の者が認識しうる可能性を含む場合にも公然性が認められます。
摘示される事実は、人の社会的評価を害するにたりる事実であることを要します。人の社会的評価を害するかどうかは相手方の有する名誉によって相対的に決まります。事実が真実か否か、公知か否か、過去のものか否かは問いません。
摘示とは、具体的に人の社会的評価を低下させるにたりる事実を告げることをいいます。摘示の方法・手段に制限はなく、口頭でも文書でも動作でもよいが、特定人の名誉が侵害されたと分かる程度に具体的であることを要します。摘示方法は風聞、噂、伝聞でもよいとされています。わいせつな写真と被害者の顔写真を組み合わせたものを公衆の目に触れる場所に掲示した行為も摘示に該当します。
名誉を毀損とは、社会的評価を害するおそれのある状態を発生させればたります。
230条の2は、公共の利害に関する場合の特例の規定です。この要件に該当すれば、名誉棄損行為があっても罰せられなくなります。
公共の利害に関するとは、一般多数人の利害に関することを意味し、その事実が抽象的にみて公共的な性質のものであることをいうのではなく、公共性のある事実を評価・判断するための資料になりうることをいいます。公共の利害に関するといえるためには、その事実を公表することが公共の利益の推進にとって必要な限度のものでなければならず、かつ、その事実が公共の利害に関するものであることが一定程度明白でなければなりません。私人の私生活上の行状であっても、そのたずさわる社会的活動の性質およびこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法230条の2第1項にいう公共の利害に関する事実にあたる場合があると解するべきであるとした判例があります。
目的とは、動機のことです。専らとは、通常の意味とは異なります。唯一の動機のみによって人間は行動するわけではないから、主として公益を図る目的があればよいと解されています。真実性の証明の挙証責任は被告人側となっています。では、真実性の証明ができない場合、真実性に錯誤があった場合にはどのようになるでしょうか。この点について、判例は以下のように判示しています。「刑法230条の2の規定は、人格権としての個人の名誉の保護と、憲法21条による正当な言論の保障との調和を図ったものというべきであり、これら両者間の調和と均衡を考慮するならば、たとい刑法230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉棄損の罪は成立しないものと解するのが相当である。」
231条は侮辱罪に関する規定です。保護法益や公然、人の意義は名誉毀損罪と同様になります。名誉毀損罪との違いは、事実の摘示の有無と解されています。すなわち侮辱とは、事実を摘示することなく、他人の人格を蔑視する価値判断を表示することをいいます。
以上、名誉棄損罪、侮辱罪について解説をしてきましたが、名誉毀損罪、侮辱罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。ここで、刑法232条を見ていただければわかる通り、名誉棄損罪、侮辱罪は親告罪となっています。そのため、被害者と示談をして、告訴を取り下げてもらえれば、不起訴になるということになります。名誉棄損罪、侮辱罪で逮捕されてしまった場合には、まずは示談を検討すべきであり、弁護士に依頼することをお勧めします。
名誉棄損罪、侮辱罪について、否認している場合であっても、取調べ対応が非常に重要となってきますので、できるだけ早く、弁護士に依頼することをお勧めします。公共の利害についての主張をする場合、立証責任は被告人側にありますので、そのための資料を収集して裁判の準備等もする必要があります。公共の利害に関する主張とともに、真実性の立証ができなくとも真実性の錯誤の主張の二段構えで準備する必要性があると思われます。
中国人の刑事事件、名誉毀損罪、侮辱罪、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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海外で生まれ、元行政書士としてビザ申請業務に携わった経験と語学力を活かし、現在は弁護士として活動。女性ならではのきめ細やかさと、趣味のサバイバルゲームで培ったフットワークの軽さを大切にしています。
一般民事から刑事事件まで幅広く対応する中でも、特に外国人の方々が関わる法律問題(国際離婚・相続、入管業務など)を専門としております。「親しみやすく、話すだけで気持ちが楽になった」というお言葉を励みに、ご相談者様に寄り添うことを第一に考えています。
法律問題を抱えて一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。
中国人の刑事弁護(公用文書等毀棄、私用文書等毀棄)
公用文書等毀棄、私用文書等毀棄罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。公用文書等毀棄、私用文書等毀棄罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(公用文書等毀棄)
