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【在留特別許可の弁護士】在留特別許可の裁判例 東京地判平 19・6・14及び控訴審東京高判平 19・11 ・21

2018-05-01

今日は在留特別許可に関する裁判例をご紹介いたします。

(1)事案の概要
オーバーステイのミャンマー国籍男性と日本人女性が同居を続けてきたが、婚姻届 を提出する前の在留特別許可を認めず、退去強制令書が発付されてしまった事案。
(2)地裁の判断
・入管法が保護を与えるのは、男女に「真しな共同生活」があるから。
・「真しな共同生活」あるいはこれに準じた関係が存在した場合、その事実は原告に 対し在留特別許可を与える方向に働く有力な事情になる。
・本件では、裁決時に婚姻届は出していなかったが、婚姻関係に準ずるような共同生 活を送っており、内縁関係を形成していた。
・二人の間には、内縁関係といえる「真しな共同生活」があったと認められる。これ は、在留特別許可を与える方向に働く極めて有力な事情である。
・東京入管局長は、そもそも住民票の記載その他の外形的事実から、両名が相当期間 同居していた事実が存在しないことを前提としている として、東京入管局長が在留特別許可を認めなかった判断を違法とした。
(3)高裁の判断
「なお、控訴人は、在留特別許可を付与しないという法務大臣等の判断が裁量権の 逸脱又は濫用に当たるとして違法とされるような事態は容易に想定しがたく、極めて 例外的にその判断が違法となり得るとしても、それは、法律上当然に退去強制される べき外国人について、なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理 由があったにもかかわらずに看過されたなど、在留特別許可の制度を設けた法の趣旨 に明らかに反するような極めて特別な事情が認められる場合に限られるというべきで あると主張するが、入管法50条1項の規定に照らしてもそのように解さなければな らない理由はない。
また、控訴人は、裁量処分に対する司法審査は、処分をした行政庁と同一の立場に 立って行政庁の判断に置き換えて結論を出すことではなく、あくまでも行政庁の裁量 権の行使としてされたものであることを前提として、この判断要素の選択や判断過程 に著しく合理性を欠くところがないかどうかを審査すべきものであるところ、原判決 は、東京入国管理局長と同一の立場に立って裁量判断を下に等しいと主張する。
しか しながら、本件裁決・決定書においては、在留特別許可を付与しない理由としては「在 留を特別に許可すべき事情は認められない。」と記載されているのみであり、その実 質的な理由が明らかにされていない(証拠:略)のであるから、この裁量判断が裁量 権の逸脱又は濫用に当たるかどうかを司法審査するに当たっては、いきおい具体的な 事実経過を審理し、これを踏まえて、在留特別許可を付与しなかった判断の結論を左 右するだけの重要な事実が認められるのか、また、この事実を前提とした場合には当 該結論が社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるといい得るか(いえるかどうか)を検討せざ るを得ず、この過程で在留特別許可に関する積極要素と消極要素を審理検討すること もまた必然であるというべきである。」
(4)コメント
本件において、地裁は、住民票の記載など外形的事実から形式的に「真摯な共同生活」が認められないということはできないとして、在留特別許可を与えないという裁決は違法であるとして、ビザを与えています。
 また、高裁も在留特別許可を付与しないという法務大臣等の判断が裁量権の 逸脱又は濫用とされるような事態は容易に想定しがたく、極めて 例外的にこの判断が違法となり得るとしても、それは、法律上当然に退去強制される べき外国人について、なお我が国に在留することを認めなければならない積極的な理 由があったにもかかわらずに看過されたなど、在留特別許可の制度を設けた法の趣旨 に明らかに反するような極めて例外的場合に限られるというべきで あると主張するが、入管法50条1項の規定に照らしてもかように解さなければな らない理由はない。 として、当該外国人へ、ビザを与えるべきであると判断してくれました。 
在留特別許可の適否を巡る裁判は、常識的に見て在留特別許可を認めないことは人道にもとるような事件でも、法務大臣の広範な裁量論が大きなハードルとなり、勝訴判決を得ることが簡単でないのが実情ではあります。
が、しかし、近年、日本人の配偶者であるのに在留特別許可を認められなかった事件で、画期的とも言える裁判が相次いで出されています。入管にいわれて、すぐに,ギブアップするのではなく、正しく主張すれば裁判所は正当に評価してくれます。VISAの申請にご不安のある方、オーバーステイで収容されそうという方を,全力でお守りいたします。外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可はわれわれにご相談ください。

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退去強制事由と罰則との関係

2018-04-07

今回は退去強制事由と罰則の関係について解説致します。

外国人に対する退去強制手続は入管法に基づき行われる行政手続です。
身体の拘束を伴う、収容令書の発付や退去強制令書の発付も行政処分であり、刑罰ではありません。
一方、入管法には罰則も定められており,入管法の規定に違反する外国人に対し、この罰則が適用され、刑事手続により処罰されることがあります。
そして入管法は、ある違反行為について、退去強制事由と罰則を両方定めている場合が多くあります。
具体的にみると、同法24条1号は「第3条の規定に違反して本法に入った者であり」これに該当する外国人は、退去強制手続の対象となりますが、他方で同70条1項は同項の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役もしくは、300万円以下の罰金に処し、又はその懲役もしくは禁錮および、罰金を併科すると定め、1号において「第3条の規定に違反して本法に入った者」を定めています。
 このような場合、退去強制手続における、行政処分とはかかわりなく、刑事手続が進行し、刑罰が課せられうることになります。
このように、行政処分である退去強制と刑事処分である刑罰とは別個の処分であって、一つの行為(たとえば不法入国)について、刑事処分が行われるから行政処分(退去強制)が執行されないとか、逆に退去強制が執行されるから、あるいは在留が特別に許可されたから刑事処分は行われない(ただし同法65条に例外規定がある)という関係にはありません。
退去強制事由に該当して、入管が動き出し、呼び出されたり、逮捕されてしまってから困ることのないように、弁護士、行政書士などの専門家に前広に相談しておいた方がいいかもしれません。ご親族のみでは、大事な家族を助け出すのはかなり難しいといえますから、詳しい人の助けを借りて手続をすすめていった方がいいといえます。 「在留特別許可の審査はとても厳しく時間も限られていますから、」前広に対策を採っておくほうがいいでしょう。
退去強制事由に該当してしまい、入管が動き出し、入国警備官の違反調査の結果、収容令書により収容されてしまうこともありますので、このような事態になったら、私たちへ、お気軽にご相談戴けたら幸いです。入管VISAの専門家である、弁護士と行政書士が連携して迅速に、ホスピタリティの精神で寄り添いながらサポートいたしますので、われわれにご相談戴くことをお勧めいたします!
外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。

