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退去強制手続の概略

2018-03-20

こんにちは、行政書士の溝口正樹です。
今日は退去強制手続の概略を解説します。

1 第一段階 入国警備官による違反調査
 入国警備官による違反調査が行われます。入国警備官は、退去強制事由に該当すると思料する外国人(以下被疑者という)があるときは、被疑者について違反調査することができます。(入管法27条)そして違反調査の目的を達するため必要な取り調べをすることができ、また、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができます。(同28条)被疑者が退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、主任審査官の発布する収容令書により当該被疑者を収容することができます。(同39条)被疑者を収容したときは、被疑者の身体を拘束した時から48時間以内に入国審査官に調書および証拠物とともに被疑者の身柄を引き渡します。(同44条)
2 第二段階 入国審査官による違反審査
 被疑者の引き渡しを受けた入国審査官は、被疑者が退去強制対象者に該当するか審査します。(同45条1項)審査の結果、入国審査官が退去強制事由のいずれにも該当しないと認定した場合、被疑者は直ちに放免されます(同47条1項)
 退去強制対象者に該当すると認定した場合は、速やかに理由を付した書面をもって、主任審査官および被疑者へ通知します(同条3項)被疑者がこの認定に服すると退去強制令書が発付されます。(同条5項)認定に服さない場合でも、3日以内に口頭審理の請求をしないと退去強制令書が発付されます。被疑者は認定に対して異議があれば、通知を受けた日から3日以内に特別審理官に対し口頭審理の請求をすることができます(同法48条1項)。
3 第三段階 特別審理官による口頭審理
 口頭審理の請求があった場合、特別審理官は口頭審理を行い(同条3項)入国審査官の認定に誤りがないかどうか判定します。被疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないことを理由として入国審査官の認定が事実に相違すると判定した場合は、被疑者は放免されます(同条6項)。
入国審査感の認定に誤りがない(退去強制対象者に該当する)と判定した場合は、速やかに主任審査官および当該被疑者に通知します(同8項)被疑者がこの判定に服すると退去強制令書が発付されます(同条9項)。判定に服さない場合でも3日以内に異議を申し出ないと退去強制令書が発付されます。
 特別審理官の判定に異議がある場合は、被疑者は通知を受けた日から3日以内に法務大臣に対し異議を申し出ることができます(同49条1項)
4 第四段階 法務大臣の裁決と在留特別許可
 法務大臣は異議の申し出を受理したときは、異議の申し出が、理由があるかどうかを裁決します(同条3項)。被疑者が退去強制事由のいずれにも該当しないとの理由で異議の申し出が、理由がある裁決されると被疑者は放免されます(同条6項)。
 異議の申し出が、理由がない(退去強制対象者に該当する)と裁決されると、退去強制令書が発付されます(同条6項)。法務大臣は、異議の申し出が、理由がないと認める場合であっても、当該外国人が永住許可を受けているとき、かつて日本国民として本邦日本籍を有したことがあるとき、人身取引等により他人の支配下におかれて、本法に在留するものであるとき、他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときは、在留特別許可をすることができるとされています(同50条1項、なお、法務大臣の自由裁量に属すると解すべきとする点につき最高裁昭和34年11月10日参照)この許可は、一般的に在留特別許可(在特と略称されることもある)と呼ばれています。なお、異議申し出に対する法務大臣の裁決に対し、行政不服審査法による異議の申立てをすることはできません(行政不服審査法7条1項10号)が、行政事件訴訟法に基づき、裁判所へ救済を求めることはできます。

名古屋栄行政書士事務所
行政書士 溝口正樹

外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。
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帰化申請の必要書類

2017-08-24

帰化申請の際に必要となる書類は下記一覧です。どのような場合にも全部必要になるのではなく、帰化申請をする方の状況にあわせて必要書類を取得することになります。

・住民税の納税証明書(同居の家族分も必要)直近1年分

・住民税の課税証明書(同居の家族分も必要)直近1年分

・非課税証明書→本人、配偶者が非課税の場合

・住民票

・住民票の除票→2012年7月以降に引っ越した人

・戸籍謄本、除籍謄本、戸籍の附票→配偶者または婚約者、子が日本人の場合

・戸籍謄本→両親の一方が日本人の場合

・帰化した記載のある戸籍謄本→両親兄弟姉妹の中で帰化した者がいる場合

・出生届の記載事項証明書→本人、兄弟姉妹が日本で生まれている場合

・婚姻届の記載事項証明書→両親が日本で結婚している場合

・離婚届の記載事項証明書→本人が外国籍の方と離婚したことがある場合

・離婚届の記載事項証明書→外国籍同士の両親が離婚したことがある場合

・死亡届の記載事項証明書→両親、配偶者、子が日本で死亡している場合

・土地建物の登記事項証明書→マンション、土地、建物を所有している場合

・法人の登記事項証明書→法人経営者の場合

・個人の所得税納税証明書

・法人税納税証明書、消費税納税証明書、事業税納税証明書、法人都県市民税納税証明書、経営者個人の所得税納税証明書→法人経営者の場合

・所得税納税証明書、消費税納税証明書、事業税納税証明書→個人事業主の場合

・年金保険料領収書、国民年金保険料納付確認書→会社員

・厚生年金保険料領収書、厚生年金加入届→法人経営者

・源泉徴収票

・在勤及び給与証明書

・運転記録証明書→運転免許証を持っている方

・運転免許経歴証明書→免許を失効、取り消しされたことがある方

・証明写真(5㎝×5㎝)