第258条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
(私用文書等毀棄)
第259条 権利又は義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄した者は、5年以下の懲役に処する。
(親告罪)
第264条 第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
258条は公用文粗糖毀棄罪に関する規定です。客体である公務所の用に供する文書とは、公務所において現に使用しまたは使用に供する目的で保管している文書をいう。証明の用に供せられるべき文書に限りません。未完成文書や偽造文書も本罪の客体となります。警察官が職務権限に基づいて作成中の署名のない弁解録取書であっても、文書としての意味・内容を備えるに至った以上、公務所において現に使用している文書にあたります。詩人が作成した文書でも、官公庁で保管しているものは本罪の客体となります。また、違法な取調べのもとに作成されつつあった供述録取書もこれにあたります。
毀棄とは、文書の効用を害する一切の行為をいいます。具体例としては、破ったり捨てたりする典型的な行為から、文書に記載されている事項について部分的に抹消する行為、公正証書に貼付されている印紙を剥離する行為、高校入試の答案を改ざんする行為等々があります。
259条は私用文書等毀棄罪に関する規定です。客体である、権利又は義務に関する他人の文書とは、権利義務の存否・得喪・変更等を証明するための文書をいいます。したがって、単なる事実証明に関する文書又は電磁的記録は、本罪の客体とはならず、器物損壊罪の対象となります。
他人の文書とは、他人の所有する文書を意味し、必ずしも他人の名義である必要はありません。公務所以外の法人・私人が所有している権利・義務に関する文書は、公文書私文書を問わずすべて本罪の客体になります。有価証券も本罪の客体になります。
他人の電磁的記録とは、他人が使用する電磁的記録をいい、公電磁的記録であると私電磁的記録であるとを問いません。
毀棄とは、同じく、文書の効用を害する一切の行為をいいます。
以上、公用文書等毀棄罪と私用文書等毀棄罪について解説してきましたが、これらの罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。
私用文書等毀棄罪については、個人が所有する文書の保護を目的としているため、被害者との示談が有効と考えられます。264条を見ていただければわかる通り、私用文書等毀棄罪は親告罪となっていますので、被害者と示談をして、告訴を取り下げてもらえれば不起訴となります。なので、私用文書等毀棄罪で逮捕されてしまった場合には、まずは示談を検討するのが良いと思います。
公用文書等毀棄罪の場合、個人を保護しているというよりは、公務つまり公的なものの保護を目的としていると考えられます。そのため、264条の親告罪の対象からは外されており、示談をして、告訴を取り下げてもらっても必ず不起訴になるというわけではありません。ただし、示談が成立すれば量刑上は有利に働くことは間違いありませんし、事案によっては不起訴になる可能性もあるので、この場合も示談を検討すると良いかと思います。役所や公務所との示談は非常に難航しますので、まずは、弁護士を通して話し合いの場を設けていくことが重要といえます。
以上のようにいずれの場合も示談交渉が重要ということになりますので、できるだけ早く弁護士に依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合は、取調べ対応が非常に重要になってきますので、できるだけ早く弁護士に依頼すると良いでしょう。
中国人の刑事事件、公用文書等毀棄、私用文書等毀棄罪、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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一般民事から刑事事件まで幅広く対応する中でも、特に外国人の方々が関わる法律問題(国際離婚・相続、入管業務など)を専門としております。「親しみやすく、話すだけで気持ちが楽になった」というお言葉を励みに、ご相談者様に寄り添うことを第一に考えています。
法律問題を抱えて一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。
中国人の刑事弁護(信用棄損、偽計業務妨害、威力業務妨害)
信用棄損罪、偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。信用棄損罪、偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(信用毀損及び業務妨害)
第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
(電子計算機損壊等業務妨害)