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※参考資料
(退去強制)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
一 第三条の規定に違反して本邦に入つた者
二 入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者
二の二 第二十二条の四第一項(第一号又は第二号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者
二の三 第二十二条の四第一項(第五号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者(同条第七項本文の規定により期間の指定を受けた者を除く。)
二の四 第二十二条の四第七項本文(第六十一条の二の八第二項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの
三 他の外国人に不正に前章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第九条第四項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可又は第一節、第二節若しくは次章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
三の二 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成十四年法律第六十七号)第一条に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為(以下この号において「公衆等脅迫目的の犯罪行為」という。)、公衆等脅迫目的の犯罪行為の予備行為又は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者
三の三 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者
三の四 次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第十九条第一項の規定に違反する活動又は第七十条第一項第一号、第二号、第三号から第三号の三まで、第五号、第七号から第七号の三まで若しくは第八号の二から第八号の四までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせること。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。
三の五 次のイからニまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 行使の目的で、在留カード若しくは日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第七条第一項に規定する特別永住者証明書(以下単に「特別永住者証明書」という。)を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持すること。
ロ 行使の目的で、他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持し、又は自己名義の在留カードを提供すること。
ハ 偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書又は他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を行使すること。
ニ 在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。
四 本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの
イ 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第五項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第二十六条第一項及び第二十六条の二第二項(第二十六条の三第二項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者
ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
ニ 旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第二十三条第一項(第六号を除く。)から第三項までの罪により刑に処せられた者
ホ 第七十四条から第七十四条の六の三まで又は第七十四条の八の罪により刑に処せられた者
ヘ 第七十三条の罪により禁錮以上の刑に処せられた者
ト 少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)に規定する少年で昭和二十六年十一月一日以後に長期三年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの
チ 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せ (ヽ)い (ヽ)剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
リ ニからチまでに掲げる者のほか、昭和二十六年十一月一日以後に無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。
ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
ル 次に掲げる行為をあおり、唆し、又は助けた者
(1) 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸すること。
(2) 他の外国人が偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて本邦に上陸し、又は前節の規定による許可を受けること。
オ 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者
ワ 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
(1) 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
(2) 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
(3) 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体
カ オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者
ヨ イからカまでに掲げる者のほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者
四の二 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの
四の三 短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの
四の四 中長期在留者で、第七十一条の二又は第七十五条の二の罪により懲役に処せられたもの
五 仮上陸の許可を受けた者で、第十三条第三項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの
五の二 第十条第七項若しくは第十一項又は第十一条第六項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの
六 寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇 (ひ)護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの
六の二 船舶観光上陸の許可を受けた者で、当該許可に係る指定旅客船が寄港する本邦の出入国港において下船した後当該出入国港から当該指定旅客船が出港するまでの間に帰船することなく逃亡したもの
六の三 第十四条の二第九項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に出国しないもの
六の四 第十六条第九項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの
七 第二十二条の二第一項に規定する者で、同条第三項において準用する第二十条第三項本文の規定又は第二十二条の二第四項において準用する第二十二条第二項の規定による許可を受けないで、第二十二条の二第一項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの
八 第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの
九 第五十五条の六の規定により出国命令を取り消された者
十 第六十一条の二の二第一項若しくは第二項又は第六十一条の二の三の許可を受けて在留する者で、第六十一条の二の七第一項(第一号又は第三号に係るものに限る。)の規定により難民の認定を取り消されたもの
第二十四条の二 法務大臣は、前条第三号の二の規定による認定をしようとするときは、外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官及び海上保安庁長官の意見を聴くものとする。
2 外務大臣、警察庁長官、公安調査庁長官又は海上保安庁長官は、前条第三号の二の規定による認定に関し法務大臣に意見を述べることができる。
(出国命令)
第二十四条の三 第二十四条第二号の四、第四号ロ又は第六号から第七号までのいずれかに該当する外国人で次の各号のいずれにも該当するもの(以下「出国命令対象者」という。)については、同条の規定にかかわらず、次章第一節から第三節まで及び第五章の二に規定する手続により、出国を命ずるものとする。
一 速やかに本邦から出国する意思をもつて自ら入国管理官署に出頭したこと。
二 第二十四条第三号から第三号の五まで、第四号ハからヨまで、第八号又は第九号のいずれにも該当しないこと。
三 本邦に入つた後に、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと。
四 過去に本邦からの退去を強制されたこと又は第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国したことがないこと。
五 速やかに本邦から出国することが確実と見込まれること。