・スナップ写真

・在留カード写し

・最終学歴卒業証書写し

・運転免許証の写しパスポートの写し

・医師、弁護士、公認会計士等の公的資格をお持ちの方は、その証明書の写し

・不動産賃貸借契約書の写し→賃貸物件にお住まいの方

・確定申告書の控えの写し

・営業許可証の写し、役員自営業者個人としての確定申告書控えの写し、法人の確定申告書控えの写し、源泉所得税の納付書の写し、源泉徴収簿の写し→法人経営者、自営業者の方

・修正申告書控えの写し

【本国から取得する書類】

・韓国籍の方→基本証明書、家族関係証明書、婚姻関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書、除籍謄本、両親の家族関係証明書、婚姻関係証明書

・中国籍の方→出生公証書、親族関係公証書、結婚公証書(結婚している場合)、離婚公証書(離婚している場合)、養子公証書(養子縁組している場合)、両親の結婚公証書、両親の離婚公証書、死亡公証書(親や子が死亡している場合)、国籍証書

 

上記のように、帰化申請しようとする場合には、その状況にあわせて書類を収集する必要性がありますので、帰化申請をご検討中の方は、専門の弁護士に相談することをお勧めします。

 

帰化申請に関するご相談は、入管事件、在留資格変更、在留期間更新、ビザ申請を多く

取り扱っている弁護士永田洋子にご相談ください。

電話番号は0800-700-2323

帰化申請の手続と注意点

2017-08-20

帰化申請をする際にはまずは、管轄の法務局に相談予約をする必要があります。この相談は、法務局の職員と面談することにより、事実上の簡単な審査が行われ、帰化申請できそうな人には必要書類等を教えてくれます。予約は非常に混んでおり、相談日時が1ヶ月先になることもあります。

必要書類を揃えたら再度法務局に相談予約をして必要書類を持って行きます。このときに帰化申請の手引きや必要書類一覧がもらえることが多いです。

帰化申請の手引きに従って申請書を作成し、必要書類も収集したら、再度法務局に行って不備がないか最終確認をしてもらいます。一部の大規模庁では不備がなければ当日に申請を受理してもらえる場合がありますが、その他の場合は再度申請日を指定されます。不備があった場合には修正したり、再度必要書類を収集し、そろったら再度法務局に行きます。

申請日時が指定された場合には、指定された日に法務局に行って申請します。受理された日から2~3ヶ月後に面接日時調節の電話があり、面接が行われます。

この面接は審査の一環であり、申請書類の内容確認等がなされます。配偶者がいる場合などには配偶者の面接も求められることもあります。定期券等の裏付け書類の提示が求められたり、面接後自宅訪問がなされる場合もあるので、申請書類と齟齬がないように注意が必要です。

面接の他の審査としては、自宅訪問、勤務先の確認等々がなされ、申請書類や面接時の話と齟齬がないか確認されます。

帰化が許可された場合には法務局担当官から連絡があり、さらに官報に記載されます。申請受付から許可までは10ヶ月~1年程度かかることが多いです。

 

以上のように帰化の手続は進んでいき、帰化の要件を満たしているかを確認されます。申請を受理してもらえるまでに何度も法務局担当官の確認を経ているので、審査の内容としては、基本的には申請の内容が真実かどうかです。法務局の審査では、虚偽や矛盾が最も嫌われますし、発覚した場合には帰化は許可されません。そのため、虚偽記載をすることは論外ですが、相談予約の際から面接まで首尾一貫した主張が重要になります。なお、最初の相談内容もメモを取られていたり記録を取られていることが多いので、最初から帰化要件を万全にして臨む必要があります。納税義務を果たしていないような場合には、さかのぼって納税し、要件を満たすようにしてから相談に行った方が良いでしょう。

ようするに、自分が帰化の要件を満たしているのかどうかわからない内に不用意に法務局に相談には行かない方がよいと思われます。法務局は審査をするところです。不用意に話した内容がマイナスに考慮されることもあります。そのため、帰化の要件を満たすかわからない場合には、まずは専門家である弁護士等に相談するべきといえます。弁護士には守秘義務がありますので、弁護士から法務局に情報が漏れるということはありませんので、弁護士には正直に話して帰化の要件を満たすか判断してもらいましょう。

 

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帰化の要件 簡易帰化

2017-08-12

簡易帰化とは、法律上このような名称の帰化があるわけではなく、一般の帰化と比較して帰化の要件が緩和されている帰化を総称して簡易帰化と呼称しているにすぎません。簡易帰化について国籍法では以下のように規定されています。

