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外国人・中国人の刑事弁護、在留特別許可(ヘロイン、コカイン、MDMA、麻薬、向精神薬)
【刑事手続】
外国人、中国人の方がヘロイン、コカイン、MDMA、その他の麻薬、向精神薬で捕まる場合、多くある事案は、ヘロイン、コカイン、MDMA、その他麻薬及び向精神薬の輸入、譲渡譲受、所持、使用の事案です。
これらの犯罪で警察が捜査がした場合、逮捕勾留されることが一般的です。また、余罪が多い場合は逮捕勾留が繰り返されることが多く、否認している場合や共犯者がいる場合等には接見禁止が付される可能性があります。接見禁止が付されている場合には弁護士しか面会できないので、注意が必要です。
逮捕勾留期間が終了し、検察官が終局処分をする場合には、認めている場合には起訴つまり公判請求されることが一般的です。否認している場合には不起訴になる場合もあります。
起訴後も保釈が認められない限りは勾留が続きます。自動的に保釈が認められるのではなく、保釈請求をしないと保釈の許可は出ませんので注意してください。保釈が認められれば裁判終結まで一時的に釈放されます。なお、保釈のためには保釈金を裁判所に納付する必要がありますが、この保釈金は保釈中に逃亡を図ったり、裁判所に決められたルールを破る等の問題行動を起こさなかった場合には、裁判終結時に返還されることになります。
最終的な判決ですが、自己使用目的のみで上記の犯罪を犯した場合には、前科がない初犯の場合は執行猶予が付されることが多いです。反面、営利目的が付くと、初犯でも実刑に処される可能性が高いので、捜査段階から裁判まで弁護人とよく打ち合わせをして裁判に臨むことが重要です。
営利目的で輸入した場合や、業として輸入した場合等にはいわゆる麻薬特例法が適用されて裁判員裁判になる可能性があります。
【入管手続】
ここまでが刑事事件の流れになりますが、外国人、中国人の場合、何かしらの在留資格ビザを持って日本に滞在しているものと思われます。
しかし、ヘロイン、コカイン、MDMA、その他の麻薬及び向精神薬で刑事事件になり、有罪判決を受けた場合には、入管法24条4号チによって退去強制事由に該当します。退去強制事由に該当する場合には、原則的には国外退去となり、在留特別許可を得ない限りには日本にいることができなくなってしまいます。また、ここで注意が必要なのは、刑事事件で執行猶予を得られた場合でも、有罪判決であることには変わりがないので、退去強制事由に該当するということです。よって、日本に居続けるためには在留特別許可を得る必要があります。
在留特別許可を得ることができなかった場合には一旦日本を出なければなりませんが、再度日本に入るためには、上陸手続が必要になります。しかし、この上陸のタイミングでも、ヘロイン、コカイン、MDMA、その他の麻薬及び向精神薬での有罪判決があると上陸拒否事由に該当するため、原則的には上陸することはできなくなります。しかし、上陸特別許可を得ることにより上陸することが可能となります。上陸特別許可を得ようとする場合には、まずは、在留資格認定証明を取得するための手続きをして、上陸前に入国管理局に入国可能か判断してもらうことが有用といえるでしょう。
このように、覚せい剤で有罪判決を得ると刑事事件、入管事件双方で手続きがあります。また、日本に居続けるためには在留特別許可等の手続きが必要となります。在留特別許可の手続きでは口頭審理という手続があります。
在留特別許可、上陸特別許可の双方とも、ご自身の有利な事情を十分に主張する必要がありますので、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。
なお、口頭審理では行政書士は代理人にはなれず、弁護士しか代理人にはなれませんので注意してください。
外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。
東京0800-700-2323
神奈川0467-38-8263
名古屋052-253-8826
【資料】
麻薬及び向精神薬取締法
第七章 罰則
第六十四条 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者は、一年以上の有期懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十四条の二 ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十四条の三 第十二条第一項又は第四項の規定に違反して、ジアセチルモルヒネ等を施用し、廃棄し、又はその施用を受けた者は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の違反行為をした者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十五条 次の各号の一に該当する者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
一 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第六十九条第一号から第三号までに該当する者を除く。)
二 麻薬原料植物をみだりに栽培した者
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第六十九条第四号若しくは第五号又は第七十条第五号に該当する者を除く。)は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条の二 第二十七条第一項又は第三項から第五項までの規定に違反した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の違反行為をした者は、一年以上十年以下の懲役に処し、又は情状により一年以上十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条の三 向精神薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、製造し、製剤し、又は小分けした者(第七十条第十五号又は第十六号に該当する者を除く。)は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第六十六条の四 向精神薬を、みだりに、譲り渡し、又は譲り渡す目的で所持した者(第七十条第十七号又は第七十二条第六号に該当する者を除く。)は、三年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(いわゆる麻薬特例法)