在留特別許可のあらまし

2018-04-06

こんにちは、行政書士の溝口正樹です。今回は、在留特別許可の概略をお話致します。
在留特別許可とは一体何なのか、情報を得たいという方も多いかもしれません。 在留特別許可を得たならば、自分の国へ強制送還される事態を回避できる可能性もあるのです。在留カードを持つ外国人の方々は、知っておいて損はない知識のひとつといえるかもしれません。 在留特別許可(special request)とは、強制送還の対象となった外国人の方について、在留を特別に許可すべき事情があると法務大臣が認めた場合に、強制送還を免除して在留継続させる制度です。日本に在留する外国人が不法な在留をしていると認定された場合は、いくつかの審査を経て最終的に法務大臣の裁決という最終段階に至ります。最終審査である法務大臣による裁決において、やはり強制送還に該当すると認められた場合は、当該外国人は原則として強制送還に基づく出国準備期間に入ります。しかし、強制送還の対象者の中でも、日本人配偶者が居る場合や小さなお子さんがいる場合など、一定の特別の事情がある場合は「特別に在留することを許可する」という、恩恵的制度が在留特別許可です。なお,
ある年度の統計によると、在留特別許可の申請受理件数7268件に対して許可件数2840件となっており、約39%の方が強制送還を免れております。この数字をどう見るかは人によって異なると思いますが、私は決して悪くないパーセンテージと考えています。本来はしっかりと適法に滞在すべきです。しかし、意図せずに強制送還事由に該当してしまう事も事例としては多々あります。強制送還事由に該当してしまった場合でも、日本での在留を継続したい場合は決して諦めずに在留特別許可を求めるべきだと私は強く思います。本来ならば不法滞在やオーバーステイという状況が判明した時点で違反の調査が行われ、収容されることとなります。 ですが、やむを得ない理由がある場合に限り、日本へ住み続けるための正規のビザの取得が可能になるのです。 やむを得ない状況とは一体どのような場合かというと、たとえば子供を養っていて日本を離れられない状況であったりとか、日本人と結婚している状況であったりと、人それぞれです。 もちろん、このような状況であったとしても必ず在留特別許可が取得できるとは限りません。あくまでも蓋然性があるということであって、しっかりと手続をとったとしても、 許可がでるとは限りません。ですが、状況を考慮して判断しようという考えがあるからこそ、在留特別許可というものがあるわけですから、もし収容されてしまう状況に陥った場合はすぐに手続をすすめて、在留特別許可を取得できるようにした方がよいでしょう。 よくあるケースのひとつとして、結婚する相手がオーバーステイの状態ということがあります。この場合、結婚の届け出を出した時点で不法滞在がばれてしまい、収容されてしまうこともあります。 後々になって困ることのないように、届け出を出す前の時点から在留特別許可について 行政書士などの専門家に相談しておいた方がいいかもしれません。配偶者一人では、大事なパートナーを助け出すのはかなり難しいといえますから、詳しい人の助けを借りて手続をすすめていった方がいいといえます。 「在留特別許可の審査はとても厳しく時間も限られていますから、」早めに対策を採っておくほうがいいでしょう。
退去強制事由に該当してしまい、入管が動き出し、入国警備官の違反調査の結果、収容令書により収容されてしまうこともありますので、このような事態になったら、私たちへ、お気軽にご相談戴けたら幸いです。入管VISAの専門家である、弁護士と行政書士が連携して迅速に、ホスピタリティの精神で寄り添いながらサポートいたしますので、われわれにご相談戴くことをお勧めいたします!
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退去強制事由について

2018-04-05

こんにちは、行政書士の溝口正樹です。今回は退去強制事由について簡単に解説致します。
主権国家が共存している国際社会において、国家は、国際慣習法上、外国人を受け入れる義務を負うものではなく、また外国人を受け入れるかいなか、受け入れる場合どのような条件で入国させるかを、自由に決定できる権能を有するものとされています。
又在留中の外国人については、日本から強制退去させることができるとされています。この退去強制は、世間一般では、強制退去あるいは、強制送還、国外追放などともいわれています。
ところで、国家の意思によって行われる退去強制が、何らの基準・規定もなく国家の恣意によって行われることは相当ではありませんし、そうであるならば、外国人は安心して在留することはかないません。入管法は、24条各号に具体的に退去強制事由を列挙して、これらに該当する外国人について、退去強制対象者は、退去強制手続により、退去を強制し、出国命令対象者は出国命令により出国させることとしています。
 なお特別永住者については、入管特例法22条1項が、退去強制は同項各号のいずれかに該当する場合に限ってすることができるとしていますので、入管法24条の定める退去強制事由によっては退去強制されません。
入管法24条の定める退去強制事由には、大別して次のような種類があります。
1 入管法の定める入国・在留に関する規範に違反したことを理由とするもので、不法入国(1号)、不法上陸(2号)、不法残留(2号の4,4号ロ、6号、6号の3,6号の4,7号、8号)、資格外活動(4号イ)、条件違反・逃亡(5号、6号の2)、退去命令違反(5号の2)があります。禁固以上の刑に処せられたことが要件となっていますが、4号も資格外活動に関する退去強制事由です。
又取り消しを受けたことを原因としますが、在留資格の取り消しにかかる2号の2、2号の3,出国命令の取り消しにかかる9号、難民認定の取り消しにかかる10号もこの類型に属するものといえます。
2 本法に在留する外国人が一定の刑に処せられたことまたは有罪の判決をうけたことを事由とするものです。4号ニ、4号ホ、4号ト、4号チ、4号リ、4号の2,4号の4はこの類型に属する退去強制事由です。
3 所謂ブローカーなど不法な入国在留をさせ、あるいは不法な入国在留を助ける者等を主眼とする事由です。3号、3号の4,4号ルは、このような退去強制事由です。また3号の5もこのような趣旨に基づく規定です。
4 3以外の事由で奔放に在留する外国人が一定の不法な行為をしたこと等を事由とするもので4号ハ、4号ヌ、4号の3はこのような退去強制事由です。
5  日本の安全や利益または、公安を害することまたはそういうおそれがあることを事由とするもので、4号オ、4号ワ、4号カ、4号ヨ、のほか3号の2もこのような性格を有します。
6 最後に国際約束に基づくものとして3号の3があります。
退去強制事由に該当する外国人については、在留期間中であっても、在留を打ち切り、国外への退去を強制することができることとされています。
ですので、退去強制事由に該当してしまい、入管が動き出し、入国警備官の違反調査により、収容令書により収容されてしまうこともありますので、このような事態になったら、私たちへ、お気軽にご相談戴けたら幸いです。入管VISAの専門家である、弁護士と行政書士が連携して迅速に、ホスピタリティの精神で寄り添いながらサポートいたしますので、われわれにご相談戴くことをお勧めいたします!