国籍法

第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについ

    ては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないとき

    でも、帰化を許可することができる。

    一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住

     所又は居所を有するもの

    二 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、

     又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの

    三 引き続き10年以上日本に居所を有する者

   第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所

    を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その

    者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可

    することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過

    し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とす

    る。

   第八条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第

    五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許

    可することができる。

    一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの

    二 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時

     本国法により未成年であつたもの

    三 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除

     く。)で日本に住所を有するもの

    四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き

     続き3年以上日本に住所を有するもの

   

6条1号に当てはまるのは、両親が外国に帰化をして自分も外国籍になっている場合です。日本人家族が外国に移住して帰化し外国籍をとったが、子は日本国籍を取得したいとい場合が該当すると考えられます。

6条2号については、在日朝鮮人、韓国人の方の多くがこれに該当すると考えられます。

6条3号についても在日朝鮮人、韓国人の方の多くがこれに該当するといえます。10年以上日本に居住し、1年以上の就労経験がある場合に帰化が認められるのは、この要件に該当するからといえます。

6条については、普通帰化で求められる5年の住居要件が緩和されることになります。

 

7条前段については、日本人と結婚している外国人が当てはまります。居住期間は乾坤の戦後を問いませんので、日本に3年以上住んでいる場合、日本人と結婚した段階で帰化の要件を満たすことになります。

7条後段についても、日本人と結婚している外国人があてはまります。外国で結婚生活を送った後、来日して1年以上日本で住んでいる場合等が典型例といえます。

7条に該当する場合には、普通許可で求められる住居要件と能力要件が緩和されることになりますので、引き続き5年以上日本に住まなくても大丈夫ですし、20歳未満でも他の要件を満たせば帰化の要件を満たすことになります。

 

8条1号に該当するのは、両親だけ先に帰化して日本国籍を取得して後に子供が帰化する場合、日本人の子であるが日本国籍を選ばなかった人が後に帰化する場合等が該当します。

8条2号に該当するのは、未成年のときに親の再婚などにより連れ子として日本に来た外国人の方で、来日時に義理の親と養子縁組したような場合が該当します。

8条3号に該当するのは、外国籍になった日本人が再度日本国籍に戻るような場合が該当するといえます。

8条に該当する方は、普通帰化で要求される住居要件、能力要件、生計要件が緩和されます。

 

このように、要件が緩和されるパターンがいくつもありますので、帰化を検討している方は要件が緩和される可能性があるため、まずは専門の弁護士に相談すべきといえます。

 

以上の他に国籍法では下記のようにいわゆる大帰化についての規定がありますが、許可の前例がないため説明は割愛します。

第九条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一

    項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができ

    る。

 

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帰化の要件 生計要件

2017-08-08

帰化の要件の一つとして、国籍法は「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」と定めています。要するにしっかりと生活を維持する経済力があるかどうかという点が問題となります。独身者の場合には自分自身の収入で生活をしていけるかどうか、家族がいる場合には家族の収入も含めて生活していけるかどうかが問題となります。貯金や貯蓄、資産はあればいいですが、なくてもあまり問題とならず、安定した職について安定した収入がある方が重要なポイントになります。正社員でなくても良いですが、無職の場合には帰化が認められる可能性は低いので、就職してから帰化申請した方が良いでしょう。会社経営者でも毎月収入が安定していれば問題はありません。目安として最低月18万円程度の収入は必要になると考えられます。借金についてですが、住宅ローンや自動車ローン、消費者金融からの借金があったとしても、事故なく返済しているのであれば通常の経済活動なので問題ないといえるでしょう。自己破産している場合には問題がありますが、7年経過していて現在の収支に問題がなければそれだけで要件を満たさないという可能性は低いと思われます。

 

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帰化の要件 素行要件

2017-08-04

帰化の要件の一つとして国籍法は「素行が善良であること」という要件を定めています。素行が善良であるとは、簡単に言えば、悪いことをしない真面目で誠実な人とう意味です。抽象的な表現ですが、具体的には、刑事事件の前科前歴がないか、納税義務を果たしているか、年金等を払っているか、交通違反をしていないか等々の場面で問題となります。

まず、刑事事件で前科がないかということが問題となりますが、通常、刑事事件で罰金や懲役刑等の前科が付いた場合には退去強制事由に該当するか、更新ができなくて日本にいることができなくなるのですが、退去強制事由に該当したが在留特別許可で日本での滞在が認められている方や、退去強制事由に該当しない前科であり更新も認められてきたとう方が問題となります。帰化の場合にはより厳しく審査されますので、当然ですが、犯罪を起こさないことが重要です。殺人や強盗等の重犯罪だけでなく、ケンカ、飲酒運転、万引き等も犯罪ですので、帰化を目指している方は普段から襟を正して生活する必要があります。万が一犯罪行為を犯してしまった場合には、弁護士に相談して前科が付かない方法があるか模索する必要があります。軽いケンカ程度であれば、被害者と示談することで不起訴になり、前科が付かない可能性もあります。