第3章 罰 則
(業として行う不法輸入等)
第5条 次に掲げる行為を業とした者(これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。)は、無期又は5年以上の懲役及び1千万円以下の罰金に処する。
一 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第64条の2(所持に係る部分を除く。)、第65条、第66条(所持に係る部分を除く。)、第66条の3又は第66条の4(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
二 大麻取締法第24条又は第24条の2(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
三 あへん法第51条又は第52条(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
四 覚せい剤取締法第41条又は第41条の2(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
入管法
(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
五 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者
(退去強制)
第二四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
チ 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
(法務大臣の裁決の特例)
第五〇条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
一 永住許可を受けているとき。
二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
2 前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留資格及び在留期間を決定し、その他必要と認める条件を付することができる。
3 法務大臣は、第一項の規定による許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)をする場合において、当該外国人が中長期在留者となるときは、入国審査官に、当該外国人に対し、在留カードを交付させるものとする。
4 第一項の許可は、前条第四項の規定の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。
外国人・中国人の刑事弁護、在留特別許可(覚せい剤)
【刑事手続】
外国人、中国人の方が覚せい剤で捕まる場合、多くある事案は、覚せい剤の輸入、譲渡譲受、所持、使用の事案です。
これらの犯罪で警察が捜査がした場合、逮捕勾留されることが一般的です。また、余罪が多い場合は逮捕勾留が繰り返されることが多く、否認している場合や共犯者がいる場合等には接見禁止が付される可能性があります。接見禁止が付されている場合には弁護士しか面会できないので、注意が必要です。
逮捕勾留期間が終了し、検察官が終局処分をする場合には、認めている場合には起訴、公判請求されることが一般的です。否認している場合には不起訴になる場合もあります。
起訴後も保釈が認められない限りは勾留が続きます。自動的に保釈が認められるのではなく、保釈請求をしないと判断はされませんので注意してください。保釈が認められれば裁判終結まで一時的に釈放されます。なお、保釈のためには保釈金を裁判所に納付する必要がありますが、この保釈金は保釈中に逃亡を図ったり、裁判所に決められたルールを破る等の問題行動を起こさなかった場合には、裁判終結時に返還されることになります。
最終的な判決ですが、自己使用目的のみで上記の犯罪を犯した場合には、前科がない初犯の場合は執行猶予が付されることが多いです。反面、営利目的が付くと、初犯でも実刑に処される可能性が高いので、捜査段階から裁判まで弁護人とよく打ち合わせをして裁判に臨むことが重要です。
営利目的で輸入した場合や、業として輸入した場合等にはいわゆる麻薬特例法が適用されて裁判員裁判になる可能性があります。
【入管手続】
ここまでが刑事事件の流れになりますが、外国人、中国人の場合、何かしらの在留資格ビザを持って日本に滞在しているものと思われます。
しかし、覚せい剤で刑事事件になり、有罪判決を受けた場合には、入管法24条4号チによって退去強制事由に該当します。退去強制事由に該当する場合には、原則的には国外退去となり、在留特別許可を得ない限りには日本にいることができなくなってしまいます。また、ここで注意が必要なのは、刑事事件で執行猶予を得られた場合でも、有罪判決であることには変わりがないので、退去強制事由に該当するということです。よって、日本に居続けるためには在留特別許可を得る必要があります。
在留特別許可を得ることができなかった場合には一旦日本を出なければなりませんが、再度日本に入るためには、上陸手続が必要になります。しかし、この上陸のタイミングでも、覚せい剤で有罪判決があると上陸拒否事由に該当するため、原則的には上陸することはできなくなります。しかし、上陸特別許可を得ることにより上陸することが可能となります。上陸特別許可を得ようとする場合には、まずは、在留資格認定証明を取得するための手続きをして、上陸前に入国管理局に入国可能か判断してもらうことが有用といえるでしょう。
このように、覚せい剤で有罪判決を得ると刑事事件、入管事件双方で手続きがあります。また、日本に居続けるためには在留特別許可等の手続きが必要となります。在留特別許可の手続きでは口頭審理という手続があります。
在留特別許可、上陸特別許可の双方とも、ご自身の有利な事情を十分に主張する必要がありますので、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。
なお、口頭審理では行政書士は代理人にはなれず、弁護士しか代理人にはなれませんので注意してください。
外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。
東京0800-700-2323
神奈川0467-38-8263
名古屋052-253-8826
【資料】
覚せい剤取締法