第234条の2 人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
233条は信用棄損罪、偽計業務妨害罪に関する規定です。信用棄損罪は、経済的側面に関する人の社会的評価を保護法益としています。人の信用とは、人の経済的信用をいい、人の支払い能力または支払い意思に対する社会的信頼のみならず、販売される商品の品質に対する信用も含まれます。同罪の行為は、虚偽の風説を流布し、または、偽計を用いて人の信用を毀損することです。虚偽の風説の流布とは、客観的真実に反する事実を不特定または多数の者に伝播させることをいいます。偽計とは、人を欺罔・誘惑し、あるいは
人の錯誤・不知を利用することをいいます。秘密に行われると公然となされるとを問いません。毀損とは、人の経済面における社会的信頼を低下させるおそれのある状態を作り出すことをいいます。現実に信用を低下させたことは必要ありません。
233条後段は偽計業務妨害罪に関する規定です。偽計業務妨害罪の保護法益は人の業務の安全です。業務とは、自然人または法人、その他の団体が社会生活上の地位において、あるいはこれと関連しておこなう職業その他の継続して従事することを必要とする事務をいいます。業務上過失致死傷罪における業務は、人の生命・身体に対する危険を含む業務または危険を防止すべき業務であることを要するが、本罪の業務についてはかかる危険は必要ありません。業務上過失致死傷罪では。娯楽のための狩猟等も業務に含まれますが、本罪の業務には娯楽目的のものは含まれません。業務上過失致死傷罪においては、不適法・違法な業務も業務に含まれますが、本罪の業務は刑法的保護に値しない違法なものは除かれます。ただし、業務の基礎となっている契約が無効になっているとか、行政上の免許等を欠いているというだけで業務に該当しないというわけではありません。
本罪の業務には、原則として権力的公務は含まれないと解されています。ただし、権力的公務でも、偽計に対しては自力での妨害排除機能が認められないため、偽計業務妨害罪の成立を認める裁判例も多いです。
本罪の行為は、虚偽の風説の流布又は偽計を用いて人の業務を妨害することです。虚偽の風説を流布とは、虚偽の事項を内容とする噂を、不特定または多数の者に知れ渡るような態様において伝達することをいいます。偽計とは、人を欺罔・誘惑し、また他人の無知・錯誤を利用することをいい、機会に対する場合を含みません。
234条は威力業務妨害罪に関する規定です。保護法益や客体は同じです。威力とは、犯人の威勢、人数および四囲の状勢からみて、被害者の自由意思を制圧するにたりる勢力をいい、現実に被害者が自由意思を制圧されたことを要しません。偽計と威力の区別は具体的場面においてしばしば困難になりますが、判例はおおむねそれが外見的に見て明らかであるか否かで判断していると思われます。
以上、信用棄損罪、偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪の説明をしてきましたが、これらの罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。信用棄損罪は人の経済的信用が保護法益です。偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪は業務の安全が保護法益です。そうすると、信用が毀損された被害者や業務の安全を害された被害者と示談することが効果的と考えられます。信用棄損や業務妨害に対する損害を賠償して示談交渉をすると良いと思われます。風説の流布等をしてしまった場合には、謝罪広告等をすることも選択肢の一つになると思われます。このように、示談交渉をして被害者に許して貰えば、量刑上有利になると考えられます。また、事案によっては不起訴になる可能性もあります。
以上のようにいずれの場合も示談交渉が重要ということになりますので、できるだけ早く弁護士に依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合は、取調べ対応が非常に重要になってきますので、できるだけ早く弁護士に依頼すると良いでしょう。
中国人の刑事事件、信用棄損罪、偽計業務妨害罪、威力業務妨害罪、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)

海外で生まれ、元行政書士としてビザ申請業務に携わった経験と語学力を活かし、現在は弁護士として活動。女性ならではのきめ細やかさと、趣味のサバイバルゲームで培ったフットワークの軽さを大切にしています。
一般民事から刑事事件まで幅広く対応する中でも、特に外国人の方々が関わる法律問題(国際離婚・相続、入管業務など)を専門としております。「親しみやすく、話すだけで気持ちが楽になった」というお言葉を励みに、ご相談者様に寄り添うことを第一に考えています。
法律問題を抱えて一人で悩まずに、まずはお気軽にご相談ください。
中国人の刑事弁護(器物損壊、建造物等損壊)
器物損壊罪、建造物等損壊罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。器物損壊罪、建造物等損壊罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(建造物等損壊及び同致死傷)