 次に納税義務を果たしているか否かですが、当然ですが、確定申告で収入を不正に低くしたり、経費を不正に多く計上している場合も脱税ですので、修正申告して正しい納税を心がけてください。悪質な脱税の場合には告発されて刑事事件になることもあるので注意が必要です。時々問題となるのが住民税です給料から天引きされている場合は問題ありませんが、役所から通知がきて納税する普通徴収の場合には、住民税が未納の方がいます。住民税を払っていない場合も当然ですが納税義務を果たしていませんので、素行不良となります。扶養から外さなければいけないのに外していない場合もありますので注意してください。万が一間違っていた場合には修正申告しましょう。

交通違反については、基本的には過去5年間の違反歴を調査されます。過去5年間で軽微な違反5回以内であれば、問題はないと思われます。ここで注意が必要なのは、飲酒運転等の悪質な違反で、いわゆる赤切符を切られた場合です。この場合、勘違いしている方がいますが、赤切符によって課されるのは罰金であり、前科になりますので注意が必要です。軽微な違反の青切符の際に支払うのは、反則金であり前科とはなりません。赤切符の際に支払うのは、簡易裁判所の略式裁判を経て支払う略式罰金となります。

年金についてですが、現在一定の中長期滞在外国人は、年金に加入する義務があります。年金は権利でもあり義務でもあるということです。自分はもらわないから関係ないという方がいらっしゃいますが間違いです。支払う義務があります。まったく支払っていない場合には、とりあえず直近1年分を支払って、その領収書を提出しましょう。

 

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帰化の要件 住居要件

2017-07-27

帰化の要件の一つとして、国籍法では、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」と定めています。この「引き続き」という要件が問題となりますが、国籍法は継続して日本居住していることを求めています。継続して5年以上日本に居住していることが必要となります。

簡単な例ですと、2年日本に住んでいて、1年海外にいて、3年日本に住んだ場合ですと、この引き続きの要件は満たさないことになります。さらに、この場合ですと、海外に行く前の2年間は算入できなくなるので、さらに2年間日本に住み続けなければ要件を満たさなくなります。要するにリセットされてしまいます。

この「引き続き」の要件がリセットされてしまうか否かの目安の期間は、一度の出国日数が3ヶ月以上か否かで判断されることが実務上は多いです。一度の出国日数が3ヶ月以上に及んでしまう場合には、「引き続き」の要件は満たさずにリセットされてしまう可能性が高いといえます。この場合には、それまでの居住歴はリセットされゼロからもう一度カウントする必要が生じます。

 また、一度の出国が3ヶ月以内であっても、1年間のうちに短期の出国を繰り返して、目安として合計150日以上程度日本を出国していると、この場合も「引き続き」の要件を満たさないと判断をされる可能性が非常に高くなりますので注意が必要です。たとえば、1ヶ月の出国期間の出国を7回繰り返した場合、一度の出国の期間は3ヶ月以内ですが、合計210日の出国期間があるため、この場合も「引き続き」の要件を満たさないと判断される可能性が高いです。

この「引き続き」の要件は形式的に判断される可能性が高いので、震災、出張、病気療養、出産等を理由とした出国でも酌量してくれる可能性は低いので注意が必要です。

 次に「引き続き5年以上」の期間の中身の問題ですが、どんな在留資格でも5年以上日本

に居住していれば帰化できるというものではありません(オーバーステイの場合は論外です)。実務上は、就労系の在留資格において、就職した期間が3年以上必要となります。正社員か否かはこの住居要件では問われませんが、就労系の在留資格ビザを取得して、就職して3年以上経過していることが必要となります。そうすると、5年以上日本にきょじゅうしていたとしても、すべての期間の在留資格が留学生であった場合には帰化は認められないということになります(不法就労の場合は論外です。また資格外活動でアルバイトをしていたとしても就労ビザで3年以上の要件は認められません)。しかし、たとえば、留学生として2年、就労系のビザで3年日本で居住した場合には住居要件は満たすことになります。よくある例としては、日本語学校に留学生として来て、日本の会社に就職して技術人文知識国際業務等に在留資格ビザ変更をした場合があります。逆に留学生として6年日本に居住していても就労ビザで2年しかいないのであれば、要件は満たしません。なお、転職については問題となりません。

 就労系のビザで3年以上日本に居住する必要があるのが原則ですが、日本に居住している期間が10年以上の場合には就労経験が1年以上でも認められるという例外もあります。たとえば、留学生として8年、就労ビザで2年日本に居住した場合には、要件を満たすことになりますので重要です。

 

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帰化の要件 普通帰化

2017-07-24

帰化とは簡単に言えば日本国籍を取得して日本人となることです。永住許可との違いは永住の場合はあくまでも外国人のままであり、永住者には参政権は認められていませんし、退去強制の対象にもなります。しかし、帰化をすれば日本人となり参政権は認められ、退去強制の対象になりません。帰化をした場合、日本人として制限の少ない生活をすることができますが、二重国籍は認められませんので、母国の国籍はなくなることになりますので、アイデンティティに関わる問題ですから慎重に考える必要があるといえます。帰化の中には一般的な要件を定めたものから、要件を緩和したものまであります。ここでは、一般的な帰化である普通帰化の要件についてご説明します。普通帰化について、国籍法では以下のように定められています。

(帰化)