第八章 罰則
(刑罰)
第四十一条 覚せい剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第四十一条の五第一項第二号に該当する者を除く。)は、一年以上の有期懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第四十一条の二 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第四十一条の三 次の各号の一に該当する者は、十年以下の懲役に処する。
一 第十九条(使用の禁止)の規定に違反した者
二 第二十条第二項又は第三項(他人の診療以外の目的でする施用等の制限又は中毒の緩和若しくは治療のための施用等の制限)の規定に違反した者
三 第三十条の六(輸入及び輸出の制限及び禁止)の規定に違反した者
四 第三十条の八(製造の禁止)の規定に違反した者
2 営利の目的で前項の違反行為をした者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(いわゆる麻薬特例法)
第3章 罰 則
(業として行う不法輸入等)
第5条 次に掲げる行為を業とした者(これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。)は、無期又は5年以上の懲役及び1千万円以下の罰金に処する。
一 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第64条の2(所持に係る部分を除く。)、第65条、第66条(所持に係る部分を除く。)、第66条の3又は第66条の4(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
二 大麻取締法第24条又は第24条の2(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
三 あへん法第51条又は第52条(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
四 覚せい剤取締法第41条又は第41条の2(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
入管法
(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
五 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者
(退去強制)
第二四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
チ 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
(法務大臣の裁決の特例)
第五〇条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
一 永住許可を受けているとき。
二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
2 前項の場合には、法務大臣は、法務省令で定めるところにより、在留資格及び在留期間を決定し、その他必要と認める条件を付することができる。
3 法務大臣は、第一項の規定による許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)をする場合において、当該外国人が中長期在留者となるときは、入国審査官に、当該外国人に対し、在留カードを交付させるものとする。
4 第一項の許可は、前条第四項の規定の適用については、異議の申出が理由がある旨の裁決とみなす。
外国人・中国人の刑事弁護、在留特別許可(大麻)
【刑事手続】
外国人、中国人の方が大麻で捕まる場合、多くある事案は、大麻の輸入、譲渡譲受、所持の事案です。
これらの犯罪で警察が捜査がした場合、逮捕勾留されることが一般的です。また、余罪が多い場合は逮捕勾留が繰り返されることが多く、否認している場合等には接見禁止が付される可能性があります。接見禁止が付されている場合には弁護士しか面会できないので、注意が必要です。
逮捕勾留期間が終了し、検察官が終局処分をする場合には、認めている場合には起訴、公判請求されることが一般的です。否認している場合には不起訴になる場合もあります。
起訴後も保釈が認められない限りは勾留が続きます。自動的に保釈が認められるのではなく、保釈請求をしないと判断はされませんので注意してください。保釈が認められれば裁判終結まで一時的に釈放されます。
最終的な判決ですが、自己使用目的で上記の犯罪を犯した場合には、前科がない初犯の場合は執行猶予が付されることが多いです。反面、営利目的が付くと、初犯でも実刑に処される可能性がありますので、捜査段階から裁判まで弁護人とよく打ち合わせをして裁判に臨むことが重要です。
営利目的がさらに進んで、業としてが付くといわゆる麻薬特例法が適用されて裁判員裁判になる可能性があります。
【入管手続】
ここまでが刑事事件の流れになりますが、外国人、中国人の場合、何かしらの在留資格ビザを持って日本に滞在しているものと思われます。
しかし、大麻で刑事事件になり、有罪判決を受けた場合には、入管法24条4号チによって退去強制事由に該当します。退去強制事由に該当する場合には、原則的には国外退去となり、在留特別許可を得ない限りには日本にいることができなくなってしまいます。また、ここで注意が必要なのは、刑事事件で執行猶予を得られた場合でも、有罪判決であることには変わりがないので、退去強制事由に該当するということです。よって、日本に居続けるためには在留特別許可を得る必要があります。
在留特別許可を得ることができなかった場合には一旦日本を出なければなりませんが、再度日本に入るためには、上陸手続が必要になります。しかし、この上陸のタイミングでも、大麻で有罪判決があると上陸拒否事由に該当するため、原則的には上陸することはできなくなります。しかし、上陸特別許可を得ることにより上陸することが可能となります。
このように、大麻で有罪判決を得ると刑事事件、入管事件双方で手続きがあります。また、日本に居続けるためには在留特別許可等の手続きが必要となります。
在留特別許可、上陸特別許可の双方とも、ご自身の有利な事情を十分に主張する必要がありますので、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。