第260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(器物損壊等)
第261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(自己の物の損壊等)
第262条 自己の物であっても、差押えを受け、物権を負担し、又は賃貸したものを損壊し、又は傷害したときは、前三条の例による。
(親告罪)
第264条 第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
260条は建造物等損壊罪の規定になります。建造物とは、家屋その他これに類似する建築物を指称し、屋外を有し障壁又は柱材をもって支持されて土地に定着し、少なくともその内部に人が出入りすることのできるものであることを必要とします。外塀、門灯は建造物ではありません。天井・敷居・鴨居・屋根・瓦・玄関ドアは建造物の一部となりますが、畳・ふすま・雨戸・障子等の造作物または建具は、建造物の一部とはなりません。これらを損壊した場合は器物損壊罪の対象となります。
261条は器物損壊罪の規定となります。客体は、動産・不動産だけでなく、動物も含まれます。損壊とは、広く物本来の効用を失わしめる行為を含みます。
具体例としては、自動車に傷をつけたり、ミラーを蹴り飛ばしたりするような他人の物を壊すような典型的なものから、他人の飲食器に放尿する行為、看板を取り外して空き地に投げ捨てる行為、荷物から荷札を取り外す行為、公選法違反のポスターにシールを貼る行為等があります。
傷害とは、動物を物理的に殺傷するほか、本来の効用を失わせる行為も含まれます。具体例としては、鳥かごをあけて他人の鳥を逃がす行為、池に飼育されている他人の鯉を、いけすの柵をはずして流出させる行為等があります。
以上、器物損壊罪、建造物等損壊罪について解説してきましたが、器物損壊罪、建造物損壊罪等で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。器物損壊罪、建造物損壊罪の保護法益は個人の財産である物や建造物ということになります。そうすると、個人的法益を保護法益としているので、示談をすることが非常に有効ということになります。特に、264条を見ていただければお分かりいただけますが、器物損壊罪は親告罪となっていますので、示談が成立位、被害者に告訴を取り消してもらえれば、確実に不起訴処分になります。逮捕されている場合であっても、示談が成立して告訴が取り消されれば釈放が早まると考えられます。建造物等損壊罪は親告罪ではありませんが、個人の財産を守るという趣旨は変わりませんので、被害弁償を尽くして示談が成立すれば、不起訴になる可能背はあります。また、起訴後であっても示談したという事実は有利な情状事実になりますので、まずは示談を検討するのが良いかと思われます。ただし、人が死傷してしまった場合には、重く処罰されてしまう可能性は高まります。ただし、そのような場合であっても、人の死傷の部分の被害弁償もし、示談が成立すれば、有利になること自体は間違いがないと思われます。
上述のように示談交渉が重要ということになりますので、できるだけ早く弁護士に依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合は、取調べ対応が非常に重要になってきますので、できるだけ早く弁護士に依頼すると良いでしょう。
中国人の刑事事件、逮捕、器物損壊罪、建造物等損壊罪、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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中国人の刑事弁護(盗品譲受け等)
盗品譲受け等罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。盗品等譲受け等罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(盗品譲受け等)
第256条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
(親族等の間の犯罪に関する特例)
第257条 配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
本罪の主体は、本犯者以外の者です。本犯者がその犯罪によって取得した物を処分する行為は、通常、本犯についての不可罰的事後行為であり、別罪を構成しません。本犯の教唆者、ほう助者は本罪の主体となります。
客体は、盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物になります。盗品等とは、財産罪によって取得した財物で被害者が法律上追求しうる権限を有するものになります。収賄罪によって収受された賄賂は盗品等には該当しません。