   第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によって、日

    本の国籍を取得することができる。

   2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

   第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可す

    ることができない。

    一 引き続き5年以上日本に住所を有すること。

    二 20歳以上で本国法によって行為能力を有すること。

    三 素行が善良であること。

    四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生

     計を営むことができること。

    五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。

    六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政

      府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若

      しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したこ

      とがないこと。

   2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができな

    い場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると

    認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化

    を許可することができる。

 

 国籍法では上記のように定められていますが、普通許可には①住居要件、②能力要件、③素行要件、④生計要件、⑤喪失要件、⑥思想要件、⑦日本語能力要件、が必要になってきます。⑦の日本語能力要件は国籍法には定められていませんが、日本人になることからいわば常識として日本語が必要になること、日本語ができないのであれば住居要件の定着性や生計要件にも疑義が生じることから、一定の日本語能力が要求されています。要求される日本語能力としては日本語能力試験3級程度の能力があれば問題ないといえます。申請や面接の段階で審査官に日本語能力に疑義を持たれると筆記試験を課されることがあります。日本語能力がないと帰化できませんので、同国人のネットワークばかりでなく積極的に日本人と関わり、日本語を習得することが重要です。②の能力要件ですが、帰化するためには20歳以上であることが要件とされています。これは申請人が20歳以上であることが必要だということです。ただし、未成年の子が両親と一緒に帰化申請をする場合は20歳未満でも帰化が可能になります。20歳未満の場合は、単独では要件を満たすことができないと言うことです。⑤の喪失要件は、日本に帰化した場合、母国の国籍を失うことができる、もしくは離脱できるかどうかということです。日本は二重国籍を認めていませんので、国籍を離脱できない場合には帰化できません。国によって、兵役等の義務を果たさないと国籍を離脱できない場合もありますので、帰化申請の前にそれぞれの母国で確認する必要があるといえます。⑥の思想要件ですが、日本国を破壊するというような危険な考えを持っていないかということです。たとえば、テロリストや破壊活動を目的とした工作員やスパイ等が対象になるといえます。①住居要件、③素行要件、④生計要件については別稿で詳しく解説したいと思います。

 

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退去強制事由(入管法24条4号)、中国人の刑事弁護と入管

2017-04-26

入管法24条4号では、以下のように退去強制事由が規定されています。まずは、条文をご紹介後解説します。

 

第二十四条  次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

四  本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの

イ 第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行つていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第二十条第五項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第二十六条第一項及び第二十六条の二第二項(第二十六条の三第二項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者

ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者

ニ 旅券法 (昭和二十六年法律第二百六十七号)第二十三条第一項 (第六号を除く。)から第三項 までの罪により刑に処せられた者

ホ 第七十四条 から第七十四条の六の三 まで又は第七十四条の八 の罪により刑に処せられた者

ヘ 第七十三条 の罪により禁錮以上の刑に処せられた者

ト 少年法 (昭和二十三年法律第百六十八号)に規定する少年で昭和二十六年十一月一日以後に長期三年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの

チ 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法 、大麻取締法 、あへん法 、覚せい剤取締法 、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律 (平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章 の規定に違反して有罪の判決を受けた者

リ ニからチまでに掲げる者のほか、昭和二十六年十一月一日以後に無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。

ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)

ル 次に掲げる行為をあおり、唆し、又は助けた者

(1) 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸すること。

(2) 他の外国人が偽りその他不正の手段により、上陸の許可等を受けて本邦に上陸し、又は前節の規定による許可を受けること。

オ 日本国憲法 又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者

ワ 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者

(1) 公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体

(2) 公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体

(3) 工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体

カ オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者

ヨ イからカまでに掲げる者のほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者

 

まず、イについてですが、入管法19条1項は、就労することができない、または就労活動の内容が制限されている在留資格を

有する外国人が資格外活動を得ずに就労することを禁止しています。しかし、退去強制手続との関係では、禁止されている就労活動を行った場合がすべて退去強制事由に該当するわけではありません。入管法24条4号イでは「専ら行っていると明らかに認められる者」と規定されており、この「専ら行っている」の解釈が問題となります。

 この点、東京地裁の裁判例ではこのように判断しています。「留学の在留資格を有する外国人が、入管法24条4号イの定める専業活動要件に当たるというためには、原告の本邦における学生としての生活及び就労等の状況、就労に至った経緯、学費及び生活費の支出状況、本国からの送金の状況及び使途等を総合考慮して在留を正当化する本来の在留資格である留学が実質的に変更されたものと認められるか否かという観点から判定」すべきである旨を述べ、入管法19条1項に違反する就労活動をしつつも真面目に勉学に励んでいた留学生について退去強制事由に該当しないと判断したものがあります。資格外活動の場合には退去強制事由に該当するか否か争いになる場合が多いです。しかし、専らの要件を満たさない場合であっても、資格外活動を理由に入管法73条に基づき禁固以上の刑に処せられると別途退去強制事由に該当することになります。

ロはいわゆるオーバーステイの場合ということになります。ㇵは有罪判決は要件となっていません。

二については刑に処せられたものとなっており、有罪判決の確定が必要です。なお、執行猶予判決も含みます。

ホは入管法の集団密航に係る罪、他人の不法入国等の実行を容易にする目的での不正な旅行証明書または身分証明書の入手・所持・提供等、不法入国者の蔵匿・隠避の罪で刑に処せられたものであり、有罪判決の確定が必要です。なお、執行猶予判決も含まれます。