なお、口頭審理では行政書士は代理人にはなれず、弁護士しか代理人にはなれませんので注意してください。
外国人・中国人の刑事弁護、入管手続、在留特別許可は弊所にご相談ください。
東京0800-700-2323
神奈川0467-38-8263
名古屋052-253-8826
【資料】
大麻取締法
第六章 罰則
第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第二十四条の二 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第二十四条の三 次の各号の一に該当する者は、五年以下の懲役に処する。
一 第三条第一項又は第二項の規定に違反して、大麻を使用した者
二 第四条第一項の規定に違反して、大麻から製造された医薬品を施用し、若しくは交付し、又はその施用を受けた者
三 第十四条の規定に違反した者
2 営利の目的で前項の違反行為をした者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
第二十四条の四 第二十四条第一項又は第二項の罪を犯す目的でその予備をした者は、三年以下の懲役に処する。
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(いわゆる麻薬特例法)
第3章 罰 則
(業として行う不法輸入等)
第5条 次に掲げる行為を業とした者(これらの行為と第8条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。)は、無期又は5年以上の懲役及び1千万円以下の罰金に処する。
一 麻薬及び向精神薬取締法第64条、第64条の2(所持に係る部分を除く。)、第65条、第66条(所持に係る部分を除く。)、第66条の3又は第66条の4(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
二 大麻取締法第24条又は第24条の2(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
三 あへん法第51条又は第52条(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
四 覚せい剤取締法第41条又は第41条の2(所持に係る部分を除く。)の罪に当たる行為をすること。
入管法
(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
五 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者
(退去強制)
第二四条 次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。
チ 昭和二十六年十一月一日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)又は刑法第二編第十四章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
中国人の刑事弁護(秘密を侵す罪、信書開封)
秘密を侵す罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。秘密を侵す罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(信書開封)
第133条 正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
(秘密漏示)
第134条 医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2 宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。
(親告罪)
第135条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
秘密を侵す罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。この点、保護法益は個人の秘密であると考えられます。また、135条によって、本罪は親告罪となっています。そうすると、被害者と示談して告訴を取り下げてもらうことが非常に有効な弁護活動ということになります。逮捕勾留されている場合でも、示談をして告訴を取り下げてもらえば、釈放される可能性が高く、釈放の時期も早まります。
中国人の刑事事件、秘密を侵す罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)
中国人の刑事弁護(飲料水に関する罪)
飲料水に関する罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。飲料水に関する罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(浄水汚染)
第142条 人の飲料に供する浄水を汚染し、よって使用することができないようにした者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(水道汚染)
第143条 水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源を汚染し、よって使用することができないようにした者は、6月以上7年以下の懲役に処する。
(浄水毒物等混入)
第144条 人の飲料に供する浄水に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は、3年以下の懲役に処する。
(浄水汚染等致死傷)
第145条 前三条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(水道毒物等混入及び同致死)
第146条 水道により公衆に供給する飲料の浄水又はその水源に毒物その他人の健康を害すべき物を混入した者は、2年以上の有期懲役に処する。よって人を死亡させた者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(水道損壊及び閉塞)
第147条 公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊し、又は閉塞した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