外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談戴けたら幸いございます。

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収容と仮放免について

2018-04-04

こんにちは、行政書士の溝口正樹です。今回は収容と仮放免について解説致します。

 入管法は、主任審査官の発布する令書による収容という制度を設けており、退去強制手続に関しては、収容令書による収容と退去強制令書による収容を定めています。なお入管法は、この他に、仮上陸の許可を受けた外国人が逃亡する恐れがあるという見込みがある場合は、主任審査官が収容令書を発布して入国警備官に当該外国人を収容させることができると法定しています(同13条6項)
 退去強制手続において、発布された収容令書によって収容できる期間は30日以内とされ、主任審査官は、やむを得ない事由があると認めるときは、30日の間延長でき通算60以内であれば、収容できると法定されています。(同52条5項)
 なお収容令書の発付、退去強制令書の発付はいずれも行政処分として行われるものです。
退去強制手続は、一定の段階からは、収容令書または退去強制令書により退去強制手続を受ける外国人の身柄を拘束して行われます。一方で入管法は、仮放免という制度を設けています。すなわち、収容令書もしくは退去強制令書の発布を受けて収容されている者または、代理人、補佐人、配偶者、直系の親族、もしくは兄弟姉妹、は入国者収容所長または主任審査官に対し、容疑者の仮放免を請求することができます(54条1項)。
入国者収容所長または主任審査官は、この請求により、または職権で収容令書、または退去強制の発付を受けて収容されている者の情状および仮放免の請求の理由となる証拠ならびに容疑者の性格、資産などを考慮して、300万円以内の保証金を納付させて、かつ、住居、および行動の制限、呼出に対する出頭義務、など必要と認める条件を付し、容疑者を放免できます。(同条2項)
 なお保証金については、入国者収容所長または、主任審査官は適当と認めるときは、収容令書または退去強制令書の発布を受けて、収容されている者以外の者の差し出した保証書(保証金額およびいつでも保証金を納付する旨を記載しなければならない)を持って保証金に代替することを許すことができると法定されています(同条3項)
 愛する身内の方が収容されてしまった場合は、法律の専門家である我々弁護士、行政書士へご相談されることをお勧めします。

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 参考資料
第二節 収容

(収容)

第三十九条 入国警備官は、容疑者が第二十四条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により、その者を収容することができる。

2 前項の収容令書は、入国警備官の請求により、その所属官署の主任審査官が発付するものとする。

(収容令書の方式)

第四十条 前条第一項の収容令書には、容疑者の氏名、居住地及び国籍、容疑事実の要旨、収容すべき場所、有効期間、発付年月日その他法務省令で定める事項を記載し、且つ、主任審査官がこれに記名押印しなければならない。

(収容の期間及び場所並びに留置の嘱託)

第四十一条 収容令書によつて収容することができる期間は、三十日以内とする。但し、主任審査官は、やむを得ない事由があると認めるときは、三十日を限り延長することができる。

2 収容令書によつて収容することができる場所は、入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた主任審査官が指定する適当な場所とする。

3 警察官は、主任審査官が必要と認めて依頼したときは、容疑者を留置施設に留置することができる。

(収容の手続)

第四十二条 入国警備官は、収容令書により容疑者を収容するときは、収容令書を容疑者に示さなければならない。

2 入国警備官は、収容令書を所持しない場合でも、急速を要するときは、容疑者に対し、容疑事実の要旨及び収容令書が発付されている旨を告げて、その者を収容することができる。但し、収容令書は、できるだけすみやかに示さなければならない。

(要急事件)

第四十三条 入国警備官は、第二十四条各号の一に明らかに該当する者が収容令書の発付をまつていては逃亡の虞があると信ずるに足りる相当の理由があるときは、収容令書の発付をまたずに、その者を収容することができる。

2 前項の収容を行つたときは、入国警備官は、すみやかにその理由を主任審査官に報告して、収容令書の発付を請求しなければならない。

3 前項の場合において、主任審査官が第一項の収容を認めないときは、入国警備官は、直ちにその者を放免しなければならない。

(容疑者の引渡)

第四十四条 入国警備官は、第三十九条第一項の規定により容疑者を収容したときは、容疑者の身体を拘束した時から四十八時間以内に、調書及び証拠物とともに、当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければならない。

違反審査について

2018-04-03

今回は、違反審査について解説いたします。

入国審査官によってなされる、審査(違反審査)は入管法5章に定める一連の退去強制手続のなかで、第二段階の手続として行われるものです。
 入国審査官は、入国警備官からの容疑者の引渡しを受けた時は、容疑者が退去強制対象者に該当するかどうか審査します(同法45条1項)
 この審査の結果、入国審査官は
① 容疑者が退去強制事由のいずれかにも該当しないと「認定」した時は直ちに方面します(同47条1項)
② 容疑者が退去強制対象者に該当すると「認定」した場合は、速やかに理由を付した書面を持って主任審査官および容疑者に対し、通知し、(同3項)容疑者に対し、認定に不服があるときは口頭審理の請求をすることができる旨通知します(同4項)。
 ※これ以外に入国審査官は容疑者が出国命令対象者に該当すると認定する場合があります。
 入国審査官の②の認定の通知を受けて、容疑者がが特別審理官へ、口頭審理の請求をした場合は、入国審査官は調書など関係書類を特別審理官に提出します。(同48条2項)
なお、容疑者は、退去強制対象者に該当するとの入国審査官の認定に、異議はない(例えば、オーバーステイであることは事実で争わない)が、例えば、家庭の事情から日本に在留したいので、法務大臣の裁決の特例による在留特別許可を受けることをのぞむするときも口頭審理を請求することができるとする取扱がなされています。
 一方で、容疑者が、入国審査官の認定にふくし、口頭審理の請求をしないとき、または口頭審理を請求できる期間(3日間)以内に口頭審理を請求しないときは、主任審査官は退去強制令書を発付します(同47条5項)
 このように、入管が違法在留を覚知して、動き出し、強制退去されそうになった場合、在留特別許可を得るための手続としては、3日以内に口頭審理の請求する必要があります。
収容されそうな場合などにおいては、緊急事態に対応できる、法律の専門家に早めに相談されることをお勧めいたします。