へは上述のように、資格外活動の罪に基づいて禁固以上の刑を受けた場合になります。なお、

入管法73条は以下のように規定されています。

 

第七十三条  第七十条第一項第四号に該当する場合を除き、第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行つた者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

 

トは刑に処せられたものとなっており、有罪判決の確定が必要になります。

チは薬物犯罪に関する規定で、有罪判決(執行猶予を含む)の確定が必要です。

リは刑罰を受けた者全般に関する規定です。無期又は1年を超える懲役または禁錮刑に処せられた者となっています。ただし、刑の全部の執行猶予を受けた者等は除外されています。有罪判決の確定が必要です。

ヌは売春関係に関する規定です。これについては有罪判決等は要件になっていません。

ルは不法入国不法上陸の教唆、ほう助に関する規定です。これについても有罪判決等は要件となっていません。

オ、ワ、カは暴力主義的破壊活動者に関する規定です。これについても有罪判決等は要件となっていません。ヨは利益公安条項該当者です。これについても、有罪判決等は要件となっていません。

 

以上のように、有罪判決を受けたことが退去強制事由になっているものがあります。退去強制事由に該当する場合には退去強制手続が進行し、退去強制事由事態に争いはないが、日本での在留を継続したいという場合には在留特別許可を目指すことになります。このような場合、刑事裁判の段階から在留特別許可を視野に入れて弁護活動をする必要があります。そのため、できれば、当初から刑事弁護、入管事件の双方を取り扱う弁護士に依頼すると良いと思われます。

 

中国人、外国人の退去強制、在留特別許可、逮捕、刑事弁護に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。

電話番号は0800-700-2323

退去強制事由(入管法24条4号の2)、中国人の刑事弁護と入管

2017-04-25

入管法24条4号の2では、以下のように退去強制事由が規定されています。

 

第24条  次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

四の二  別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第二編第十二章 、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条 又は第二百六十一条 に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条 若しくは第十六条 の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条 若しくは第六条第一項 の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

 

別表第一の在留資格とは、技能、技術、国際業務・人文知識、留学、短期滞在、技能実習、興行、経営管理、等の在留資格のことをいい、別表2(永住者、日本人配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)は含まれないことになります。

 

対象となる犯罪は、以下のとおりとなります。

刑法

第十二章 住居を侵す罪

(住居侵入等)

第百三十条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第十六章 通貨偽造の罪

(通貨偽造及び行使等)

第百四十八条  行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

2  偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

(外国通貨偽造及び行使等)

第百四十九条  行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、二年以上の有期懲役に処する。

2  偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

(偽造通貨等収得)

第百五十条  行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。

(未遂罪)

第百五十一条  前三条の罪の未遂は、罰する。

(収得後知情行使等)

第百五十二条  貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。

(通貨偽造等準備)

第百五十三条  貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

 

第十七章 文書偽造の罪

(詔書偽造等)

第百五十四条  行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

2  御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。

(公文書偽造等)

第百五十五条  行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

2  公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3  前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

(虚偽公文書作成等)

第百五十六条  公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。

(公正証書原本不実記載等)

第百五十七条  公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

2  公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

3  前二項の罪の未遂は、罰する。

(偽造公文書行使等)

第百五十八条  第百五十四条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。

2  前項の罪の未遂は、罰する。

(私文書偽造等)

第百五十九条  行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2  他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3  前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(虚偽診断書等作成)

第百六十条  医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、三年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

(偽造私文書等行使)

第百六十一条  前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

2  前項の罪の未遂は、罰する。

(電磁的記録不正作出及び供用)

第百六十一条の二  人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

2  前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

3  不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。

4  前項の罪の未遂は、罰する。

 

第十八章 有価証券偽造の罪

(有価証券偽造等)

第百六十二条  行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

2  行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。

(偽造有価証券行使等)

第百六十三条  偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

2  前項の罪の未遂は、罰する。

第十八章の二 支払用カード電磁的記録に関する罪

(支払用カード電磁的記録不正作出等)

第百六十三条の二  人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。

2  不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。

3  不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、貸し渡し、又は輸入した者も、同項と同様とする。

(不正電磁的記録カード所持)

第百六十三条の三  前条第一項の目的で、同条第三項のカードを所持した者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(支払用カード電磁的記録不正作出準備)

第百六十三条の四  第百六十三条の二第一項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。

2  不正に取得された第百六十三条の二第一項の電磁的記録の情報を、前項の目的で保管した者も、同項と同様とする。

3  第一項の目的で、器械又は原料を準備した者も、同項と同様とする。

(未遂罪)

第百六十三条の五  第百六十三条の二及び前条第一項の罪の未遂は、罰する。

 

第十九章 印章偽造の罪

(御璽偽造及び不正使用等)

第百六十四条  行使の目的で、御璽、国璽又は御名を偽造した者は、二年以上の有期懲役に処する。

2  御璽、国璽若しくは御名を不正に使用し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用した者も、前項と同様とする。