中国人の刑事事件、飲料水に関する罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)
中国人の刑事弁護(通貨偽造の罪)
通貨偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。通貨偽造の罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(通貨偽造及び行使等)
第148条 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
(外国通貨偽造及び行使等)
第149条 行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2 偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
(偽造通貨等収得)
第150条 行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、3年以下の懲役に処する。
(未遂罪)
第151条 前三条の罪の未遂は、罰する。
(収得後知情行使等)
第152条 貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。
(通貨偽造等準備)
第153条 貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
148条1項は通貨偽造罪・変造罪の規定です。客体は通用する貨幣、紙幣、銀行券です。貨幣とは、いわゆる硬貨すなわち金属の貨幣をいいます。紙幣とは政府の発行する貨幣に代用される証券をいい、現在紙幣は発行されていない。銀行券とは、政府の認許によって日本銀行が発行している貨幣に代用される証券をいい、一般に紙幣と称されているものはこの銀行券です。通貨偽造罪にいう通貨とは、貨幣、紙幣、銀行券の総称です。流通しているとは法律によって強制通用力が与えられていると意味です。行為は行使の目的をもって偽造し、または変造することです。偽造とは、通貨の製造・発行権限を有しない者が、一般人をして真貨と誤信させるような外観のものを作り出すことをいいます。変造とは、通貨の製造・発行権限を有しない者が、真貨に加工して真貨に類似するものを作成することをいいます。偽造変造は、行使の目的をもっておこなわれることが必要です。
148条2項は偽造通貨行使罪です。客体は偽造または変造された貨幣・紙幣または銀行券です。偽造・変造は行使の目的でおこなわれたかどうかを問わず、また、誰が偽造変造したかは問わない。行為は、行使すること、または行使の目的で人に交付すること、もしくは輸入することです。行使とは偽造・変造の通貨を、真正な通貨として流通に置くことをいいます。流通に置くとは、自己以外の者の占有に移転し、一般人が偽貨を真貨と誤信しうる状態におくことをいいます。交付とは、偽造・変造通貨をその情を明らかにしてまたはすでにその情を知っている者に引き渡すことをいいます。交付行為の適法・違法を問いませんし、有償無償も問いません。輸入とは、偽貨を国外から国内に搬入することをいいます。偽貨を使用して財物を騙取または財産上の利益を取得した場合、詐欺罪は吸収され偽造通貨行使罪のみが成立するというのが判例です。
149条1項は外国通貨偽造罪の規定です。日本国内に流通しているとは日本国内で事実上流通していることをいいます。2項は偽造外国通貨行使罪の規定です。
150条は偽造通貨等収得罪の規定です。客体は、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券です。行為は、行使の目的で偽貨を収得することです。収得とは、自己の占有に移す一切の行為をいい、有償無償を問わず、窃取騙取もこれにあたります。行使の目的とは、自ら行使する目的でも、他人に行使させる目的でもよいです。
152条は収得後地上行使等罪の規定です。行為は、偽貨であることを知らずに収得した後、情を知って行使すること、または人に行使させる目的で交付することです。
153条は通貨偽造等準備罪の規定です。客体は器械または原料です。器械とは、偽造変造の用に供しうる一切の機械類をいい、かならずしも直接偽造に必要なものに限られません。原料とは、地金、用紙、インク等を指します。行為は、貨幣、紙幣、または銀行券の偽造または変造の用に供する目的で器械または原料を準備することです。
以上、通貨偽造の罪について説明をしてきましたが、通貨偽造の罪で逮捕された場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。この点、通貨偽造の罪の保護法益は、第一次的には通貨に対する公衆の信用であり、第二次的には国家の通貨発行権であるとされています。そうすると、個人的法益ではないので、示談というのはあまり有効ではないと解されます。そこで、贖罪や反省を示すために贖罪寄付という方法が考えられます。贖罪寄付の効果を過大に期待するのは禁物ですが、贖罪寄付をしたという事実は有利な事情にはなると考えられます。また、保護法益が個人的法益ではないにしても、通貨偽造の罪で特定人に損害を与えてしまっているような場合にはその特定人と示談することも有効であると考えられます。いずれにしても専門的な判断が必要になりますので、通貨偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、通貨偽造の罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)
中国人の刑事弁護(文書偽造の罪)
文書偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。文書偽造の罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(詔書偽造等)
第154条 行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。
(公文書偽造等)
第155条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
(虚偽公文書作成等)
第156条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。
(公正証書原本不実記載等)
第157条 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
(偽造公文書行使等)