外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談戴けたら幸いございます。

東京:03-6261-5110
神奈川:0467-38-8263
名古屋:052-253-8826

 

参考資料
第三節 審査、口頭審理及び異議の申出

(入国審査官の審査)

第四十五条 入国審査官は、前条の規定により容疑者の引渡しを受けたときは、容疑者が退去強制対象者(第二十四条各号のいずれかに該当し、かつ、出国命令対象者に該当しない外国人をいう。以下同じ。)に該当するかどうかを速やかに審査しなければならない。

2 入国審査官は、前項の審査を行つた場合には、審査に関する調書を作成しなければならない。

(容疑者の立証責任)

第四十六条 前条の審査を受ける容疑者のうち第二十四条第一号(第三条第一項第二号に係る部分を除く。)又は第二号に該当するとされたものは、その号に該当するものでないことを自ら立証しなければならない。

(審査後の手続)

第四十七条 入国審査官は、審査の結果、容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないと認定したときは、直ちにその者を放免しなければならない。

2 入国審査官は、審査の結果、容疑者が出国命令対象者に該当すると認定したときは、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、入国審査官は、当該容疑者が第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

3 入国審査官は、審査の結果、容疑者が退去強制対象者に該当すると認定したときは、速やかに理由を付した書面をもつて、主任審査官及びその者にその旨を知らせなければならない。

4 前項の通知をする場合には、入国審査官は、当該容疑者に対し、第四十八条の規定による口頭審理の請求をすることができる旨を知らせなければならない。

5 第三項の場合において、容疑者がその認定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、口頭審理の請求をしない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。

(口頭審理)

第四十八条 前条第三項の通知を受けた容疑者は、同項の認定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、口頭をもつて、特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができる。

2 入国審査官は、前項の口頭審理の請求があつたときは、第四十五条第二項の調書その他の関係書類を特別審理官に提出しなければならない。

3 特別審理官は、第一項の口頭審理の請求があつたときは、容疑者に対し、時及び場所を通知して速やかに口頭審理を行わなければならない。

4 特別審理官は、前項の口頭審理を行つた場合には、口頭審理に関する調書を作成しなければならない。

5 第十条第三項から第六項までの規定は、第三項の口頭審理の手続に準用する。

6 特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないことを理由とする場合に限る。)は、直ちにその者を放免しなければならない。

7 特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が事実に相違すると判定したとき(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とする場合に限る。)は、速やかに主任審査官にその旨を知らせなければならない。この場合において、特別審理官は、当該容疑者が第五十五条の三第一項の規定により出国命令を受けたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

8 特別審理官は、口頭審理の結果、前条第三項の認定が誤りがないと判定したときは、速やかに主任審査官及び当該容疑者にその旨を知らせるとともに、当該容疑者に対し、第四十九条の規定により異議を申し出ることができる旨を知らせなければならない。

9 前項の通知を受けた場合において、当該容疑者が同項の判定に服したときは、主任審査官は、その者に対し、異議を申し出ない旨を記載した文書に署名させ、速やかに第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。

(異議の申出)

第四十九条 前条第八項の通知を受けた容疑者は、同項の判定に異議があるときは、その通知を受けた日から三日以内に、法務省令で定める手続により、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対し異議を申し出ることができる。

2 主任審査官は、前項の異議の申出があつたときは、第四十五条第二項の審査に関する調書、前条第四項の口頭審理に関する調書その他の関係書類を法務大臣に提出しなければならない。

3 法務大臣は、第一項の規定による異議の申出を受理したときは、異議の申出が理由があるかどうかを裁決して、その結果を主任審査官に通知しなければならない。

4 主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が第二十四条各号のいずれにも該当しないことを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けたときは、直ちに当該容疑者を放免しなければならない。

5 主任審査官は、法務大臣から異議の申出(容疑者が出国命令対象者に該当することを理由とするものに限る。)が理由があると裁決した旨の通知を受けた場合において、当該容疑者に対し第五十五条の三第一項の規定により出国命令をしたときは、直ちにその者を放免しなければならない。

6 主任審査官は、法務大臣から異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは、速やかに当該容疑者に対し、その旨を知らせるとともに、第五十一条の規定による退去強制令書を発付しなければならない。

(法務大臣の裁決の特例)

第五十条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。

一 永住許可を受けているとき。

二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。

三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。

四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。

2 前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留資格及び在留期間を決定し、その他必要と認める条件を付することができる。

3 法務大臣は、第一項の規定による許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)をする場合において、当該外国人が中長期在留者となるときは、入国審査官に、当該外国人に対し、在留カードを交付させるものとする。

4 第一項の許可は、前条第四項の規定の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。

違反調査に際し、身柄は拘束されるのか?