 

(公印偽造及び不正使用等)

第百六十五条  行使の目的で、公務所又は公務員の印章又は署名を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2  公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。

(公記号偽造及び不正使用等)

第百六十六条  行使の目的で、公務所の記号を偽造した者は、三年以下の懲役に処する。

2  公務所の記号を不正に使用し、又は偽造した公務所の記号を使用した者も、前項と同様とする。

(私印偽造及び不正使用等)

第百六十七条  行使の目的で、他人の印章又は署名を偽造した者は、三年以下の懲役に処する。

2  他人の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。

(未遂罪)

第百六十八条  第百六十四条第二項、第百六十五条第二項、第百六十六条第二項及び前条第二項の罪の未遂は、罰する。  

 

第二十三章 賭博及び富くじに関する罪

(賭博)

第百八十五条  賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

(常習賭博及び賭博場開張等図利)

第百八十六条  常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。

2  賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

(富くじ発売等)

第百八十七条  富くじを発売した者は、二年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。

2  富くじ発売の取次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

3  前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。

 

第二十六章 殺人の罪

(殺人)

第百九十九条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

第二百条  削除

(予備)

第二百一条  第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

(自殺関与及び同意殺人)

第二百二条  人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

(未遂罪)

第二百三条  第百九十九条及び前条の罪の未遂は、罰する。

 

第二十七章 傷害の罪

(傷害)

第二百四条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(傷害致死)

第二百五条  身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

(現場助勢)

第二百六条  前二条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(同時傷害の特例)

第二百七条  二人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくても、共犯の例による。

(暴行)

第二百八条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(凶器準備集合及び結集)

第二百八条の二  二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2  前項の場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って人を集合させた者は、三年以下の懲役に処する。

 

第三十一章 逮捕及び監禁の罪

(逮捕及び監禁)

第二百二十条  不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

(逮捕等致死傷)

第二百二十一条  前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 

第三十三章 略取、誘拐及び人身売買の罪

(未成年者略取及び誘拐)

第二百二十四条  未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

(営利目的等略取及び誘拐)

第二百二十五条  営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

(身の代金目的略取等)

第二百二十五条の二  近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

2  人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。

(所在国外移送目的略取及び誘拐)

第二百二十六条  所在国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、二年以上の有期懲役に処する。

(人身売買)

第二百二十六条の二  人を買い受けた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2  未成年者を買い受けた者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

3  営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を買い受けた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

4  人を売り渡した者も、前項と同様とする。

5  所在国外に移送する目的で、人を売買した者は、二年以上の有期懲役に処する。

(被略取者等所在国外移送)

第二百二十六条の三  略取され、誘拐され、又は売買された者を所在国外に移送した者は、二年以上の有期懲役に処する。

(被略取者引渡し等)

第二百二十七条  第二百二十四条、第二百二十五条又は前三条の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2  第二百二十五条の二第一項の罪を犯した者を幇助する目的で、略取され又は誘拐された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

3  営利、わいせつ又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、又は蔵匿した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。

4  第二百二十五条の二第一項の目的で、略取され又は誘拐された者を収受した者は、二年以上の有期懲役に処する。略取され又は誘拐された者を収受した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、同様とする。

(未遂罪)

第二百二十八条  第二百二十四条、第二百二十五条、第二百二十五条の二第一項、第二百二十六条から第二百二十六条の三まで並びに前条第一項から第三項まで及び第四項前段の罪の未遂は、罰する。

(解放による刑の減軽)

第二百二十八条の二  第二百二十五条の二又は第二百二十七条第二項若しくは第四項の罪を犯した者が、公訴が提起される前に、略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽する。

(身の代金目的略取等予備)

第二百二十八条の三  第二百二十五条の二第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

(親告罪)

第二百二十九条  第二百二十四条の罪、第二百二十五条の罪及びこれらの罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びに同条第三項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、営利又は生命若しくは身体に対する加害の目的による場合を除き、告訴がなければ公訴を提起することができない。ただし、略取され、誘拐され、又は売買された者が犯人と婚姻をしたときは、婚姻の無効又は取消しの裁判が確定した後でなければ、告訴の効力がない。

 

第三十六章 窃盗及び強盗の罪

(窃盗)

第二百三十五条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(不動産侵奪)

第二百三十五条の二  他人の不動産を侵奪した者は、十年以下の懲役に処する。

(強盗)

第二百三十六条  暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(強盗予備)

第二百三十七条  強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。

(事後強盗)

第二百三十八条  窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

(昏酔強盗)

第二百三十九条  人を昏酔させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。

(強盗致死傷)

第二百四十条  強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

(強盗強姦及び同致死)

第二百四十一条  強盗が女子を強姦したときは、無期又は七年以上の懲役に処する。よって女子を死亡させたときは、死刑又は無期懲役に処する。

(他人の占有等に係る自己の財物)

第二百四十二条  自己の財物であっても、他人が占有し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章の罪については、他人の財物とみなす。

(未遂罪)