第158条 第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(私文書偽造等)
第159条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(虚偽診断書等作成)
第160条 医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
(偽造私文書等行使)
第161条 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(電磁的記録不正作出及び供用)
第161条の2 人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第1項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。
155条は、公文書偽造等罪に関する規定です。公文書の有形偽造の処罰を規定しています。有形偽造とは、作成権限を有しない者が他人名義を冒用して文書を作成することをいいます。その実質は名義人と作成者の人格の同一性の齟齬です。1項は有印公文書偽造、2項は有印公文書変造、3項は無印公文書偽造・変造に関する規定です。公文書は私文書に比べて証拠力が強く、公衆の信用度も高く、また、偽造による被害も私文書よりも大きいことが予想されるため、私文書の偽造・変造よりも重く処罰する趣旨の規定です。
155条1項2項は有印公文書偽造罪・有印公文書変造罪に関する規定です。主体は無制限です。公務員でも作成権限がない場合や、その職務と関係なく公文書を作成するときは本罪の主体となります。客体は公文書です。公文書とは、公務所または公務員がその名義をもって権限内で所定の形式に従って作成すべき文書または図画をいいます。行為は、行使の目的をもって、公務所・公務員の印章・署名を使用して、公文書・公図画を偽造変造すること、偽造した公務所・公務員の印章・署名を使用して公文書・公図画偽造変造することです。印章とは、公務所または公務員の人格を表象するために物体上に検出された文字・符号の影蹟をいいます。したがって、当該公務員が公務上の印として使用するものであれば私印・職印でもよい。署名とは、自署の他記名も含まれます。
155条3項は、無印公文書偽造罪・無印公文書変造罪の規定です。客体は印章・署名を使用しない公文書・公図画です。行為は偽造変造です。
156条は虚偽公文書作成等罪に関する規定です。本罪は公文書の社会的信用性に鑑みて、私文書とは異なる扱いをし、公務員の虚偽文書の作成(公文書の無形偽造)を一般的に処罰するものです。主体は、当該文書の作成権限を有する公務員です。事実上文書を作成する補助公務員の場合、実質的に作成権限を有している場合には本罪の主体になりますが、裁量の余地のない機械的事務処理車については本罪の主体にはなりません。行為は、行使の目的をもってする虚偽の文書・図画の作成または文書・図画の変造です。本条にいう変造は、作成権限のある公務員がその権限を濫用して、既存の公文書に不正に変更を加えてその内容を虚偽のものとすることをいいます。
157条は公正証書原本不実記載罪に関する規定です、外国人の日本人との偽装結婚の場合に適用される場合が多いのがこの犯罪です。
159条1項は有印私文書偽造罪に関する規定です。本条は私文書の有形偽造を処罰するものです。客体は、他人の権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画です。他人とは、公務所または公務員でないものをいいます。権利義務に関する文書とは、権利・義務の発生・存続・変更・消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする文書をいいます。具体例としては、借用証書、債権証書、債権譲渡証、無記名定期預金証書、外国人登録原票などがあります。事実証明に関する文書とは、実社会生活に交渉を有する事項を証明するにたりる文書をいいます。行為は行使の目的をもって他人の印章・署名を使用して私文書を偽造することおよび、偽造した他人の印章・署名を使用して私文書を偽造することです。印章とは、特定人の人格を表章するものをいいます。署名には自署の他記名も含まれます。商号、屋号、雅号を記した場合、印章のみを押印した場合です。
159条2項は有印私文書変造罪の規定です。変造とは真正文書に変更を加える権限のない者が他人名義の真正文書の非本質的部分に変更を加え、新たな証明力を作出することをいいます。
159条3項は、無印私文書偽造罪・無印私文書変造罪に関する規定です。印章又は署名がなされていない私文書・私図画が客体となります。
160条は虚偽診断書等作成罪の規定です。本罪は私文書のうち、医師の作成・提出する文書の無形偽造を処罰するものです。したがって本罪の主体は私人たる医師・歯科医師に限られ、公務員たる医師が本罪の行為をなす場合は虚偽公文書作成罪が成立します。
161条は偽造し文書等行使罪に関する規定です。偽造文書を行使し、詐欺をした場合には、本罪と詐欺罪は牽連犯となります。
161条の2は電磁的記録不正作出及び供用罪に関する規定です。本条は、電磁的記録の証明機能を重視し、文書と同様の保護を与えるために新設されたものです。1項2項は電磁的記録不正作出罪の規定です。行為は、電磁的記録を不正に作ることです。不正に作るとは、事務処理をおこなおうとする者の意思に反して無権限あるいは権限を濫用して電磁的記録を作出することをいいます。3項4項は、不正電磁的記録供用罪に関する規定です。不正に作出された電磁的記録を他人の事務処理のため、これに使用される電子計算機で処理しうる状態におくことをいいます。
以上、文書偽造の罪について説明をしてきましたが、文書偽造の罪で逮捕された場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。この点、文書偽造の罪の保護法益は、文書に対する公共の信用です。そうすると、個人的法益ではないので、示談というのはあまり有効ではないと解されます。そこで、贖罪や反省を示すために贖罪寄付という方法が考えられます。贖罪寄付の効果を過大に期待するのは禁物ですが、贖罪寄付をしたという事実は有利な事情にはなると考えられます。また、保護法益が個人的法益ではないにしても、文書偽造の罪で名義人や相手方等に損害を与えてしまっているような場合や詐欺罪等も一緒に問われているような場合には名義人や相手方等と示談することも有効であると考えられます。いずれにしても専門的な判断が必要になりますので、文書偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、文書偽造の罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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中国人の刑事弁護(有価証券偽造の罪)