2018-04-02

こんにちは、行政書士の溝口正樹です。今回は違反調査について解説します。

 入国警備官による違反調査は、入管法5章に定める退去強制手続の第一段階として行われます。
違反調査は、「入国警備官が行なう、外国人の入国、上陸、または在留に関する違反事件(入管法24条にかかげる退去強制事由に該当する事案)の調査を言うと定められています(同法2条14号)と定められています。入国警備官は、退去強制事由に該当すると考えられる容疑者本人に対する直接的な取調べ、公務所や公私の団体に対する照会、臨検、捜索、および押収等を執行できます。(同法5章1節)容疑者が、退去強制事由に該当すると判断するに足りる相当の理由があると判断するときは、主任捜査官の発付する収容令書により、容疑者の身柄を拘束することができると法定されています。(同39条)また、退去強制事由にあきらかに該当する者につき、収容令書にの発布を待っていては、逃亡の恐れがあると信ずるにたる相当の理由があるときは、収容令書の発付を待たずに、容疑者を収容することができます(同43条1項)。
 入国警備官は、収容令書により、容疑者を収容したときは、容疑者をの身体拘束をした時から48時間以内に、調書および証拠物とともに、当該容疑者を入国審査官に引き渡さなければなりません。(同44条)
 なお、違反調査の方法としては、任意調査の他に、強制調査も可能とされていますが、入管法は強制の処分は、同法5章および8章に特別の規定がある場合でなければすることができないと規定しています。(同法28条1項)
 入管に身柄拘束されてしまいそうなときは、急ぎ、法律の専門家である我々にご相談ください。初回相談は無料です。

外国人・中国人の、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。

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 参照資料 条文
第五章 退去強制の手続

第一節 違反調査

(違反調査)

第二十七条 入国警備官は、第二十四条各号の一に該当すると思料する外国人があるときは、当該外国人(以下「容疑者」という。)につき違反調査をすることができる。

(違反調査について必要な取調べ及び報告の要求)

第二十八条 入国警備官は、違反調査の目的を達するため必要な取調べをすることができる。ただし、強制の処分は、この章及び第八章に特別の規定がある場合でなければすることができない。

2 入国警備官は、違反調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

(容疑者の出頭要求及び取調)

第二十九条 入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、容疑者の出頭を求め、当該容疑者を取り調べることができる。

2 前項の場合において、入国警備官は、容疑者の供述を調書に記載しなければならない。

3 前項の調書を作成したときは、入国警備官は、容疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、署名をさせ、且つ、自らこれに署名しなければならない。

4 前項の場合において、容疑者が署名することができないとき、又は署名を拒んだときは、入国警備官は、その旨を調書に附記しなければならない。

(証人の出頭要求)

第三十条 入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、証人の出頭を求め、当該証人を取り調べることができる。

2 前項の場合において、入国警備官は、証人の供述を調書に記載しなければならない。

3 前条第三項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、前条第三項及び第四項中「容疑者」とあるのは「証人」と読み替えるものとする。

(臨検、捜索及び押収)

第三十一条 入国警備官は、違反調査をするため必要があるときは、その所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を得て、臨検、捜索又は押収をすることができる。

2 前項の場合において、急速を要するときは、入国警備官は、臨検すべき場所、捜索すべき身体若しくは物件又は押収すべき物件の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を得て、同項の処分をすることができる。

3 入国警備官は、第一項又は前項の許可を請求しようとするときは、容疑者が第二十四条各号の一に該当すると思料されるべき資料並びに、容疑者以外の者の住居その他の場所を臨検しようとするときは、その場所が違反事件に関係があると認めるに足りる状況があることを認めるべき資料、容疑者以外の者の身体、物件又は住居その他の場所について捜索しようとするときは、押収すべき物件の存在及びその物件が違反事件に関係があると認めるに足りる状況があることを認めるべき資料、容疑者以外の者の物件を押収しようとするときは、その物件が違反事件に関係があると認めるに足りる状況があることを認めるべき資料を添付して、これをしなければならない。

4 前項の請求があつた場合においては、地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官は、臨検すべき場所、捜索すべき身体又は物件、押収すべき物件、請求者の官職氏名、有効期間及び裁判所名を記載し、自ら記名押印した許可状を入国警備官に交付しなければならない。

5 入国警備官は、前項の許可状を他の入国警備官に交付して、臨検、捜索又は押収をさせることができる。

(必要な処分)

第三十二条 入国警備官は、捜索又は押収をするため必要があるときは、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。

(証票の携帯)

第三十三条 入国警備官は、取調、臨検、捜索又は押収をする場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

(捜索又は押収の立会)

第三十四条 入国警備官は、住居その他の建造物内で捜索又は押収をするときは、所有者、借主、管理者又はこれらの者に代るべき者を立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。

(時刻の制限)

第三十五条 入国警備官は、日出前、日没後には、許可状に夜間でも執行することができる旨の記載がなければ、捜索又は押収のため、住居その他の建造物内に入つてはならない。

2 入国警備官は、日没前に捜索又は押収に着手したときは、日没後でも、その処分を継続することができる。

3 左の場所で捜索又は押収をするについては、入国警備官は、第一項に規定する制限によることを要しない。

一 風俗を害する行為に常用されるものと認められる場所

二 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入することができる場所。但し、公開した時間内に限る。

(出入禁止)

第三十六条 入国警備官は、取調、臨検、捜索又は押収をする間は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入することを禁止することができる。

外国人・中国人の刑事弁護、在留特別許可(売春、売春防止法違反)