第二百四十三条  第二百三十五条から第二百三十六条まで及び第二百三十八条から第二百四十一条までの罪の未遂は、罰する。

(親族間の犯罪に関する特例)

第二百四十四条  配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪、第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

3  前二項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

(電気)

第二百四十五条  この章の罪については、電気は、財物とみなす。

 

第三十七章 詐欺及び恐喝の罪

(詐欺)

第二百四十六条  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(電子計算機使用詐欺)

第二百四十六条の二  前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

(背任)

第二百四十七条  他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(準詐欺)

第二百四十八条  未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

(恐喝)

第二百四十九条  人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

(未遂罪)

第二百五十条  この章の罪の未遂は、罰する。

(準用)

第二百五十一条  第二百四十二条、第二百四十四条及び第二百四十五条の規定は、この章の罪について準用する。

 

第三十九章 盗品等に関する罪

(盗品譲受け等)

第二百五十六条  盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。

2  前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金に処する。

(親族等の間の犯罪に関する特例)

第二百五十七条  配偶者との間又は直系血族、同居の親族若しくはこれらの者の配偶者との間で前条の罪を犯した者は、その刑を免除する。

2  前項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。

 

暴力行為等処罰に関する法律

第一条  団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二百八条 、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

第一条ノ二  銃砲又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ノ身体ヲ傷害シタル者ハ一年以上十五年以下ノ懲役ニ処ス

2 前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

3 前二項ノ罪ハ刑法第三条 、第三条の二及第四条の二ノ例ニ従フ

第一条ノ三  常習トシテ刑法第二百四条 、第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者人ヲ傷害シタルモノナルトキハ一年以上十五年以下ノ懲役ニ処シ其ノ他ノ場合ニ在リテハ三月以上五年以下ノ懲役ニ処ス

 

盗品等の防止及び処分に関する法律

第一条 左ノ各号ノ場合ニ於テ自己又ハ他人ノ生命、身体又ハ貞操ニ対スル現在ノ危険ヲ排除スル為犯人ヲ殺傷シタルトキハ刑法第三十六条第一項ノ防衛行為アリタルモノトス

 一 盗犯ヲ防止シ又ハ盗贓ヲ取還セントスルトキ

 二 兇器ヲ携帯シテ又ハ門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ若ハ鎖鑰ヲ開キテ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ船舶ニ侵入スル者ヲ防止セントスルトキ

 三 故ナク人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ船舶ニ侵入シタル者又ハ要求ヲ受ケテ此等ノ場所ヨリ退去セザル者ヲ排斥セントスルトキ

2 前項各号ノ場合ニ於テ自己又ハ他人ノ生命、身体又ハ貞操ニ対スル現在ノ危険アルニ非ズト雖モ行為者恐怖、驚愕、興奮又ハ狼狽ニ因リ現場ニ於テ犯人ヲ殺傷スルニ至リタルトキハ之ヲ罰セズ

第二条 常習トシテ左ノ各号ノ方法ニ依リ刑法第二百三十五条、第二百三十六条、第二百三十八条若ハ第二百三十九条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニ対シ窃盗ヲ以テ論ズベキトキハ三年以上、強盗ヲ以テ論ズベキトキハ七年以上ノ有期懲役ニ処ス

 一 兇器ヲ携帯シテ犯シタルトキ

 二 二人以上現場ニ於テ共同シテ犯シタルトキ

 三 門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ又ハ鎖鑰ヲ開キ人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ

 四 夜間人ノ住居又ハ人ノ看守スル邸宅、建造物若ハ艦船ニ侵入シテ犯シタルトキ

第三条 常習トシテ前条ニ掲ゲタル刑法各条ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ニシテ其ノ行為前十年内ニ此等ノ罪又ハ此等ノ罪ト他ノ罪トノ併合罪ニ付三回以上六月ノ懲役以上ノ刑ノ執行ヲ受ケ又ハ其ノ執行ノ免除ヲ得タルモノニ対シ刑ヲ科スベキトキハ前条ノ例ニ依ル

第四条 常習トシテ刑法第二百四十条前段ノ罪若ハ第二百四十一条前段ノ罪又ハ其ノ未遂罪ヲ犯シタル者ハ無期又ハ十年以上ノ懲役ニ処ス

 

特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律

(特殊開錠用具の所持の禁止)

第三条  何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、特殊開錠用具を所持してはならない。

(指定侵入工具の携帯の禁止)

第四条  何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、指定侵入工具を隠して携帯してはならない。

第十五条  業務その他正当な理由によることなく所持することの情を知って特殊開錠用具を販売し、又は授与した者は、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第十六条  第三条又は第四条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

対象犯罪は上記となっています。また、入管法24条4号の2の懲役又は禁錮に処せられたものとは、執行猶予を付された場合も含まれることから注意が必要です。

上記犯罪で有罪判決を受けた場合、退去強制事由に該当し、退去強制手続きが始まります。日本に残りたいという場合には、在留特別許可を目指すことになりますので、できれば、刑事弁護と入管事件の両方を取り扱っている弁護士に依頼されることをお勧めします。

 

中国人、外国人の退去強制、在留特別許可、逮捕、刑事弁護に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。

電話番号は0800-700-2323

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