無償で譲り受けるとは、盗品を無償で自己の物として取得することをいいます。贈与を受ける場合、無利息消費貸借として交付を受ける場合は無償譲受けに該当します。使用貸借は保管罪に該当する可能性があります。
運搬とは、委託を受けて盗品の所在を移転することをいいます。必ずしも本犯者から委託を受ける必要はなく、有償無償を問いません。移転の距離の遠近も問いません。
保管とは、委託を受けて本犯のために盗品を保管することをいいます。有償無償を問いません。
有償で譲り受けるとは、盗品を売買・交換・債務の弁済等の名目で有償に取得することをいいます。本犯者から委託を受けたか否かは問いません。本罪の成立には、単に契約が成立しただけでは足りません。これに対し、盗品が引き渡されれば代金は未払いでも成立します。盗品であることの認識は契約時になくてお取得時にあれば足ります。しかし、取得時にも認識がない場合には本罪は成立しません。
有償の処分のあっせんとは、盗品の有償的な法律上の処分行為(売買、交換、質入れ等)を媒介、または周旋することをいいます。本犯者から委託を受けたか否かは問わず、また、あっせんそれ自体は有償・無償を問いません。
257条は本犯者と盗品等罪の犯人との間に一定の親族関係がある場合の刑の免除規定になります。
以上盗品等罪について解説しましたが、盗品譲受け等罪で逮捕されてしまった場合にはどのような弁護活動が有効でしょうか。この点、盗品等罪の本質は、被害者である所有者の司法上の追求権の行使を困難ならしめることを内容とする犯罪です。そうすると、個人的な法益を保護しているものですので、被害者と示談をすることが有効ということになります。示談金は、基本的にはその盗品等の財産的価値を参考にして決まるかと思います。処分の重さは、無償か有償かで構成要件が違い、有償の場合には重く規定されています。その他には被害金額や前科関係等によって決められると思われます。しかし示談をすれば、軽微なものについては不起訴の可能性もありますし、起訴されても示談成立が有利な情状になることは間違いないと思われます。盗品等罪は構造上共犯関係がある犯罪なので、勾留されずに早期に釈放というのはなかなか難しいと思われます。しかし、示談等が成立すれば早期に釈放される可能性があり、また、保釈も通りやすくなると考えられます。
盗品等罪は故意犯であり、盗品だと思っていなかったという故意否認の事案がよくあります。そのような場合、共犯者供述が重要な証拠になりますが、共犯者供述をコントロールすることはできないので、少なくとも本人は自白をしないように気を付ける必要があります。自白しているつもりがなくても、捜査官の誘導に乗っているうちに盗品の認識があったことにもなりかねませんので、有効に黙秘権等を行使していく必要があります。認めていても、否認していてもできるだけ早く弁護士に依頼することが重要といえます。
中国人の刑事事件、逮捕、盗品譲受け等罪、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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中国人の刑事弁護(横領、業務上横領、遺失物横領)
横領罪、業務上横領罪、遺失物横領罪で逮捕されてしまった場合、どのように対応したら良いでしょうか。横領罪、業務上横領罪、遺失物横領罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
(遺失物等横領)
第254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
横領とは、不法領得の意思を実現するすべての行為をいいます。不法領得の意思を実現する行為とは、判例は、他人の者の占有者が委託の任務に背いてその物につき権限がないのに、所有者でなければできないような処分をする意思としています。具体例としては、人から預かっている物を勝手に売却処分してしまうような場合が考えられます。
253条は業務上横領の規定となっています。本罪は単純横領罪に対する身分による加重犯です。法益侵害の程度が大きく、頻発するおそれがあることから、一般予防の見地から重く処罰されます。
業務とは、委託を受けて他人の物を占有・保管する事務を反復継続して行う地位をいいます。業務の根拠は、法令・契約、公的・私的を問わず、職業としてなされるものに限りません。業務上横領の具体例としては、会社の経理担当者が自己が保管している現金を着服する行為等が考えられます。
254条は遺失物等横領罪の規定になります。対象は、遺失物や漂流物等の占有の離れた物が対象となります。公園や電車の中に置き忘れたカバンや財布、銀行のATMに置き忘れた財布を取得した時等に本罪が成立するのか、窃盗罪が成立するのか問題になる場合があります。
以上、横領罪等について解説しましたが、横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。横領罪等の保護法益は、物の所有権や委託信任関係であり、個人的法益になります。そうすると、やはり、被害者と示談をするというのが有効ということになります。被害者と示談をして、被害者に許してもらえるならば、量刑上は非常に有効となります。さらに一歩進むと、横領罪の場合、まず会社内で事実が発覚することが多いです。この段階で、被害弁償をして示談が成立すると、そもそも警察沙汰にならないことも多いです。横領等が発覚してしまったり、逮捕されてしまった場合には、まず弁護士に相談して今後の方針を決めるのが良いと思います。