2018-03-23

【刑事手続】
外国人、中国人の方が売春防止法違反で捕まる場合、多くある事案は、売春の勧誘、売春の周旋、管理売春の事案です。
これらの犯罪で警察が捜査がした場合、逮捕勾留されることが一般的です。また、余罪が多い場合は逮捕勾留が繰り返されることが多く、否認している場合や共犯者がいる場合等には接見禁止が付される可能性があります。接見禁止が付されている場合には弁護士しか面会できないので、注意が必要です。
逮捕勾留期間が終了し、検察官が終局処分をする場合には、認めている場合には起訴されることが一般的です。否認している場合には不起訴になる場合もあります。起訴されて略式罰金になった場合には釈放されますが、略し罰金以外の場合には、起訴後も保釈が認められない限りは勾留が続きます。自動的に保釈が認められるのではなく、保釈請求をしないと保釈の許可は出ませんので注意してください。保釈が認められれば裁判終結まで一時的に釈放されます。なお、保釈のためには保釈金を裁判所に納付する必要がありますが、この保釈金は保釈中に逃亡を図ったり、裁判所に決められたルールを破る等の問題行動を起こさなかった場合には、裁判終結時に返還されることになります。
最終的な判決ですが、売春の勧誘の場合には、前科がない初犯の場合は罰金処分で終わることが多いです。また、売春の周旋の場合も前科がない場合には執行猶予が付される可能性があります。反面、管理売春等、業として売春をさせていた場合、初犯でも実刑に処される可能性が高いので、捜査段階から裁判まで弁護人とよく打ち合わせをして裁判に臨むことが重要です。
なお、違法マッサージ店、違法デリヘル店等の摘発の場合、逮捕勾留段階では風営法違反、入管法違反等で摘発し、基礎段階で売春防止法違反で起訴されるケースもあります。
【入管手続】
ここまでが刑事事件の流れになりますが、外国人、中国人の場合、何かしらの在留資格ビザを持って日本に滞在しているものと思われます。
しかし、売春で刑事事件になり、発覚した場合には、入管法24条4号ヌによって退去強制事由に該当します。退去強制事由に該当する場合には、原則的には国外退去となり、在留特別許可を得ない限りには日本にいることができなくなってしまいます。また、ここで注意が必要なのは、刑事事件で有罪判決を受けることが要件になっていないことです。発覚すれば、退去強制事由に該当します。そうすると、刑事事件と退去強制手続きが平行して行われることも可能ですが、実務上は刑事裁判が終了後、退去強制手続きが進行することが多いです。よって、日本に居続けるためには刑事裁判後、退去強制手続内で在留特別許可を得る必要があります。
在留特別許可を得ることができなかった場合には一旦日本を出なければなりませんが、再度日本に入るためには、上陸手続が必要になります。しかし、この上陸のタイミングでも、売春に従事していた過去があると上陸拒否事由に該当するため、原則的には上陸することはできなくなります。しかし、上陸特別許可を得ることにより上陸することが可能となります。上陸特別許可を得ようとする場合には、まずは、在留資格認定証明を取得するための手続きをして、上陸前に入国管理局に入国可能か判断してもらうことが有用といえるでしょう。
このように、売春が発覚すると刑事事件、入管事件双方で手続きがあります。また、日本に居続けるためには在留特別許可等の手続きが必要となります。在留特別許可の手続きでは口頭審理という手続があります。
在留特別許可、上陸特別許可の双方とも、ご自身の有利な事情を十分に主張する必要がありますので、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。
なお、口頭審理では行政書士は代理人にはなれず、弁護士しか代理人にはなれませんので注意してください。

外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。
東京0800-700-2323
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【資料】
売春防止法
第二章 刑事処分
(勧誘等)
第五条 売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(周旋等)
第六条 売春の周旋をした者は、二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 売春の周旋をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者の処罰も、前項と同様とする。
一 人を売春の相手方となるように勧誘すること。
二 売春の相手方となるように勧誘するため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
三 広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(困惑等による売春)
第七条 人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春をさせた者は、三年以下の懲役又は三年以下の懲役及び十万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
(対償の収受等)
第八条 前条第一項又は第二項の罪を犯した者が、その売春の対償の全部若しくは一部を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、五年以下の懲役及び二十万円以下の罰金に処する。
2 売春をした者に対し、親族関係による影響力を利用して、売春の対償の全部又は一部の提供を要求した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
(前貸等)
第九条 売春をさせる目的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
(売春をさせる契約)
第十条 人に売春をさせることを内容とする契約をした者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
(場所の提供)
第十一条 情を知つて、売春を行う場所を提供した者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 売春を行う場所を提供することを業とした者は、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
(売春をさせる業)
第十二条 人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、十年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
(資金等の提供)
第十三条 情を知つて、第十一条第二項の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、五年以下の懲役及び二十万円以下の罰金に処する。
2 情を知つて、前条の業に要する資金、土地又は建物を提供した者は、七年以下の懲役及び三十万円以下の罰金に処する。
(両罰)
第十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第九条から前条までの罪を犯したときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
(併科)
第十五条 第六条、第七条第一項、第八条第二項、第九条、第十条又は第十一条第一項の罪を犯した者に対しては、懲役及び罰金を併科することができる。第七条第一項に係る同条第三項の罪を犯した者に対しても、同様とする。
(刑の執行猶予の特例)
第十六条 第五条の罪を犯した者に対し、その罪のみについて懲役の言渡をするときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十五条第二項ただし書の規定を適用しない。同法第五十四条第一項の規定により第五条の罪の刑によつて懲役の言渡をするときも、同様とする。

入管法
(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
四 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。
七 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が当該業務に従事した場合を除く。)
(上陸の拒否の特例)
第五条の二 法務大臣は、外国人について、前条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する特定の事由がある場合であつても、当該外国人に第二十六条第一項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによつては上陸を拒否しないこととすることができる。
(退去強制)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
(法務大臣の裁決の特例)
第五〇条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
一 永住許可を受けているとき。
二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
2 前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留資格及び在留期間を決定し、その他必要と認める条件を付することができる。
3 法務大臣は、第一項の規定による許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)をする場合において、当該外国人が中長期在留者となるときは、入国審査官に、当該外国人に対し、在留カードを交付させるものとする。
4 第一項の許可は、前条第四項の規定の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。