有価証券偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。有価証券偽造の罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(有価証券偽造等)
第162条 行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。
2 行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。
(偽造有価証券行使等)
第163条 偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
162条と1項は、有価将証券偽造罪の規定です。有価証券とは、財産上の権利が証券に表示され、その表示された権利の行使につき、その証券の占有を必要とするものをいいます。その証券が取引上流通性を有すると否とを問いません。有価証券にあたるものとしては、乗車券、定期券、宝くじ、郵便為替証券等があります。有価証券にあたらないものとしては、切手、無記名定期預金証書、郵便貯金通帳、ゴルフクラブの入会保証金預託証書があります。
行為は、行使の目的で有価証券を偽造し、又は変造することです。偽造とは、作成権限のない者が、他人の名義を冒用して有価証券を作成することをいいます。形式・外観において一般人が真正な有価証券と誤信する程度のものであることを要します。代理権代表権逸脱の場合には偽造となります。これに対して代理権代表権の濫用の場合は偽造とはならず背任の問題となります。変造とは、権限を有しない者が真正に成立した他人名義の有価証券の日本質的部分に変更を加えることをいいます。一般人が真正なものとして誤信する程度の外観・形式を備えていることを要します。変造は、その変更を加えることによって、有価証券の本質的部分に変動を生じさせないことを要します。したがって、本質的部分に変動が生じ、有価証券の同一性が失われたときは偽造となります。手形小切手の券面金額の改ざん、振出日付の改ざんはいずれも変造です。
162条2項は、有価証券虚偽記入罪の規定です。客体は有価証券で、行為は、虚偽の記入をすることです。
163条は偽造有価証券行使等罪の規定です。客体は、偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券です。行為は、行使、交付、輸入です。行使とは、偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券を真正または内容の真実なものとして使用することをいいます。たとえば、信用を確保するために偽造小切手を真正なものとして第三者に見せる行為は、偽造小切手を真正の小切手として使用する行為にあたります。有価証券が偽造であることを知っている者に対し、そのことを気づかず真正を装って呈示する等の行為をした場合は行使の実行行為は完了するが、法益侵害の結果を生じないので未遂にとどまります。交付とは、情を知らない他人に偽造・変造または虚偽の記入をした有価証券であることの情を明かして、または情を知っている他人にこれを与えることをいいます。輸入とは、国外から国内に搬入することをいいます。
以上、有価証券偽造の罪について説明をしてきましたが、有価証券に対する罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。この点、有価証券偽造の罪の保護法益は、有価証券に対する公衆の信用であると解されています。そうすると、個人的法益ではないので、示談というのはあまり有効ではないと解されます。そこで、贖罪や反省を示すために贖罪寄付という方法が考えられます。贖罪寄付の効果を過大に期待するのは禁物ですが、贖罪寄付をしたという事実は有利な事情にはなると考えられます。また、保護法益が個人的法益ではないにしても、有価証券偽造の罪で名義人や相手方等に損害を与えてしまっているような場合には名義人や相手方等と示談することも有効であると考えられます。いずいれにしても専門的な判断が必要になりますので、有価証券偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、有価証券偽造の罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
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中国人の刑事弁護(支払用カード電磁的記録に関する罪)
支払用カード電磁的記録に関する罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。支払用カード電磁的記録に関する罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(支払用カード電磁的記録不正作出等)
第163条の2 人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
2 不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
3 不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、貸し渡し、又は輸入した者も、同項と同様とする。
(不正電磁的記録カード所持)
第163条の3 前条第1項の目的で、同条第3項のカードを所持した者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(支払用カード電磁的記録不正作出準備)
第163条の4 第163条の2第1項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。
2 不正に取得された第163条の2第1項の電磁的記録の情報を、前項の目的で保管した者も、同項と同様とする。
3 第1項の目的で、器械又は原料を準備した者も、同項と同様とする。
(未遂罪)
第163条の5 第163条の2及び前条第1項の罪の未遂は、罰する。