また、処分についてですが、これも、被害金額や前科関係等によって大きく変わります。被害金額が小さければ、示談をして不起訴になる場合もあります。金額が大きい場合には前科等なくても長期の実刑になる可能性もあります。ただ、いずれにしても、示談することによって有利にはなりますし、身柄拘束期間も短くなる可能性がありますので、まずは示談を検討されるのが良いと思います。さらに前述のように、示談をすればそもそも刑事事件化しない可能性もあります。
恐喝罪を否認している場合、には、特に取調対応が重要となります。業務上横領罪の場合、立証が中々難しい事件類型ということもあり、本人の自白がないと立証が難しい場合があります。そうすると、黙秘等が効果的になりますので、身に覚えがないのに疑われてしまっているという方は、できるだけ早く弁護士に相談されると良いでしょう。
中国人の刑事事件、逮捕、横領、業務上横領、室物横領、示談に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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海外で生まれ、元行政書士としてビザ申請業務に携わった経験と語学力を活かし、現在は弁護士として活動。女性ならではのきめ細やかさと、趣味のサバイバルゲームで培ったフットワークの軽さを大切にしています。
一般民事から刑事事件まで幅広く対応する中でも、特に外国人の方々が関わる法律問題(国際離婚・相続、入管業務など)を専門としております。「親しみやすく、話すだけで気持ちが楽になった」というお言葉を励みに、ご相談者様に寄り添うことを第一に考えています。
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後遺障害(後遺症)第14級
ここでは、後遺障害14級についてご紹介いたします。自動車損害賠償保障法施行令の後遺障害等級及び労働能力喪失表では、以下の記載がされています。
第14級
1号 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2号 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3号 一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの
4号 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5号 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6号 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
7号 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
8号 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9号 局部に神経症状を残すもの
14級の自賠責保険金額は75万円であり、労働能力喪失率は5%とされています。
3号の程度は、1耳の平均純音聴力レベルが40dB以上70db未満のものとされています。
4号5号の露出面とは、上肢の場合は、上腕から指先まで、下肢の場合は大腿から足の背までを指すとされています。労災の認定基準より範囲が広くなっていることに注意が必要です。露出面にてのひら大以上の瘢痕が残った場合がこれに該当します。
6号の指骨の一部を失ったものとは1指骨の一部を失って(遊離骨片の状態を含む)いることがX線写真等により、確認できるものが該当するとされています。
8号の足指の用廃とは、a第1足指の末節骨の長さの2分の1以上を失ったものb第1の足指以外の足指を中節骨若しくは基節骨を切断したもの又は遠位指節間関節若しくは近位指節間関節において離断したもの、c中足指節関節又は近位指節間関節(第1の足指にあっては指節間関節)の可動域が健側の可動域角度の2分の1以下に制限されるもの、が該当します。
9号の局部に神経症状を残すものとは、神経系統の障害の存在が医学的に説明可能な場合とされています。すなわち、神経障害の存在は証明するまでにはいたらなくても、被害者の訴える症状の発生が医学的に説明できる場合がこれに該当します。頸椎捻挫、腰椎捻挫、むちうち等の場合に該当、非該当がよく問題となります。
中国人の交通事故、後遺障害認定、慰謝料増額、示談交渉、自賠責請求に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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