退去強制手続における口頭審理について

2018-03-20

こんにちは、行政書士の溝口正樹です。
今日は口頭審理の解説を致します。

退去強制手続における一連の手続野中で、違反調査、違反審査に続く、第三段階としておこなわれる手続が口頭審理です。口頭審理は、上級の入国審査官である特別審理官が行います(入管法48条3項)口頭審理は、第二段階で行われた、入国審査官による認定に誤りがないかどうかを「判定」するためにおこなわれるもので、容疑者に防御の機会を与えるものとされています。口頭審理にあたり、代理人の選任、親族・知人一人の立ち会いが認められます。特別審理官は、容疑者の主張、弁解を聴取して、提出された証拠物の取り調べ、証人への尋問等を行います。
口頭審理の結果、特別審理官は、
① 容疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないことを理由として入国審査官の認定が事実に相違すると「判定」したときは、直ちに容疑者を放免します(同条6項)
② 入国審査官の認定に誤りがない(容疑者が退去強制事由苦い等する)と「判定」したときは、すみやかに、主任審査官および容疑者に対して、通知をするとともに、容疑者に対し、判定に不服がある場合は、法務大臣に対して異議を申し出ることができる旨を通知する(同条8項)こととされています。
※①と②の他に、特別審理官は、容疑者が出国命令対象者に該当することを理由として、入国審査官の認定が事実に相違すると判定する場合があります。
特別審理官の②の判定の通知をうけて、容疑者が、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して法務大臣に対して異議の申出を行ったときは、主任審査官が調書など関係書類を法務大臣に提出します。(同49条2項)
 なお、容疑者は、入国審査官の認定に誤りがない(退去強制事由に該当する)とする、特別審理官の判定に異議はないが、法務大臣の裁決の特例による在留特別許可を希望するときも、法務大臣に対して、異議を申し出ることができるという取り扱いがなされています。
 一方,容疑者が特別審理官の判定に服して、異議を申し出ないとき、または、異議を申し出ることができる期間(3日間)内に異議の申出をしないときは、主任審査官は、退去強制令書を発付します(同48条9項)。
 このように、特別審理官の口頭審理において、容疑者が、退去強制事由に該当するという判定がなされると3日以内に異議を申し出ない限り、退去強制令書が発付され、日本に適法に在住することができなくなります。
ですので、警察に身柄拘束されてしまったとか、入国警備官による収容令書により収容されてしまいそうであるという場合は、私たち、入管VISAの専門家である、弁護士と行政書士が連携して迅速に、ホスピタリティの精神で寄り添いながらサポートいたしますので、われわれにご相談戴くことをお勧めいたします!
名古屋栄行政書士事務所
行政書士 溝口正樹

外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。
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法務大臣の裁決と裁決の特例(在留特別許可)について

2018-03-20

みなさんこんにちは、行政書士の溝口正樹です。
本日は、在留特別許可の概略について解説いたします。

1 裁決
 違反調査、審査、口頭審理の結果、退去強制対象者であるとされた容疑者、は、当該判断(退去強制対象者に該当するとの認定が、誤りがないとの判定)に異議があるときは、通知を受けた日から3日以内に、不服の事由を記載した書面を主任審査官に提出して、法務大臣に対して異議を申し出ることができるとされています。(入管法49条1項)
 なお、認定、判定事態には不服がない(その認定、判定通り退去強制対象者に該当することは自認する)場合でも、在留特別許可を求めて、法務大臣に対して異議の申出をすることができます。
 法務大臣は、異議の申出を受理したときは、異議の申出が、理由があるかどうかを「裁決」し、結果を主任審査官に通知することとされている。(同3項)
この法務大臣の裁決は、羈束行為であり、自由裁量によるものではありません。
 主任審査官は、法務大臣から、容疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないことを理由として異議の申出が、理由があると裁決した旨の通知をうけたときは、直ちに放免しないといけません(同4項)。また法務大臣から異議の申出が、理由がない(退去強制対象者に該当する)と裁決した旨の通知をうけたときは、速やかに退去強制令書を発付しなければなりません。(同6項)
 納得のいかない容疑者は、法務大臣による、異議の申出に理由がないとする裁決に対して、取消訴訟を提起することができます。
2 裁決の特例
 法務大臣は、入管法49条3項の裁決にあたり、異議の申出が、理由がない(容疑者が退去強制対象者に該当する)と認める場合でも、当該容疑者が
① 永住許可をうけているとき
② かつて日本国民として本法に本籍を有したことがあるとき
③ 人身取引等により他人の支配下におかれて、本法に在留するものであるとき
④ 「他、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき」
のいずれかに該当するときは、在留を特別に許可することができる(同50条1項)。
この法務大臣の在留特別許可は、自由裁量によるものとされ、「違反の態様、家族関係(国内外)、生活状況、国際関係、国内事情(経済動向、労働需給関係、教育、福祉、治安等)等々日本社会に及ぼす影響を含め、総合判断して」、在留の許否を決定します。
 法は在留特別許可の許可基準を定めていませんが,在特に関する「ガイドライン」が公表されています。同ガイドラインにいう積極要素とは、プラスの要素(許可の方向で考慮される要素)、「消極要素」とは、マイナスの要素(許可されない方向考慮される要素)の意です。
在留特別許可を行う場合、法務大臣は、在留資格および、在留期間を決定し、他に必要と認める条件を付することができます。(同条2項)在留特別許可を得たものは、在留資格および、在留期間が決定されて当該在留資格に基づく在留が認められるのが普通ですが、条件として、一定の場合、特例上陸の種類および上陸期間が付され、また活動の制限など特に必要と認める事項が付されることがあります。(入管規則44条3項)
 なお、在留資格の決定を伴う、在留特別許可を得て、中長期在留者となる外国人へは在留カードが交付されます。(同50条3項)
異議の申出に対する法務大臣の裁決に不服がある場合、行政不服審査法による異議の申立てをすることはできませんが、(同7条1項10号)、行政事件訴訟法に基づき裁判所に救済を求めることはできます。
 なお、法務大臣に異議を申し出る場合に、情状を斟酌して、在留特別許可を求めることはできますが、在留特別許可は、退去強制手続の一環として行われるものであり、在留特別許可の申請という特別の申請手続が存在するわけではありません。   

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