163条の2第1項は支払用カード電磁的記録不正作出罪に関する規定です。客体は、人の財産上の事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金または料金の支払用のカードを構成するもの、および預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録です。行為は電磁的記録を不正に作ることです。
163条の2第2項は支払用カード電磁的記録供用罪に関する規定です。客体は不正に作られたクレジットカードその他の代金または料金の支払用のカードを構成する電磁的記録、および料金の支払用のカードを構成する電磁的記録です。行為は人の財産上の事務処理の用に供することです。
163条の2第3項は不正電磁的記録カード譲渡等罪に関する規定です。客体は不正に作られた電磁的記録をその構成部分とするカードです。行為は、譲り渡すこと、貸し渡すこと、または輸入することです。譲り渡しとは、相手方に処分権を与える趣旨で物を引き渡す行為です。貸し渡しとは、相手方に処分権を与えず、貸与する趣旨で物を引き渡す行為です。輸入とは、不正電磁的記録カードを国外から国内に搬入する行為です。
以上、支払用カード電磁的記録に関する罪について説明をしてきましたが、支払用カード電磁的記録に関する罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。支払用カード電磁的記録に関する罪については、それだけではとどまらず、詐欺罪等も一緒に罪に問われることが多いです。そのため、その罪との関係で、誰が損害を受けているのかを特定し、示談することが重要といえます。損害が発生している方と示談をすれば、不起訴とまではいかなくても、量刑上有利に考慮されると考えられます。また、保釈も認められやすくなる等、釈放の時期が早まる可能性もあります。
支払用カード電磁的記録に関する罪で逮捕されてしまった場合、示談の必要性、示談の相手方の特定等、専門的な見地が必要となりますので、できるだけ早く弁護士に相談・依頼することをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、支払用カード電磁的記録不正作出罪、支払用カード電磁的記録供用罪、不正電磁的記録カード譲渡等罪、不正電磁的記録カード所持罪、支払用カード電磁的記録不正作出準備罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)
中国人の刑事弁護(印章偽造の罪)
印章偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、どのように対応したら良いでしょうか。印章偽造の罪について、刑法では以下のように規定されています。
刑法
(御璽偽造及び不正使用等)
第164条 行使の目的で、御璽、国璽又は御名を偽造した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2 御璽、国璽若しくは御名を不正に使用し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用した者も、前項と同様とする。
(公印偽造及び不正使用等)
第165条 行使の目的で、公務所又は公務員の印章又は署名を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
(公記号偽造及び不正使用等)
第166条 行使の目的で、公務所の記号を偽造した者は、3年以下の懲役に処する。
2 公務所の記号を不正に使用し、又は偽造した公務所の記号を使用した者も、前項と同様とする。
(私印偽造及び不正使用等)
第167条 行使の目的で、他人の印章又は署名を偽造した者は、3年以下の懲役に処する。
2 他人の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
(未遂罪)
第168条 第164条第二項、第165条第2項、第166条第2項及び前条第2項の罪の未遂は、罰する。
印章偽造罪は、印章・署名に対する偽造・不正使用などの行為を内容とする犯罪であり、その保護法益は印章・署名の真正に対する公共の信用です。印相偽造の罪は抽象的危険犯です。印章・署名に対する公共的信用を害する危険を生ずれば既遂に達し、他人に実害が生じたかどうかを問いません。印章・署名は今日の社会生活上、文書・有価証券の作成にあたって用いられ、文書・有価証券の形式的信頼性は、主としてそこに表示された名義人の印章・署名の信頼性に負っている。ただ、文書・有価証券の偽造罪が成立するときは、印章・署名の偽造はそれに含めて理解されるから、印章・署名の偽造・不正使用が独立の処罰の対象となるのは、文書・有価証券の偽造が未遂に終わった場合に限られます。
印章の意義については争いがありますが、印顆はそれ自体直接取引に用いられるものではなく、印影を保護すれば、印章の公共的信頼性を保護するという目的は達しえます。それゆえ、印章とは印影と解されています。
署名とは、その主体である者が、自己を表章する文字によって氏名その他の呼称を表記したものをいいます。署名には自署の他記名も含むとされています。
以上印章偽造の罪の解説をしてきましたが、印章偽造の罪で逮捕されてしまった場合、どのような弁護活動が有効でしょうか。上記のとおり、印章偽造罪の保護法益は印章・署名に対する公共の信用とされています。そうすると、個人的法益ではないので、示談というのはあまり有効ではないと解されます。そこで、贖罪や反省を示すために贖罪寄付という方法が考えられます。贖罪寄付の効果を過大に期待するのは禁物ですが、贖罪寄付をしたという事実は有利な事情にはなると考えられます。また、保護法益が個人的法益ではないにしても、印章偽造、署名の偽造で名義人に損害を与えてしまっているような場合には名義人と示談することも有効であると考えられます。いずいれにしても専門的な判断が必要になりますので、印章偽造の罪で逮捕されてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。
なお、否認している場合には、取調べ対応が特に重要になり、黙秘権を行使する等自白を取られないことが重要ですので、この場合もできるだけ早く弁護士に依頼することをお勧めします。
中国人の刑事事件、印章偽造の罪、逮捕、示談、不起訴、釈放、保釈、執行猶予に関するご相談は、中国語の話せる弁護士永田洋子にご相談ください。
電話番号0800-700-2323(フリーコール)
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